ウェブ1丁目図書館

ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。なお、当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

仕事と覚悟

仕事というものは、楽しいこともあれば辛いこともありますし、上手くいくこともあれば思い通りにならないこともあります。どちらかと言えば、嫌なことが多いのが仕事ではないでしょうか。

しかし、仕事をせずに生きていくのは、なかなか難しいことなので、ほとんどの人は日々の生活のために仕事をしなければなりません。辛いこと思い通りにならないことが多くても、前に進まなければならないのであります。

好き放題できている人は覚悟を持っている

誰にでも、子供の時にはあこがれの仕事があったと思います。例えば、俳優や歌手のような芸能人になりたいと思った人もいるのではないでしょうか。

芸能人の方は、自分の好きなことを仕事にできて羨ましいと思います。でも、好きなことを仕事にするためには、それ相応の覚悟が必要となるはずです。

テレビで見ない日はないほど、数多くの番組に出演している俳優の坂上忍さんの著書『おまえの代わりなんていくらだっている』は、仕事と覚悟について考えさせられる1冊です。

最近は、バラエティ番組で好き放題に発言している坂上さんですが、仕事に悩むことが3ヶ月に一度はあり、脳味噌がパンクしそうな発作に見舞われるのだとか。しかし、辛いことも多いけれど、やりがいという意味では相当に恵まれた仕事だとも語っています。

言いたいことを言い切るのは、周囲からの批判を浴びやすく、時には大きな失敗をしてしまうこともあります。でも、自分で責任を取るという覚悟さえ決めてしまえば、どんなに周囲からたたかれても、仕事が楽しくなるとのこと。覚悟を決めるのは勇気がいりますが、覚悟の先に仕事のやりがいや楽しさがあるのでしょう。

人生はわからないことだらけ

テレビの世界は、出演者がすぐに交代していくことが多く、今まで露出が多かったタレントの方が、ある時から全く出演しなくなることはよくあります。

坂上さんは、そのような元旬の方と番組で再会することがあるそうです。芸能活動と並行して他の仕事をしている人もおり、充実感が漂っている人もいれば、現状に納得できていないような人もいるそうです。

人生なんてどうなるかわからないものです。もちろん、今の仕事をいつまでも続けていられるかどうかもわかりません。

他人から「あなたはもういらない」と言われることは辛いことです。仕事を失えば生活できませんから、必要のない人間だと思われたくはないです。しかし、誰しもそう言われる可能性はあり、今の仕事を失ったとしても、別の仕事をして生きていかなければなりません。

人生は行ったり来たりです。それを受け入れることができれば、最後は幸せだったなと思えるのかもしれません。しかし、将来どうなるかなんてわからないからこそ、無意味に足掻けるのだと坂上さんは述べています。

趣味がないことは贅沢なこと

趣味がない人を見ると、かわいそうだと思ってしまうもの。果たしてそうでしょうか。

仕事が忙しく、そして充実している人は、趣味にまで時間を割くことができないとも考えられます。一方、多趣味な人は仕事にやりがいを感じていなかったり充実していない可能性だってあります。

無趣味な人は、実はとても贅沢な人なのかもしれません。仕事は忙しいけども楽しくて楽しくて仕方がない状況なら、わざわざ趣味を持つ必要はなさそうです。

仕事が充実している人は、老後の心配などもする時間がなく、常に今を生きている状態です。この状態になったとき、欲望が薄らいでいきそうです。老後はいくら年金が欲しいとか、バリアフリーの住宅に住みたいとか、そんな悩みを感じなくなるはずです。しかし、そういう人に対して周囲は、「ちょっとくらい将来のことを考えなさい」と説教をしてくるものです。

そう考えると、他人の将来のことにあれこれと口を挟んでくる人は、今の自分の状態に不満があり、つい自分とは関係のないことにまで口出ししてくるのかもしれませんね。そして、やたらと他人のことに口出ししてくる人が多い日本社会は、ほとんどの人が現状に何らかの不満を持っているのでしょう。

何でもあるから欲望が強くなる

坂上さんは、田舎に移住したことで、ハズレを感じなくなったと述べています。

都心で不味いと感じたモノでも田舎で食べれば、美味しくなくても不味いとは思わなくなったとのこと。それは、田舎の風景などが精神的余裕を生み出し、味覚をおおらかにさせ、良い意味で食に対する無駄な執着心を消してくれているのだろうと。

欲望渦巻く都会で暮らしていれば、自分にも欲望が伝染し、ちょっとしたことに幸せを感じられなくなるのかもしれません。一度刺激を求めると、次はさらに強い刺激が欲しくなるもの。何でもそろっていて何不自由のない生活ができる都会にいながら、精神的に満たされないのは、常に誰かの際限のない欲が感じられるからなのでしょう。

なければないで何の問題もないモノが、世の中には多いのですが、人々の欲望を感じられる社会では、小さな不満が新たな欲望を生み出し、どこか満たされない感覚が心の奥底から湧き出してきます。

通販で購入した商品が届くのに1週間かかって遅すぎると思ったり、現金払いでレジがもたついているのを見てキャッシュレスにしろと心で文句を言ったりするのは、周囲の人々の小さな欲望が自分に伝染して湧き上がる感情のように思えます。

結局、何でもある社会ほど欲望は尽きないんですね。

しかし、そのような社会だからこそ、仕事があり、人々の生活を支えることになっているのですから、覚悟を持って欲望の中に飛び込むことが、現代人には要求されているのでしょう。