ウェブ1丁目図書館

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お金が欲しけりゃ欲しいと言え

どんなに才能があるアーティストでも、人に知られなければ、その力を発揮できないもの。

良いものを作っているだけでは有名になれません。自分を売ることも作ることと同じくらい大切です。また、アーティストを売り込むためには、プロデューサーの役割も重要になってきます。プロデューサーが、アーティストだけでは気づくことができない才能を見出すことで、アーティストの活躍の場が広がります。

目標がなければ哲学は生まれない

沢田研二さんや吉川晃司さんなどの制作を手がけ、トライセラトップスBUMP OF CHICKENなどのプロデュースをした音楽プロデューサーの木﨑賢治さんの著書『プロデュースの基本』では、プロデューサーがどのような心構えで仕事をしているのか、木﨑さんの経験を交えながら紹介されています。

木﨑さんは、プロデューサーに限らず、目標を持つことが大切だと述べています。目標を実現しようとして生きていると、必要なことが目に見えてくるからというのがその理由。同じ景色を見ても、同じ音を聞いても、目標を持っていれば、そこに何かしらの発見があるものです。その発見は小さなものであっても、より大きな発見へと導いてくれます。そして、その積み重ねによって、やがて自分の哲学ができるのだそうです。

確かに、何気ない景色でも、小さな音でも、意識をするかしないかで見え方や聞こえ方が違ってきます。それは、プロ野球選手になるのか、歌手になるのかによっても変わってくるはずです。自分自身の哲学を作り出すためには、どんなに些細な目標であっても持つ必要があります。

好きだと感じることが出発点

何かを作り出すためには、自分が、いいな、好きだなと感じることが出発点となります。

誰にでも、いいなと思うことや好きだなと思うことはあります。ここから、さらに進んで自分で作ってみたいと思えるかどうかで、新しい何かを創造できるかどうかが決まります。これは、先ほどの小さな発見が哲学へと繋がっていくというのと似ていますね。出発点は、小さなことでも、その積み重ねによって自分と他人との間に違いができてくるのです。これこそが自分自身の哲学となっていくのでしょう。

木﨑さんは、「どんなに自分が好きだと思うものでも、それを伝えるうえでの理屈がないと、より多くの人には理解してもらえない」と述べています。同じ曲でも、人によって好きと感じる部分は異なります。それは当たり前のことなのですが、だからこそ、好きだという理屈を自分で見つける必要があり、自分の感性の上に自分の理屈を構築することが大切なのだと。

個性とは、小さな発見と好きと思う感性の積み重ねで、できあがっていくのです。

正論で人は動かない

人は正しいことを言われるほど、プライドを傷つけられやすいものです。だから、正論で人を動かそうとしても動かせるものではありません。

どんなにプロデューサーがこうした方が良いと説得し、それが正しいことであっても、アーティストが聞き入れるとは限りません。

木﨑さんは、アーティストにどうなりたいのか、何をしたいのかを必ず聞くそうです。プロデューサーのビジョンとアーティストのやりたいことがかけ離れていると意味がないからです。もちろん、プロデューサーとして、具体的に世界観を伝えるのですが、お互いに歩み寄れるところを探し、アーティストの考えがおもしろいと思えば、そちらに舵を切ることもあるそうです。

言葉にすることの大切さ

クリエイティブなライフスタイルを送るに際して、願望を口に出して言うことが大切だと、木崎さんは語っています。

自分の願望は、言葉にしなければ誰にも伝わりません。どんなに自分がやりたい仕事があっても、その願望を誰にも言っていなければ、叶うことはないでしょう。願望を言葉にすることで、道が開ける可能性があるのです。

以前、大道芸を見たことがあるのですが、その芸人さんは、パフォーマンスが終わりに近づいてきたところで、観覧者に向かってお金を袋に入れて帰って欲しいと伝えていました。最初は、100円くらい入れれば良いかと思っていたのですが、芸人さんが、しっかりお金が欲しいといったのを聞いて、最終的にもっと多くのお金を袋に入れて帰りました。他の観覧者も、お札を袋に入れていました。

もしも、芸人さんが、お金が欲しいと言わなかったら、多くの観覧者が1円も袋に入れずに帰っていたと思います。願望は言葉にしないと伝わらないことがよくわかりました。

仕事を続けるためには、願望を口に出さなければならないのです。貧しくて困っている場合も、それを言葉にしなければ助けてもらえません。

いいと思ったこと、好きと思ったこと、それらの積み重ねでできあがった哲学も、言葉にしければ誰にも伝わらないでしょう。プロデュースに限らず、あらゆる仕事、あらゆる場面で、どうして欲しいか言えるようにすることが生きていくための最も強力な技術なのではないでしょうか。


僕も最後に願望を言っておきます。

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