ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

フィールドセールスから戦略型のインサイドセールスへ

企業が存続するためには、とにかく売上がなければなりません。そして、売上を維持したり増やしたりするためには、必ず顧客を獲得する必要があります。

この顧客を獲得するための行為を一般的に営業といいます。

営業には、様々な手法がありますが、営業職でない人でも知っている手法には、飛び込み営業、電話営業、ルートセールスなどがあります。この中で、飛び込み営業や電話営業を受けたことがある人は非常に多いと思います。そして、ほとんどの人が迷惑だと感じたことでしょう。

だから、今まで当たり前に行われていたこれらの営業は、効果が低く、そのうち実施する企業は少なくなるはずです。

年間1.5兆円の無駄

株式会社日本創成投資の代表取締役社長の三戸政和さんの著書『営業はいらない』によると、電話営業の成功率は1%とのこと。したがって、99%の電話営業は失敗します。

そう、日本全国の営業職が1年間に行っている電話営業のうち99%が何らの成果もあげていないのです。そして、その無駄は、年間1.5兆円にも上るというのですから、今すぐにでも電話営業を廃止するべきです。

電話営業でも飛び込み営業でも、断られる営業職の方は、多大な精神的ストレスを受けます。営業をかける方も受ける方も、99%のデメリットしかない現在の営業手法で、いったい誰が得するというのでしょうか。

営業とセットになって使われる言葉に「ノルマ」があります。ノルマは労働の目標量であり、その起源はロシア語です。シベリア強制労働からの帰還者が、ノルマという言葉を持ち込み、昭和の企業では当たり前のように使われ、現在でも生き残っています。

ノルマを課すことで成果が上がるのなら、営業職1人に月10億円のノルマを課せば、10人で年商1,200億円を達成できます。そんなことが可能かどうかは、自分の会社を見ればすぐにわかるでしょう。

無理な営業は拡大路線が原因

営業職にノルマを課しても、売上が増えません。それなのに営業ノルマが課されるのは、これまでの日本企業が拡大路線を歩んできたからです。

製品の原価は、大量生産によって低減できます。とにかく大量に作ることで、規模の経済が働き単位原価を下げることができました。しかし、どんなにたくさん作っても売れなければどうしようもありません。だから、営業職を大量に抱え、飛び込み営業でも電話営業でも何でもやって、顧客を獲得するというのが従来の日本企業の戦略でした。

ところが、モノがあふれた現代日本では、大量生産は通用しなくなってきています。かつては、モノを所有することがステイタスでしたが、今はもうそんな時代ではありません。自動車にしても、以前は見栄で持つ人が多かったですが、今は単なる移動手段と考える人が増えており、別にマイカーを持たなくても構わないといった風潮になってきています。

これは、自動車に限ったことではありません。マイホームだって同じです。

しかし、企業が、まだ大量生産によって利益を獲得することを考えている限り、どうしても多くの営業職を抱えることになります。そして、営業職を多く抱えるほど、人件費がかかりますから、それだけ営業ノルマもきつくなり、さらに彼らに精神的ストレスがかかってしまいます。

上場会社の場合は、投資家の期待に応えるため、株価を上げ続けなければならないので、どうしても拡大路線を歩まなければなりません。

進化型インサイドセールス

外回りの営業手法をフィールドセールスと言います。これに対して、最近では、社内にいながら消費者にアプローチする内勤型のインサイドセールスという手法が注目を集めています。

さらにインターネットなどの情報技術の発展によるセールステックを利用した進化型インサイドセールスも出現しています。

セールステックには、マーケティングの一部自動化、営業活動の一部自動化、カスタマーサポートやアフターサポートの一部自動化といったツールがあります。これら、セールステックを使うことで、不要になるフィールドセールスが出てくると考えられています。

ルートセールスは不要になるでしょうし、カスタマーサポートもメールの自動配信で省略される部分が出てきます。

営業職が生き残るためには、今後はインサイドセールスに移行する必要がありますが、セールステックが浸透した後には、人員整理の波がやって来るだろうと三戸さんは予想しています。

戦略を立てる地位に就く

これまで、日本企業が大量生産を主軸に売上と利益の拡大をしてきたのは、それが最も効率的な戦略だったからです。

しかし、モノ余りの現代では、大量生産で売上と利益を増やすのは難しくなっていきます。


「そんなことはわかっているけど、上が方針を変えない限り、フィールドセールスから抜け出せない」


そう思っている営業職の方は多いはずです。それなら、自分が戦略を立てられる地位に就いてはどうでしょうか。

三戸さんは、少数精鋭の小商いをすすめています。大企業の営業職である限り、拡大路線から抜け出すのは難しいです。でも、自分で商売を始め、少数精鋭型の小商いをすれば、拡大路線をとらずに仕事ができます。

冒頭でも述べましたが、企業は売上がなければ存続できません。そして、その売上を獲得しているのは営業職です。したがって、営業職はこれからも必要です。ただ、営業のやり方を変えなければならないだけです。

現在、営業職の方は、企業が存続するための売上獲得の業務を担っています。だから、新たに小商いを始めた場合、他の職種と比較して、売上獲得のノウハウを知っているので、成功する確率が高いです。ただ、今までのようなフィールドセールス中心の営業では、無駄な仕事が増えるだけです。

もうすでに勤め先の営業戦略に問題があると気づいている方なら、どんな戦略を立てるべきかはわかっていることでしょう。