ウェブ1丁目図書館

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文章が単調だったりわかりにくかったりする場合は接続詞を見直す

文章を読んでいると、「そして」や「しかし」といった接続詞が登場するもの。もしも、文章に全く接続詞が使われていなかったら、どうでしょうか。文章の意味は読み取れるでしょうが、何となく読みにくかったり、文章の流れが悪く感じたりすると思います。

また、接続詞は、文章の見栄えをよくしているようにも思えます。読者が、詰まることなく文章を読めるのは、接続詞が絶妙な位置に配置されているからかもしれません。

ところで、接続詞は、文章の中でどのような役割をしているのでしょうか。単なる装飾といった意味だけなら、接続詞は不要と言えます。

接続詞の役割

文章論を専門とする石黒圭さんの著書『文章は接続詞で決まる』は、接続詞の役割や機能をわかりやすく解説しています。英語の授業で接続詞について習ったことはあるでしょうが、国語の授業で接続詞を深く学んだ記憶はないと思います。文章に頻繫に登場する接続詞ですが、意外とその使い方を理解している人は少ないのではないでしょうか。

一般的な定義では、「接続詞とは、文頭にあって、直前の文と、接続詞を含む文を論理的につなぐ表現である」となります。

ちょっとわかりにくい定義です。石黒さんの定義では、接続詞は以下のようになります。

接続詞とは、独立した先行文脈の内容を受けなおし、後続文脈の展開の方向性を示す表現である。(27ページ)

こちらの定義の方が、接続詞の役割を理解しやすいですね。接続詞は、車のウィンカーのような働きをしています。次に右に曲がるのか左に曲がるのかを後続車に知らせるのと同じように接続詞は、文章がどう展開していくのか、読者にあらかじめ示す役割をしています。

そして、接続詞には、以下の6つの機能があります。

  1. 連接関係を表示する
  2. 文脈のつながりをなめらかにする
  3. 重要な情報に焦点を絞る
  4. 読み手に含意を読みとらせる
  5. 接続の範囲を指定する
  6. 文章の構造を整理する


これら6つの機能を理解して接続詞を使うことで、読者を混乱させることを防げるはずです。

接続詞の種類

本書の57ページでは、接続詞の種類が紹介されています。

接続詞は大きく分けて以下の4つに分類されます。

  1. 論理の接続詞
  2. 整理の接続詞
  3. 理解の接続詞
  4. 展開の接続詞


論理の接続詞には、「だから」や「それなら」といった順接の接続詞と「しかし」や「ところが」といった逆接の接続詞があります。

整理の接続詞には、「そして」などの並列の接続詞、「または」などの対比の接続詞、「第一に」などの列挙の接続詞があります。

理解の接続詞には、「つまり」などの換言の接続詞、「たとえば」などの例示の接続詞、「なぜなら」などの補足の接続詞があります。

展開の接続詞には、「さて」などの転換の接続詞、「このように」などの結論の接続詞があります。

たくさんある接続詞をこのように分類すれば、どの文にどの接続詞を使うべきか判断しやすいですね。

多用しがちな「しかし」

ここでは、逆接の接続詞である「しかし」をみていきましょう。「しかし」は、数ある接続詞の中で最も多用されています。

逆接の接続詞は、「こうなってもこうならない」や「こうなったけどこうならなかった」という場合に使われます。例えば、「スーパーに白菜を買いに行った。しかし、売り切れだった」というように使われます。

事前に予想していた結果と実際の結果が異なっていた場合、日常会話の中でも「しかし」が連発されやすいですね。

「しかし」に代表される逆接の接続詞は、使いすぎると文章が読みにくくなると言われることがあります。でも、使い方を意識すれば、「しかし」を多用しても文章が読みにくくなることはありません。石黒さんは、他者の意見と書き手の主張を明確に区別することで、「しかし」が多く使われている文章でも読みにくくならないと述べています。

「『他者の意見』+『しかし』+『書き手の主張』」という形式が守られていれば、逆接の接続詞が頻繁に出てきても、読者に読みにくいと感じさせることはありません。読者が読みにくいと感じるのは、他者の意見にも書き手の主張にも「しかし」が用いられている場合で、議論が入り組んでしまうからです。

また、強い意外感を持たせたい場合には、「しかし」ではなく「ところが」を使うのが効果的です。

例えば、「あっさりとしたラーメンを食べたかったから醤油ラーメンを注文した。ところが、目の前に出されたのは、たまり醤油がなみなみと入った丼にまるで麺がおぼれているかのような醬油ラーメンだった」といったように。

「しかし」を使いすぎて文章に違和感を感じたときには、他者の意見と書き手の主張が明確になっているか、別の逆接の接続詞を使えないかを考慮すると良いでしょう。

接続詞の弊害

接続詞は、ウィンカーのように読者にこれから文章がどのように展開していくのかをわかりやすくするものだと述べました。上手に接続詞を使えば、読みやすい文章になりますが、接続詞を使うことで弊害も生まれます。石黒さんは、以下の5つの弊害を列挙しています。

  1. 文間の距離が近くなりすぎる
  2. まちがった癒着を生じさせる
  3. 文章の自然な流れをブツブツ切る
  4. 書き手の解釈を押しつける
  5. 後続文脈の理解を阻害する


自分で文章を読み返した時、流れが悪いなと思ったら接続詞を見直してみましょう。接続詞を外せば読みやすい文章になるかもしれません。また、接続詞があることで、書き手の主張を一方的に読者に押しつけてしまう恐れもあります。見栄えをよくするためや文字数の水増しのために接続詞を使うのはやめましょう。


『文章は接続詞で決まる』は、文章を書くことを仕事にしている人、大学で論文を書く必要がある人、その他、職場でレポートや報告書を作成している人が手元に置いておくと、場面に応じた接続詞の使い方を調べるのに便利です。

同じ接続詞ばかりを使っていて文章が単調だと感じている方も、一読することをおすすめします。