ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

神さまに教えてもらうビジネスのヒント

困った時の神頼み。

何か運任せのような言葉ではありますが、案外、問題解決の方法を神さまが教えてくれることがあるものです。日本国内には多くの神社があり、また、お寺の中にも神社が建っていることもありますから、どこに住んでいても神頼みをすることができます。

めでたい時には酒

経営コンサルタントで詩人の蒲田春樹さんの著書『そうだ神さまに訊こう』は、京都の神社仏閣から仕事のヒントを探ることができるビジネス書です。京都には、多くの観光客が訪れるので、そこには人を惹きつける何かがあるのだろうと想像できます。

さて、めでたい席ではお酒は欠かすことができません。京都市には「清酒での乾杯」条例があり、お酒の神さまと崇められている松尾大社もあります。

酒は、もとは「栄え水」と呼ばれており、それがサケに転化したと伝えられています。また、「避ける」という表現に基づき、酒は風乾邪鬼を避けることからサケというようになったともされています。他に酒は、「クシ」という薬の古語から来たものとする説もあります。

いずれの説であれ、栄える、災いを避けるといった良い意味からサケと呼ばれるようになったものであり、めでたい席に必ず酒が登場するのは、このような語源によるのでしょう。

酒の席で、よくあるのが乾杯の音頭。披露宴などで、「乾杯」と言った後に皆でお酒を飲みほすわけですが、本来、それはおかしいとのこと。乾杯は、杯をほすという動作をいうのであって、乾杯と言ってお酒を飲むことはなかったようです。めでたいから、あるいはめでたさを祈念して杯をほすのですから、「おめでとうございます」と叫んで杯をほすのが正解です。

また、お酒の席では、酌をして回るのが通例となっていますが、こちらも、なんでもかんでもお酒を注いで回るのが正しいわけではありません。「酌」は、人の気持ちを「くむ」という意味ですから、お客さんの様子をうかがいながら、お酒を注ぐものです。

嵐山の近くにあるお酒の神さまの松尾大社に参拝して、お酒がどうして長い歴史の中で愛されてきたのかを考えるのも仕事の役に立つかもしれませんね。

集客は清水寺を見習う

京都の観光名所で最も人気があるのが清水寺です。

清水寺が人気があるのは、ただ歴史的な遺産として貴重だからという理由だけではありません。様々な集客の工夫をしているから、多くの観光客が訪れるようになっているのです。

33年間有効の入山通行証を発行しているのは、その工夫の一つですね。

清水寺への参詣には、清水道を登っていきます。この清水道は、両脇に多くのお店が軒を連ねており、京都土産を買うなら清水道に行けば事足りるようになっています。

老舗のお店がずらーっと並んでいますが、かつてはそうではありませんでした。

七味屋本舗の福嶌仁祠社長は、本物を買いそろえようと思うと京都中を買い廻らなければならないのでお客さんにとって不便だと考えていました。そこで、福嶌社長が音頭を取り、京都の老舗のお店を清水道に集中させたのです。こうなれば、さらに清水寺に訪れる観光客が増えます。清水寺観光のついでに京都の老舗のお店でお土産を買えるのですから、観光客にとって好都合です。

京都は、ただ歴史的な遺産が多いというだけで人気の観光地になっているのではないのです。


本書は、ビジネスとは全く関係がなさそうなタイトルですが、仕事のヒントになりそうな事柄が随所で紹介されています。神社やお寺なんて仕事と無縁だと思われがちですが、数百年の歴史がある神社やお寺には、長く続くだけの理由があるはずです。それを探ることは、きっと仕事の役に立つことでしょう。

著者の蒲田さんは、経営コンサルタントですが、文化人の一面も持っています。ビジネス以外にも詳しい人の方が、ビジネス一辺倒の人より魅力を感じますね。