ウェブ1丁目図書館

ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。なお、当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

文章は、体験を思い出すと書きやすく、不要な言葉を削ると伝わりやすい

白紙に文章を書くのは難しいです。何を書いたら良いのか考えるのに時間がかかりますし、題材が思いついても書き始めをどうしたら良いのか迷います。

きっと、すんなりと文章を書き始めているように見える人でも、何を書いたら良いのか、出だしをどうしたら良いのか、時間をかけて悩んだはずです。誰だって、文章を書くのは難しいと思っているものです。でも、最終的に文章を書き上げられる人は、何を書いて良いかわからず白紙のままの人とは異なり、文章を書くコツを知っているはずです。

作文は思い出して書く

コラム二ストの近藤勝重さんは、著書の『書くことが思いつかない人のための文章教室』で、作文を書く際は、「思う」ことよりも、「思い出す」ことをすすめています。「さびしい」や「孤独感」といった「思う」ことは具体性に欠けるので、どういったことを書こうか考えるのが難しいです。一方、自分が体験したことなら具体的に描写しやすくなるので、文章を書き始めやすくなります。

誰にでも「つらい」と思ったことはあるはずです。しかし、同じつらい体験でも、人によって異なるので、ただ「つらい」と書くだけでは、その気持ちを表現したことにはなりません。どんな体験をしたのかを具体的に書くことで、つらい思いが伝わりやすくなります。

学校の先生から作文のお題を与えられたとき、職場で顧客用の資料を作成する時など、文章を書かなければならない時には、「思う」ことよりも「思い出す」ことを意識すると良いでしょう。

いい文章とは

文章を書くからには、いい文章を書きたいと思うものです。では、いい文章とはどのような文章なのでしょうか。

漠然とした問いですが、人の文章を写したものをいい文章とは言わないのは誰もがわかっていることです。いい文章は、パクリであってはなりません。

では、パクリでない文章なら、いい文章なのでしょうか。

それも違うことはわかるでしょう。近藤さんは、「いい文章」とは、まず内容があること、次にその内容が的確に表現されていることだと述べています。体験は単に身の上に起こった出来事ではなく、人間の意識が強く働いた結果です。その体験を思い出して書くことにより、文章に独自性が出てきます。

ただ、どんなに独自性があっても、伝わらなければ意味がありません。だから、文章を書く際は、伝わる表現をする必要があります。具体的に描写することで、読み手に体験を伝えられやすくなります。また、難しい熟語をやさしい言葉に置き換えることも、いい文章を書くためには意識しておきたいです。「漏洩」と書くよりも「もれる」と書く方が読み手に理解しやすくなります。「情報が漏洩した」と書くと格好良く見えますが、「情報がもれた」でも意味は同じです。伝わりやすいのは後者ですね。

いい文章とは、「独自の内容」+「伝わる表現」なのです。

不要な言葉は切っていく

長い文章を書けることが良いことだと思われがちです。

しかし、文章が長くなると、読み手に内容が伝わりにくくなります。だから、文章を書いている途中でも、書き終わった後でも、不要な言葉を削除しましょう。

例えば、接続詞は、つい多用しがちですが、意味が伝わるのなら削除しましょう。「私は」や「僕は」といった主語も削除することで、文章の流れが良くなります。

「僕は、僕の財布を忘れたので、僕の家に取りに帰った」と、短い文に「僕」を3回も入れると読みにくくなります。冒頭に1回書くのも多いくらいです。「財布を忘れたので、家に取りに帰った」で意味は通じますし、読みやすくなります。

他に多用しがちな言葉に「思う」「考える」「感じる」があります。これら3語も、文章に使わず書くことができます。

私は社会と理科の教科書を本棚から取って机に置いた。しばらくして理科の教科書を戻した(178ページ)

この文章を読めば、「私は社会と理科の勉強をしようと思い、教科書を本棚から取って机に置いた。でも、しばらくして理科の勉強は後でも良いかと思いなおして、理科の教科書を本棚に戻した」のだなとわかります。「思い」を2ヶ所に使うだけで、元の文章より、こんなに長くなっています。「思う」「考える」「感じる」は、多用すると文章を長くします。

削除できるのは、このような短い言葉だけではありません。説明文もばっさり切ることで読みやすくなります。説明文なしで、どうやって読み手に伝えるのかと思うでしょうが、情景を具体的に描写できれば説明文なしで伝わります。視覚による描写が書きやすいですが、「聴」「嗅」「触」「味」も含めた五感すべてを意識すれば、様々な描写が可能です。

ネット上の文章は長い

最近は、インターネットの普及で、スマホやパソコンを使って文章に触れる機会が増えています。

それにしても、ネット上の文章は長すぎます。検索エンジンが長文のページを上位表示する傾向にあるので、書き手はどうしても1ページに多くの言葉を盛り込もうとします。わかりやすく短文で書かれた文章を求めているのに検索して出てくるのは長文のページだらけ。

上位表示されているページを見習って文章を書くものだから、どのウェブサイトもブログも長文になっています。これも時代の流れなのでしょうね。