ウェブ1丁目図書館

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資源が乏しい日本は国民の心の成長が生活を支える

現代の日本社会は、安定しているように見えます。しかし、その安定は、表面的なものでしかありません。

エネルギーの90%、食料の60%を輸入に頼っている日本は、有事が発生した時に一気に生活が破綻する危険があります。

日本人が安定的な生活を送るためには、エネルギーも食料も自給率を高める必要がありますが、どちらも短時間で実現するのは難しいです。特にエネルギーは、資源が乏しい日本では、自前で賄うことに限界があります。日本は他国との関係を良好な状態に保たないと、エネルギーも食料も手に入れられず、現在の便利な生活を維持できないのです。

日本は信用と信頼以外の武器がない

他国の助けなしで社会を維持できない日本の採るべき手段は、信用と信頼を磨くことしかありません。

伊藤忠商事株式会社会長の丹羽宇一郎さんは、著書の『死ぬまで、努力』の中で、「世界中のすべての国から信用・信頼されるようになるには、私たち日本人はさらに『頭』と『心』を磨き、人間としての『質』を高めていくことが必要」と述べています。

日本が自国の利益ばかりを求め、他国から貿易制裁を受ければ、日本人の生活は簡単に崩壊します。そうならないためには、他国から信用と信頼を得られるようにし続けるしか道はありません。嘘をつかない、裏切らない、弱者に寄り添うといった姿勢でいるための努力が国民全員に求められているのです。

2019年の幸福度ランキングで、日本は国連に加盟している約150ヶ国の中で58位でした。このランキングは、複数の要素から成り立っていますが、その中で、日本は「社会の寛容さ」が92位、「社会的支援の充実ぶり」が50位となっています。この結果を見ると、日本人は弱者に寄り添う心がそれほど高くなく、むしろ、同質ではない人を排除する風潮が日本社会にあることがわかります。

日本は、他国から良い印象を持たれていると思っている人が多いかもしれませんが、そんなことはないのです。

効率や利益を追求しすぎる企業

社会から寛容さが失われていく理由の一つとして、企業が効率や利益を重視しすぎる点が挙げられます。

企業が利益を追求することは当然のことですが、それが行き過ぎれば、社会に閉塞感が漂うようになります。丹羽さんは、経営者の論理や利益が優先されることで、労働者が働く喜びを感じたり、夢を描いたりすることができない社会になっていると指摘しています。

複数人が働く企業では、労働者同士で喜怒哀楽を共有でき、それが強い絆の構築につながります。この絆こそが、仕事における最大の財産であり、喜びなのだと丹羽さんは主張します。

また、企業は社会の公器である以上、経営者は社会に対して絶対に嘘をついてはいけないとも述べています。正直で誠実な姿勢こそが信用につながるのだと。メーカーであれば、製品の品質を高めることで信用を高めることができますが、商社だと商品を売り買いしているだけと思われがちなので、「清く、正しく、美しく」という姿勢がより重要となります。

心の成長に限界はない

エネルギーも食料も自前で用意できない日本は、国民が努力をしていくより安定した生活を送ることはできません。

何に努力をするのか。それは、心です。心を磨く努力が、日本国民には求められているのです。

どんなに努力しても結果に結びつかないことはいくらでもあります。肉体の成長もある年齢に達すれば限界が来ます。でも、何歳になっても、心の成長は可能です。20歳になって肉体の成長が止まっても、30歳になって体力が衰え始めてきても、心は成長し続けます。

信用や信頼は、一朝一夕で得られるものではありません。長い年月をかけて心が成長することで、信用も信頼も大きくなっていくのです。

資源が乏しい日本が、世界の中で生きていくためには、心の成長のために努力するしかないでしょう。