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ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

自分で損益線を描けないのなら金融商品に手を出さない方がいい

金融財務

最近では、インターネットが普及したこともあり、株式などに投資する個人が増えています。

経済のことを勉強しながら投資するのなら、それは良いことなのですが、中にはほとんど勉強せずに投資を始める人もいますよね。そういった人を見ていると、とてもおっかないです。

限られた時間の中で勉強しながら投資するので、どうしても知識不足になることはあるでしょうが、せめて、自分がこれから投資しようとしている金融商品の仕組みくらいは理解した方がいいですね。

投資対象となる金融商品の仕組みを理解しているかどうかは、自分で損益線を描けるかどうかでわかります。

二重通貨預金の損益線を描いてみよう

まずは、簡単なところで、二重通貨預金の損益線を描いてみましょう。

例題は、吉本佳生さんの著書「金融商品にだまされるな!」に記述されている以下の文章を選びました。

当初の円相場(銀行が日々の外国為替取引に適用する基準相場)を115円/ドルとしています。それで、約3ヵ月後の判定日の円相場が114円/ドルより円安なら、客は元本を円で受け取ることになります。他方、判定日の円相場が114円/ドルちょうどか、それより円高なら、元本は114円/ドルで米ドルに転換されてしまいます。(140~141ページ)

上記の文章を読んで、損益線を描けたでしょうか?

これだけの情報では、損益線を描けないという人は、投資は控えた方がいいですね。外貨預金の経験がある方なら、すぐに損益線を描けるはずです。

答えは以下のようになります。

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まず、3ヶ月後に114円よりも円高になった場合からみていきましょう。

1ドルが113円だった場合、預けた時の為替相場115円/ドルだったので、1ドルにつき2円の損失が発生します。112円/ドルなら3円の損失、111円/ドルなら4円の損失と、円高になればなるほど損失が大きくなっていきます。114円よりも左側の線が下に向かって伸びているのは、こういうことです。

では、115円よりも円安になった場合はどうでしょうか?

この場合は、「114円/ドルより円安なら、客は元本を円で受け取る」となっているので、為替相場が116円/ドルになろうと117円/ドルになろうと、受け取れるのは1ドルにつき115円、つまり、元本そのままということになります。

このような契約を金融機関と結ぶことにお客さんは、何かメリットがあるでしょうか?

全くないですよね。円高になればなるほど損失が膨らんでいくのに、どれだけ円安になったとしても元本の115円しか受け取れないのですから。これは、お客さんの側から見ると、損失無限大で利益は一定ということになります。これでは、お客さんがあまりに不利ですよね。客側にメリットがあるとすれば、114円/ドルまでの円高なら1ドルにつき115円を受け取れるということぐらいです。

通常の外貨預金の損益線

通常の外貨預金の損益線はどうなるでしょうか。預入時の為替相場は、二重通貨預金の場合と同じ115円/ドルだったとします。

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上記の損益線をみればわかるように円高になればなるほど損してしまいますが、その反面、円安になればなるほど得します。通常のドル預金の場合は、得する時も損する時も為替相場の動きと完全に一致していますね。

この通常のドル預金の損益線と上記の二重通貨預金の損益線を比較すれば、いかに二重通貨預金が客側に不利な契約となっているかが理解できると思います。

得する条件も損する条件も同じ場合

二重通貨預金のように客側が一方的に不利な条件となる金融商品に手を出すことに何の得もありません。客側が金融商品に投資するのなら、金融機関と同等の条件のものを選ぶべきです。

二重通貨預金のように客側が円安メリットを放棄するのなら、円高によるデメリットも無くさなければ、金融機関と対等の条件とは言えません。

例えば、115円/ドルで外貨預金に預け入れた場合、117円までの円安メリットは得られるが、それ以上の円安メリットは放棄するとしましょう。この場合、円高による損失も113円までなら負担するが、それ以上の円高については一切損失を負わないという契約にしなければなりません。

この場合の損益線は以下のようになります。

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上記の損益線を見ればわかるように117円/ドルまでは、円安になるほど客側が得しますが、117円を超えて円安になったとしても、それ以上は得しません。しかし、為替相場が円高に振れても、損するのは113円/ドルまでで、それよりも円高になったとしても、損失が増えていくことはありません。

上の例とは反対に113円/ドルから117円/ドルまでは損も得もしないけども、その範囲を超えて為替相場が変動したら損益が発生するといった金融商品も作ることが可能です。

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こういった条件であれば、金融商品に投資して損をしたとしても、やむを得ないでしょう。為替相場が円安になるのか円高になるのかは、契約時点ではわかりませんからね。絶対に避けなければならないのは、どちらに為替相場が振れたとしても買った側に何らのメリットもない金融商品です。

お年寄りに不利な金融商品を売りつける金融機関

もう一度言いますが、自分で損益線を描くことができない人は、金融商品に手を出すべきではありません。それなりに勉強をした人でも、仕組みが複雑で、容易に損益線を描くことができない金融商品に投資するのは避けるべきです。

でも、こういうことを言っても、客側に不利な金融商品に手を出す人がたくさんいます。

それは、お年寄りの方です。

定年退職して年金暮らしのお年寄りの方は、年金受け取り用の口座を開設している銀行で、金融商品の勧誘を受けると、手を出してしまう危険があります。年金の受取口座を開設している銀行ですから、昔からなじみがあるとか、有名な銀行で信用できるからとか、そういった良いイメージを持っていることが多いでしょう。

そのような状況で、銀行員に二重通貨預金をすすめられると、疑うことなく投資してしまうわけですね。

取引が説明されているパンフレットを見ても、文章と数式が並んでいるだけだったら、どういった時に得して、どういった時に損をするのかをすぐに理解するのは難しいです。銀行員が口頭でリスクについて説明しても、なかなか理解できないでしょう。

それで、損益線を自分で描くことをせずに二重通貨預金に投資してしまうわけです。

しかも、契約をしたお年寄りは、為替相場が円高に振れて損したとしても、自分が騙されたということに気付かないことがあります。単に運が悪かったから円高になっただけと思ってしまってるんですね。仮に円安になっても、わずかな利息しか得ることができなかったということに気付いていないのです。


二重通貨預金なんて、インチキ金融商品のほんの一例にしかすぎません。一昔前なんて、他社株転換社債(EB)なんてものもありました。これは、A社の社債に投資し、満期日になった時に甲社の株式の株価がA社社債よりも高い場合には、A社社債の償還金額を現金で受け取れ、反対に甲社株式の株価がA社社債の償還金額よりも低い場合には、甲社株式を受け取れるというものです。

例えば、A社社債の償還金額(投資額)が100円だったとしましょう。この場合、満期日に甲社株式の株価が110円だった場合、客側はA社社債の償還金額100円を受け取ります。もしも、A社社債の満期日の甲社株式の株価が80円だった場合、客側は甲社株式を受け取れます。つまり、甲社株式を受け取った時点で20円損をしているということです。他社株転換社債に投資して、満期日に株式を受け取った時は必ず損をしているということですね。

他社株転換社債についても損益線を自分で描ければ騙されることはありません。


もしも、この記事を読んで、内容を理解できなかった方は、金融商品に手を出さない方が良いでしょう。

金融商品にだまされるな!

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