ウェブ1丁目図書館

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自信過剰や相手に共感しないことが失礼な言い方をする原因になる

日常会話の中で、失礼な言い方をされた経験はないでしょうか。きっと、誰にでもあるはずです。しかし、失礼な言い方をした相手には悪意を感じられないことが多く、取り立てて今の言い方は失礼だと指摘することは滅多にないと思います。

一方で、自分は相手に失礼な言い方をしていなかったかと、ふと考えることがあります。自分は大した意味があって放った言葉ではなくても、相手は失礼だと感じていたかもしれません。

今一度、自分の言動を振り返って、あの時の言い方は失礼だったかなと再考する必要がありそうです。

先入観から失礼な言い方をしてしまうことがある

自分が持つ先入観が、失礼な言い方をしてしまう原因になる場合があります。

太っている人を見て、食べすぎだとか運動不足だとか思うのは先入観です。何か理由があって太っている可能性があるのですが、そのことを知ろうとせず会話をすると、つい相手に失礼な言い方をしてしまいます。

イメージコンサルタントの吉原珠央さんの著書『その言い方は「失礼」です!』は、自分が普段意識せずに失礼な言葉を発していることに気づかせてくれます。なお、吉原さんの「吉」は、上が「士」ではなく「土」ですが、パソコンで変換できないので「吉」の字を使います。

吉原さんは、失礼な言い方にならないように「誰もがいわれて、複雑な心境になったり、落ち込んだり、傷ついたりする言葉は徹底して慎むべき」と主張します。

例えば、「疲れて見える」や「やつれている」といった言葉です。確かに相手が仕事が忙しく疲れていることがあるかもしれません。その場合は、気を使ってかけてくれる言葉だと好意的に受け取られるでしょう。でも、元気なのに「疲れて見える」と言われたらどう思うでしょうか。きっと、相手は、自分は老けて見えているんだと感じるはずです。40代以上の人に対して「疲れて見える」と言った場合、失礼だと受け止められかねません。

もしも、相手が疲れているように見えたのなら、「最近、ゆっくり休めていますか?」など、体をいたわる言葉をかけた方が優しさに溢れる表現になると吉原さんは述べています。

肩が凝ってだるいという人に対して、運動不足だと指摘するのもまた先入観によるものです。相手の運動習慣を聞かずに肩こりは運動不足と決めつけていますよね。

先入観が強すぎると相手の情報を知ろうとしなくなります。こういった態度が、失礼な言い方になって表れてしまうんですね。

「だから」や「やっぱり」は慎重に使う

断定的な言い方も相手を不快にさせる可能性があります。

例えば、後輩から「この仕事のやり方は、これで正しかったですか」と尋ねられた時、「だから、この部分はこうやるんだ」といったように「だから」を付けてしまうと、「自分の意見が絶対的に正しく、また自分が発言する時間を人に邪魔されたくないといった傲慢さ」が出てくるとのこと。

確かに「だから」と言われると、次に質問しにくくなりますし、怖い先輩だなと感じて、あまり話しかけないようにしようと思ってしまいます。これは、職場にとっても好ましくないことですから、不必要に「だから」を使わないようにした方が良いでしょう。

また、「やっぱり」という言葉も、頑固さや押しつけがましさを相手に感じさせる言葉なので、使い方に注意が必要と吉原さんは指摘します。

「やっぱり、CDよりレコードの方が味わい深い音が出るよね」と言われると、「そうですね」と言わざるを得ない状況になります。「やっぱり」を使うとき、「相手をどうしても説得したい」という気持ちが出てしまいます。「やっぱり」の多用は自信過剰だと受け止められますから、最も強調したいことだけに絞って使うのが効果的だとのこと。

他に「みんなやってますね」という言葉も相手に失礼になります。有名な観光地に行って写真を撮影し、SNSに投稿したとします。それを知人に見せたときに「みんなやってますね」と言われると気持ちの良いものではありません。そういった話をする人は、褒めてほしかったり、努力を認めてもらいたかったりするものです。「みんなやってますね」と言われると、次回からこの人には話をしないでおこうと思われるかもしれません。

自分と話をしていて楽しいと思われたいなら、「みんなやってますね」とは言わないことです。

「せっかく」は相手に共感する言葉

相手に共感するときに使うのが「せっかく」です。

商品が売り切れていてお客さんが来店した時、「せっかくご足労いただいたのに」や「せっかく遠くからお越しいただいたのに」などの言葉を添えることで、相手に共感を示すことができます。単に「売り切れです」と言われると失礼な店だなと思ってしまいますが、一言「せっかく」と加えるだけで、相手の落胆した気持ちに寄り添うことができます。

テクニックとして「せっかく」を使うのはどうかという意見もあるでしょうが、相手に手間をかけさせてしまったとの気持ちを伝えることができるのですから覚えておきたいですね。

また、失礼な言い方をしてしまう人は、相手に共感する気持ちが薄い場合もあるでしょう。「せっかく」という言葉をこれまでほとんど使ってこなかった人は、もしかしたら自分は相手の気持ちを理解せずに会話をしているのではないかと省みてはどうでしょうか。

自分自身のためによく「せっかく」を使う人も共感力が低いかもしれません。「せっかく、あの店に行ったのに商品が売り切れで腹が立った」などとの愚痴は、つい言ってしまうものですが、「せっかく」をこのように多用している場合は、相手の事情を察しようとしていない可能性がありますね。


失礼な言い方をしてしまう人は、相手に共感する気持ちが薄いのかもしれません。

自分は人に対して失礼な言い方をしていたかもしれないと振り返る人は、それほど失礼な言い方をしていないでしょう。反対に自信過剰な人は、失礼な言い方をしている可能性が高いのではないでしょうか。自信満々に持論を展開してばかりいる人は、一度、会話の中で「だから」や「やっぱり」をよく使っていないかどうかを確かめてみましょう。

相手に対して「せっかく」という言葉を使うようにすることでも、これまでの自分の言い方が失礼だったことに気づけるのではないでしょうか。