ウェブ1丁目図書館

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ポジティブ思考ではハイパフォーマーになれない

世の中には、何をやってもうまくいく人がいます。そういう人をハイパフォーマーといいます。

運が良いから好結果につながるということはあるでしょうが、何をやってもうまいくハイパフォーマーは運以外の要素も味方につけていそうです。自己啓発書に書かれているようなポジティブ思考が強いのでしょうか。しかし、ポジティブ思考を持っている人が、誰でもハイパフォーマーになっているわけではありません。

彼らは、なぜ、何をやってもうまくいくのでしょうか。

好循環が回りだす

実際には、ハイパフォーマーと呼ばれている人だって、何もかもが上手くいっているわけではありません。むしろ、失敗の数の方が圧倒的に多いのです。

ハイパフォーマーを分析している人事・組織コンサルタントの相原孝夫さんは、ハイパフォーマーが何年も好業績を続けているのは、好循環が回っているからだと、著書の『ハイパフォーマー彼らの法則』で述べています。

反対に良い結果が出ない人は、悪循環が回っています。だから、悪循環から抜け出し、好循環に入ることがハイパフォーマーになるためには必要です。

好循環に入るためには、考え方を改めなければなりません。先ほど述べたポジティブ思考は、一見、好結果につながりそうに思えますが、失敗した時に自分は最善の方法を選択したと考えてやり過ごしてしまうので、そこから何も得られません。反対にネガティブ思考の人は、失敗した時に別の選択肢はなかったかを考えるので、失敗を次に生かすことができます。

当然、ポジティブ思考の人は、同じやり方を続けるので悪循環が続きます。ネガティブ思考の人は、失敗した時とは違うやり方を試していくので、やがて悪循環から脱出し、好循環の入り口に立つことができます。

ハイパフォーマーは、違う方法を試すことで好循環になっているのです。そのためには、プライドを捨てて、他者の真似をすることも厭いません。

長期的視点を持つ

好循環が回りだせば、目先の結果にとらわれることなく、長期的に自分の能力を伸ばすことに専念できます。

ハイパフォーマーは、「自己承認」ではなく「自己成長」を重視すると相原さんは述べています。試験で良い点数を取ることよりも、優れた存在になることを重視するとのこと。

一夜漬けで暗記して良い点数を取ることに価値を求めるのではなく、時間をかけて能力を磨く方を選ぶのが、ハイパフォーマーの特徴と言えそうです。しかし、悪循環に陥っていると、目先の利益を追い求めたくなるものです。そうすると、長期的に成長する道よりも、短期的に利益を得られる方法を探し始めます。ところが、これが悪循環から抜け出せなくなっている原因です。

長期的視点を持つためには、楽観性が必要です、楽観性はポジティブ思考と同じように思えますが違います。楽観性は、失敗を単なる現象として捉えることです。失敗したことに過度に落ち込むのではなく、その事実だけを受け止めます。

同じ場面は今後も何度となく訪れるものです。失敗しても、その事実を受け止め原因を分析していれば、次に同じ場面に出くわしても、前回よりも良い対応ができるはずです。しかし、失敗したことに対して、自分自身を否定し続けていると、そこから学ぶことはできません。失敗して情けないとか恥ずかしいとかいった感情は脇に置き、その時の自分の判断や行動を客観的に振り返ることが大切です。

PDCAは回すのではなく回る

本書を読んでいて気づいたのは、ハイパフォーマーの考え方や行動は、PDCAサイクルに似ているなということです。

PDCAは、計画(P)を立てて実行(D)し、その結果を検証(C)して、再度実行(A)することです。PDCAを何度も何度も回していくことで、徐々に良い結果が生まれていきます。

しかし、PDCAは、そもそも回りません。回そうと思っても、計画通りに実行できなかったり、実行しても検証できるだけの結果が得られなかったりするので、PDCAを回せといっても、途中で止まってしまいます。

ところが、ハイパフォーマーは、PDCAが回っているように見えます。これは、意図してPDCAを回しているのではなく、好循環に入っているから自然とPDCAが回り出しているのでしょう。先ほども述べましたが、ハイパフォーマーは、長期的に自分の能力を磨こうとしています。そして、自分の能力の向上によって好循環が回り出しています。反対に短期的な結果を求めている人は、悪循環が回り出します。

悪循環が回っている状況では、PDCAも何もありません。まずは、悪循環から抜け出すのが先決です。そして、好循環に入れば、自然とPDCAも回り出すのでしょう。


結果が出ないとどうしても短期的な利益を追い求めようとします。

しかし、それが、悪循環から抜け出せない原因です。長期的視点を持って自分自身の能力を磨くことを忘れてはいけません。