ウェブ1丁目図書館

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読み手に合わせて言い換えをするのが良い書き手

もっと大人っぽい表現をしたいのに言葉が思いつかない。自分の伝えたいことを文章で表現できない。

このように自分の書いた文章が、稚拙だったり、わかりにくいと感じたことがある人は多いのではないでしょうか。そして、自分は文章を書くのが下手だと落ち込んだ人もいるのではないでしょうか。

良い文章か悪い文章かは、読み手に合わせて言葉を選んでいるかで評価されます。つまり、言い換えができる人ほど、上手な文章を書けるのです。

和語、漢語、雅語、外来語を使い分ける

言葉を言い換えるためには、多くの言葉を知っている必要があります。絵本、小説、新聞、雑誌、専門書、漫画など、様々な分野の本をたくさん読めば、語彙力が養われますが、それでは時間がかかり過ぎます。

もっと短時間に言い換え方の要点を知りたい方には、文章論を専門とする石黒圭さんの著書『大人のための言い換え力』を一読することをおすすめします。

優れた書き手は、推敲能力が高い書き手です。そして、推敲能力の基盤となるのが「言い換え力」だと石黒さんは主張します。

言葉の言い換えで、簡単に思いつくのが和語を漢語にすることです。和語は訓読みする言葉、漢語は音読みする言葉です。例えば、「繰り返し」は和語ですが、同じ意味の漢語にすると「反復」になります。一般的に和語より漢語が、大人っぽい言葉遣いなので、自分の文章が稚拙だと感じている人は和語を漢語に言い換えると良いでしょう。

また、教養を感じられる文章にしたい時は、雅語(がご)を使います。雅語は、古い響きのある言葉です。「電気をつける」を雅語にすると「灯りをともす」となり、大人っぽい落ち着きのある表現になります。「色をつける」は「彩りを添える」に「手紙を書く」は「手紙を認める(したためる)」にすることで大人らしさを感じられます。

斬新さを求める時には、外来語に言い換えるのもありです。最近では、「科学的根拠」を「エビデンス」と言い換えることが多くなっていますね。言っていることは大したことがなくても、外来語になると雰囲気が変わり新しさを感じられます。ただ、文章は読み手に伝わるように書く必要があるので、耳慣れない外来語は避けた方が良いです。

無駄な言葉を削って要約

石黒さんは、要約は文章技術をみがくのに良いトレーニングになると述べています。要約は、長い文章を簡潔な文章にすることです。

誰でも簡単にできる要約は、以下の言葉を削ることです。

  • という
  • について
  • によって
  • をつうじて


この中で、使いがちなのが「という」です。

山田さんという人が道端で話しかけてきた。
野球というスポーツはチームプレイが大事だ。


「という」の部分を削った方が文章がすっきりします。

山田さんが道端で話しかけてきた。
野球はチームプレイが大事だ。


たったこれだけでも、文章が簡潔になりますね。


また、文末が「することができる」や「するものである」で終わる文章も簡潔にできます。

似たような動詞が対になっている場合も要約が可能です。「行って帰ってきた」なら「往復した」に、「上ったり下りたり」は「昇降」に言い換えられます。

要約に役立つのは、twitterです。twitterは、短文を投稿するSNSなので、そこに表示されている文章は要約されたものばかりです。自分で使うとわかるのですが、自分が伝えたいことを短くまとめるのは意外と難しいです。また、他のユーザーも、長文を短文にして投稿しているので、要約のお手本をいくつも見ることができます。

文章を長くするには

一方、短い文章を長くする方法もあります。

文章を長くするためには、具体的に伝える必要があり、そのためには、事実を丁寧に描写しなければなりません。本書では、「熱がありました。」という文章を長い文章に言い換える方法が紹介されています。

「熱がありました。」では、漠然とし過ぎていますが、「熱を測ったら三七度六分ありました。」とすると、かなり正確な事実を伝えられます。さらに「一〇時ごろ、手を握ったら熱かったので、熱を測ったところ、三七度六分ありました。」と書けば、時間や情景まで読み手に伝えることができます。

文章を長くすることは詳述することであり、無駄な言葉を入れることではありません。上の例では、「熱がありました。」では、いつ、どれくらいの熱があったのかわかりませんが、「一〇時ごろ」や「三七度六分」を加えたことで、それが読み手に伝わるようになりました。

また、文章を長くするときに使えるのが「なぜなら」「たとえば」「そのため」「つまり」の4つの接続詞です。これらは、話を深めたり広げたりするのに役立ちます。

長い文章の参考になるのは書籍です。反対に参考にすべきでないのが、ネット上の長文記事です。検索エンジンが長文のページを上位表示する傾向があることから、上位表示を狙うウェブサイトやブログが意味のない文章を盛り込んで長文にしています。ネット上の長文記事を参考にするなら新聞社のニュースサイトが良いでしょう。


文章は、読み手に伝わるように書く必要があります。そのためには、対象とする読み手に合わせて言葉を言い換えなければなりません。自分と同等の知識を持っている人に向けて書く場合は、自分が知っている専門用語を使った方が読み手に意図を伝えやすいです。しかし、知識がない人に向けて書く場合には、専門用語を避けて別の言い方を選ばなければなりません。

『大人のための言い換え力』では、様々な言い換え方が紹介されているので、文章を書くことが多い方の参考になるでしょう。また、本書では類語辞典を使うことも紹介されています。良い言い換えが思いつかない時には、類語辞典を使うのもありですね。