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ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

成功の大部分は運命。努力しても報われないことはある。

運命。

人の意志とは関係なく人に幸や不幸を与える力、また、それによって起こる事柄や状態を運命といいます。運命によって手にした幸福もあれば、運命によって引き起こされた不幸もあります。

運命によって得られた幸福を自分の努力だと言う人がいます。運命によって引き起こされた不幸を自分の努力不足だと言う人がいます。では、努力によって運命を変えることはできるのでしょうか?

運命を認める

世の中には、大成功を収めた偉人が何人もいます。歴史の教科書に登場する多くの人物が大成功を収めていますし、現代でも、小さな会社を大企業に育てたり、政治家になって国を豊かにしたりした偉人もいます。

そして、ほぼ例外なく偉人と呼ばれている人は、成功するために努力をしています。だから、その努力を知った時、人は努力によって成功できると思うのでしょう。運命を変えれると思うのでしょう。

我が国で、大成功を収めた経営者としてすぐに思い浮かぶのは、松下幸之助さんです。松下さんが起こした松下電器(現パナソニック)は、日本人ならほとんどの人が知っている大企業となりましたし世界的にも有名です。その松下さんの側で仕事をしていた江口克彦さんの著書「新装版 成功の法則」を読むと、松下さんは、「人間はほとんどが運命」だと感じていたようです。

今日までの自分を考えてみると、やはり、九〇パーセントが運命やな。電気の仕事をやるにしても、わしがもし大阪でない、別のところにいたらどうであったか。電車を見ることもなかったから、電気の仕事をやろうと閃くこともなかったやろうな。たまたま大阪の街に出ておった。特にとりたてて力のない平凡なわしが、一応仕事だけでも成功したということを思えば、なおさらのことやな。
そういうことを考えてみると、人間はほとんどが運命だとつくづく感じるな。そういう幸運に、わしは心から感謝をしておるよ
(148~149ページ)

その人の運命は、生まれた時から決まっています。日本で生まれるか海外で生まれるかで、その後の人生は大きく変わります。日本で成功したのと同じことを海外でやっても成功するとは限りません。それどころか、同じ日本に生まれて同じように努力しても、一方は成功を収め、一方は失敗することだってあるのです。

スポーツの場合は、体が大きい方が有利になりやすいです。だから、体が小さい人は、体が大きい人と同じ努力をしても結果を出すのが難しいです。これは、運命と言うしかないでしょう。

それでも努力する

松下さんは、人生の大部分が運命によって決まっているとしても、努力をしなくて良いとは言ってません。運命が90パーセントだとしても、残り10パーセントの努力は必要なのです。

だから、運命が九〇パーセントだから努力しなくていいということにはならんね。けれども、努力したから必ず成功すると考えてもあかんよ。しかし、成功するには必ず努力が必要なんや。
つまり舵となる一〇パーセントでの人事の尽くし方いかんによって、九〇パーセントの運命の現れ方が異なってくる。生き方次第で、自分に与えられた運命をより生かし、活用できるというわけやね
(151~152ページ)

努力は成功するための十分条件ではありません。しかし、成功した人は誰もが努力しています。だから、努力は成功のための必要条件と考えられます。

人事を尽くして天命を待つ。

そういう態度が大切なのかもしれません。

努力で運命は変えれない

どんなに努力しても運命を変えることはできません。

ところが、自らの成功は努力だけで成し遂げたと考える人がいます。努力だけで成功できると考える人は、成功できない人を見ると、努力が足りないと言うのではないでしょうか?

自分の成功が様々なご縁に恵まれたおかげだと考える人は、成功できない人を見て努力が足りないと言わないでしょう。努力しても成功できない人を見て手を差し伸べる人は、きっと変えることのできない運命があることを理解しているはずです。だから、努力している人に手を差し伸べて、ご縁のおすそ分けをするのでしょう。

商売の使命は何か

松下さんは、ある時、こんなことを考えました。

わしの店の近所に同じ仕事の店をだす人がいて、それでおのずと競争になる。ところが競争になれば、たいていわしのほうがうまくいくんや。それはいいのやけれど、その店がだんだん不景気になって、ついには潰れてしまった。競争だから仕方ないと言えばいえるが、さあわしは困った。こちらが良くなれば向こうは悪くなる
(273ページ)

商売をしていると、どうしてもライバル店が出現し競争が生まれてしまいます。そして、競争の果てにどちらかが閉店するかもしれません。

競争に負けたお店は、努力が足りなかったから負けたのでしょうか?そうかもしれません。では、勝ったお店が努力をしていたとして、いったいどのような努力をしていたのでしょうか?赤字覚悟でライバル店よりも安い価格で商品を売り続け競争に勝ったのだとすれば、多くの人が、その努力に違和感を感じると思います。

松下さんは、ある宗教団体を見学して商売にも使命感が必要だと気付きます。

それは商売に使命感がないからや。宗教には人間を救うという大きな使命感がある。それや、それなんやと思った。いまのままではいくら熱心に経営を行っていても、力強い活動は行われない。
それでは商売をするものの使命はなにか。貧をなくすこと、貧をなくして人びとを救うことや。この世から貧をなくすことがわしらの使命なんや。そこで悟ったんやな、わしなりに。そしてこれがわしの経営を進める基本の考え方になった。そういうことがあって、わしは自分の事業を一段と力強く進めることができるようになったんや
(276~277ページ)

松下さんは、貧をなくすことが商売の使命だと悟りました。でも、人によって商売の使命は異なるでしょう。従業員の生活のためと答える経営者もいるでしょうし、世の中を便利にするためと答える経営者もいると思います。

いずれにしても、自分の商売に使命感を持つことで努力の方向が決まり、うまくいくまで天命を待つ態度が養われるのかもしれません。


成功の90パーセントが運命だと認められない企業人は、努力によって成功しようとします。それは良い心掛けだと感じられます。しかし、企業不祥事は運命を受けいれられなかった企業人によって引き起こされていることが多いのではないでしょうか。

[新装版]成功の法則

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