ウェブ1丁目図書館

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価値創造型の読書が世界が抱える難題を解決する

日本人1億2千万人が、自分に毎年1円をくれると年収1億2千万円になるな。

昔、そんなことを考えたことがあります。しかし、どうすれば、それを実現できるかわかりませんでした。でも、インターネットが進歩した現代では、それが可能になりつつあります。送金はインターネットを使って簡単にできるようになっていますから、後は、1億2千万人が自分に向けて1円を送ってくれれば良いだけです。

ただ、「顔も見たことのない人間にいったい誰が送金するのか」と考えると、例え1円でも送金する人を探すのは難しいでしょう。でも、それは、読書によって可能になるかもしれません。

最先端の思想やアイデアは本から得られる

なぜ、読書をすると、見ず知らずの人からお金を送ってもらえるのか。

当たり前の疑問が湧いてくると思います。

ここで、新しい思想やアイデアがいったいどこから湧いてくるのかを考えてみましょう。新しい思想やアイデアは、自分の脳から生まれてきますが、そのために必要な情報が脳にインプットされていない状態では発想できません。そのため、外部から何かしらの情報を頭に入れる必要があります。その手段として、効果的なのが読書です。

経営コンサルタント神田昌典さんは、著書の『都合のいい読書術』で、本は「世の中に生まれるさまざまな最先端の思想やアイデアに、いち早く触れることのできるメディアだ」と述べています。

本は、テレビ、新聞、ラジオ、インターネットと比較すると速報性のないメディアだと思われがちですが、人々の価値観を変え、ブームを巻き起こすのは、ミリオンセラーとなった本によることが多いです。神田さんは、その例として、ロバート・キヨサキさんの著書『金持ち父さん貧乏父さん』を挙げています。これまで一流企業で出世することが日本人の仕事の価値観でしたが、この本が、爆発的に売れブームになると、その価値観が壊され始めました。

また、テレビや新聞などは、ネタ元として本を活用していることから、いち早くミリオンセラーになる本を読むことで、次のブームを先取りできるようになります。そして、信頼できる情報を得る手段としては、まだまだインターネットは未熟で、本の権威にはかないません。テレビも放送時間の枠内に視聴者に最も伝えたい情報を収めなければならず、情報の一部が切り取られて放送されることがあるので、断片的な情報しか入手できない場合があります。

本が持つ価値は、今も他メディアよりも優れているのです。

知識創造型の読書へ

従来、読書はインプット主体でした。

それが、最近になって、読書は知識や価値を創造するための方法に変わりつつあります。ただ物事を知っているというだけでは、検索すれば簡単に情報を入手できるインターネットが存在する現代では、それほど大きな価値とはなりません。読書から何かを生み出せるようになることが、これからは重要になります。

神田さんは、知識創造型、価値創造型の読書は、以下の3つの原則を実行すれば良いと語っています。

  1. 目的志向型の読書をする
  2. 複数の人と共に読む
  3. 即、行動に結びつける


この中で、2番目の「複数の人と共に読む」が、これまでの情報詰込み型の読書と大きく異なっています。具体的にどうするのかというと、読書会に出席するのです。読書会に出席すれば、同じ本について複数の人の意見を聴くことができます。他人の意見を聴くことで、自分の思考が洗練され、これまでの孤独な読書よりも、多種多様なアイデアがひらめくようになるそうです。

日本人は、かつてから「複数の人と共に読む」ことをしてきています。その例として、神田さんは、幕末の志士たちを挙げています。彼らは、全員で本を読み、意見を戦わせることで、世の中をひっくり返す明治維新を実現しています。

読書から他人の意見を知る手段として、ブログやSNSに本の感想を書きコメントをもらう方法もあります。しかし、そもそも自分の投稿を多くの人に読んでもらうことは困難ですし、さらにコメントをもらうことは、それに輪をかけて難しいことです。

他者の意見を知る手段としては、ネット書店のレビューを読んだり、同じ本を読んだ人のブログを探して読むことも考えられます。

ただ、ブログやレビューでは、読書会ほどは得られるものが少ないでしょう。読書会に参加すると、コミュニティができていきます。そのコミュニティこそが、新しい価値観やアイデアを生み出すために重要とのこと。

読書会のコミュニティが世界が抱える難題を解決する

冒頭で、1億2千万人から1円ずつ送金してもらう話をしましたが、これは、読書会から生まれたコミュニティにより可能になるかもしれません。ただし、自分の年収が1億2千万円になるためにコミュニティを利用しようと思ってもうまくいかないでしょう。このようなコミュニティは、社会を変えるために機能するものです。

知識創造型、価値創造型の読書の3つ目の原則「即、行動に結びつける」は、読書会に参加してコミュニティが形成されることで、容易になるでしょう。本書では、全世界に散らばる10億人から1ドルずつ寄付を募る100%MADプロジェクトのことが紹介されています。こんなことは、一昔前までは、多大な労力と費用がかかり不可能なことでしたが、今では、インターネットを使えば実現可能です。

私利私欲のためにコミュニティを利用しようとしても、うまくいかないでしょう。でも、世界が抱える問題を解決するためであれば動く人たちがいるはずです。読書は、世界を変える可能性を持っているのです。


本書では、NewsPics編集長の佐々木紀彦さんと神田さんとの対談も収録されています。この対談の中で、リモートワークについて語られていますが、リモートワークで社員同士が顔を合わせる機会がなくなった会社に読書会を導入することをすすめています。

組織が、社会に価値を提供し続けるためには、その構成員同士の意見交換が重要になるはずです。そのきっかけとして、読書会を開いてみると良いのではないでしょうか。