ウェブ1丁目図書館

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歴史の授業に教える側の意図が介入していないか

歴史の事実は学校の授業で教えられるのが基本です。

歴史に興味がある人は、自ら本を読む場合もあるでしょうが、土台となる歴史の知識の習得は学校の授業だと思います。これは、日本だけでなく、多くの国の人に当てはまるのではないでしょうか。そのため、国民の歴史に関する理解度は、その国の学校教育が大きく影響していると思います。

もしも、学校の授業で教えられる歴史がゆがめられたものであった場合、その教育を受けた人は間違った歴史を覚えることになります。そして、学校で教わる以外に歴史を勉強しなければ、間違った事実を正しいと信じて生きていくことになります。

海外からの視点は自国の歴史を知るために重要

韓国人の作家であり、評論家でもあるキム・ワンソプさんは、かつて強い反日感情を持っていましたが、後に対日観が大きく変わったと、著書の「親日派のための弁明」で述べています。

キムさんは、オーストラリアやグアムを何度か旅行し、そこで実物の日本人と出会ったことで考え方が変わったそうです。

キムさんは、韓国で反日感情が強いのは、太平洋戦争後にアメリカが朝鮮半島を韓国と北朝鮮に分断したことに原因があると述べています。当時の韓国は李承晩、北朝鮮金日成が指導者でしたが、どちらも反日指向が強い人物でした。そのため、韓国での歴史教育は、国民に反日感情を植え付ける内容となっていると考えています。

冒頭でも述べましたが、国民が歴史的事実を知る手段は、基本的に学校の授業です。韓国で反日感情を植え付ける歴史教育が行われていれば、多くの韓国の人が日本に敵対的な感情を抱くことでしょう。もちろん、日本でも歪められた歴史的事実を学校の授業で教えていれば、偏見が生まれるはずです。

自分が学校で教わった歴史が正しいものか知るのに有効な手段の一つは、海外からの視点で自国の歴史を見ることでしょう。キムさんが、反日感情を捨てられたのも、海外旅行がきっかけです。もしも、キムさんが、海外で日本人と出会わなければ、韓国で教えられている東アジアの歴史が絶対的に正しいと信じつづけていたかもしれません。

海外に留学しても歴史的事実を認められないこともある

しかし、キムさんのように海外に行くことで、過去に教えられてきた歴史が間違っているのではないかと疑問を持つ人もいれば、海外では歴史をねつ造して教えていると思う人もいます。

アメリカの大学に留学したある韓国の学生は、アジアの歴史の講義で、室町時代の日本の海賊「倭寇」が朝鮮半島近海で悪さをしていたことを習います。その講義では、韓国の王が日本の皇帝に倭寇の取り締まりを懇請したと学生に教えたそうです。皇帝は王よりも上の地位にあることを意味します。つまり、アメリカでは、室町時代は日本の方が韓国よりも立場が上だったと教えていたわけです。

ところが、韓国の留学生は、その内容がおかしいと思ったそうです。そして、アメリカの教授が、韓国政府は韓日の歴史的関係について学生に誇張した歴史を教えていると考えていると述べたところ、その留学生は憤慨したそうです。

また別の韓国の留学生は、アメリカの教科書に韓国が中国と日本の影響を受けていた記述があることについて、歪曲された韓国史だと述べたそうです。つまり、その韓国の留学生は、韓国は昔から独立した国だったと母国で教わっていたから、アメリカの教科書には歪んだ韓国史が載っていると考えたわけです。

しかし、韓国が中国の明や清の支配下にあったことは、日本の歴史の教科書にも載っている内容ですから、アメリカの教科書が歪んでいる可能性の方が低いでしょう。

他国に支配されることや併合されることは必ずしも悪ではない

西欧諸国の植民地支配は、植民地の人々から搾取することを目的としたものでした。そのイメージが強いこともあり、他国を支配することや併合することは絶対的に許されないと考える人が多いと思います。

しかし、他国の支配を受けることや併合されることは、必ずしも現地の人々に不利になるとは限りません。

例えば、ハワイ。

ハワイはかつて独立した国で、19世紀後半には、サトウキビやパイナップルなど熱帯作物の栽培に成功して、順調に資本主義が発展していました。しかし、世界中で保護主義が広がると、ハワイの輸出品は打撃を受けます。特にアメリカへの輸出に依存していた砂糖産業は大打撃を受けました。

そこで、ハワイに利害関係を持つ外国人や資本家は、ハワイ政府にアメリカとの合併を要求します。ところが、権力に固執したリリウオカラニ女王は、王権を強化しました。しかし、市民により革命が起こり、女王は追放されハワイはアメリカの一部となり、以後、大きな発展を遂げました。

韓国についても、ハワイと似たことが言えます。韓国は、日本の保護や併合といった支配を受けた後に経済が発展し、教育水準も高くなりました。日本が韓国を併合したことで、韓国の人々は民族的な自尊心を傷つけられたかもしれません。しかし、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、朝鮮半島は、他国の保護を受けることを望む人々が多く、その相手は、清、ロシア、日本の三択でした。

時の朝鮮王朝が清やロシアの力を借り政権の延命を図った一方、革命勢力は日本をバックに民主化の実現を目指します。そして、日清戦争で日本が勝利し、朝鮮半島は長く続いた清の支配から抜け出し、日露戦争後はロシアも朝鮮半島から手を引くことになりました。

ところが、日露戦争で勝利した日本はロシアから賠償金を取ることができず、日本は、自らの資金の持ち出しで朝鮮半島に投資せざるを得ませんでした。日本国内では、伊藤博文朝鮮半島を保護する立場を示していましたが、一方で朝鮮半島を併合すべきだとの意見もありました。いずれの立場であっても、朝鮮半島に投資して経済発展を促進することが、日本列島の経済発展に不可欠だと、当時の日本の政治家たちは考えていました。

最終的に朝鮮半島は日本に併合されました。日本の支配は欧州諸国のような搾取ではなく、投資の面が強く、それが結果として韓国の経済発展に寄与したことを否定するのは難しいでしょう。


歴史の事実を知るためには、感情を入れ過ぎないことが大切だと思います。先入観が事実をゆがめる可能性があります。また、自国の視点だけでなく、他国からの視点も歴史的事実を知るために重要でしょう。

親日派のための弁明 (扶桑社文庫)

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