ウェブ1丁目図書館

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ガン細胞を増殖させるエサのやり方を教えよう

人間も含め動物が生きていくためにはATP(アデノシン三リン酸)が必要です。

ATPは、動物にとってのエネルギーです。自動車のガソリンや電車の電力に相当するもので、動物が生命活動を維持するために不可欠です。それは正常細胞に限らずガン細胞にも当てはまります。

細胞は、自前でATPを生み出す能力を備えているので、人間も含め動物は、細胞がATPを産生できるようにエサを与えれば生命活動を維持できます。

ガン細胞はブドウ糖からATPを作り出す

人間の細胞は、ブドウ糖からATPを作り出せます。ブドウ糖は砂糖のような甘い食べ物に多く含まれているだけでなく、米や小麦などに多く含まれる炭水化物もブドウ糖の集合体です。したがって、米食の習慣がある日本人は、あまり意識せず食事をしていれば各細胞にブドウ糖を供給できます。

ブドウ糖からATPを作り出せるのは正常細胞だけではありません。ガン細胞も同じようにブドウ糖をエサにして増殖できるのです。

医師の古川健司さんは、著書の「ケトン食ががんを消す」の中で、ガン細胞は正常細胞よりも3~8倍のブドウ糖を取り入れて生命活動を維持していると述べています。体内のガン細胞はブドウ糖の取り込みが亢進しているので、我々が普段食べている米やパンに含まれる炭水化物(ブドウ糖)を正常細胞から横取りして増殖しています。

したがって、ガン細胞へのエサやりは、日本人がこれまで食べ続けてきた米主体の和食を毎日食べていれば効果的に行えるのです。

ガン細胞はブドウ糖からしかATPを作れない

ガン細胞がATPを作り出すために利用するのは、基本的にブドウ糖だけです。なので、ガン細胞を死なせないためには、毎日せっせと炭水化物を食べ続けなければなりません。これを怠るとガン細胞は増殖できないだけでなく死んでしまうので大変です。

あなたが自分で生み出したガン細胞をかわいいと思うのであれば、3食必ず米かパンを食べるようにしましょう。うどんやラーメンにも多くの炭水化物が含まれているので、ガン細胞が喜ぶ食品です。

ところで、なぜガン細胞はブドウ糖からしかATPを作れないのでしょうか?

人間の細胞は、ATPを作り出すために解糖系とミトコンドリアの2種類のエンジンを持っています。このうちブドウ糖からATPを生み出すエンジンが解糖系です。しかし、解糖系はミトコンドリアと比較してATPの産生量が極めて少ないので、正常細胞は解糖系だけでは生存できません。

ところが、ガン細胞は解糖系だけで生存に必要なATPを生み出せます。その理由は、ブドウ糖を取り込むための輸送体が正常細胞よりも多いからです。

がん細胞にはATPの産生量の低下を補うために、ブドウ糖をふんだんに取り入れる玄関のようなものが、多く存在するのです。そのため、がん細胞の細胞膜では、細胞内へのブドウ糖の取り込みを担当する「ブドウ糖輸送体(グルコーストランスポーター)」というタンパク質が、異様に増えています。
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ガン細胞にはブドウ糖が必要です。だから、人間は彼らの増殖を助けるためにできるだけ米やパン、そして甘いものをたくさん食べてあげなければなりません。

ブドウ糖を食べなかったらガン細胞はどうなる?

では、人間が普段の食事から炭水化物を補給せず、ガン細胞にブドウ糖を供給しなくなるとどうなるのでしょうか?

最初に述べましたが、正常細胞もガン細胞もATPがなければ活動できません。したがって、ブドウ糖からしかATPを作れないガン細胞は、ブドウ糖の供給が絶たれると増殖できなくなりますし、最悪の場合死にいたります。

正常細胞もブドウ糖がなければ解糖系からATPを作れません。しかし、正常細胞は赤血球のような一部の細胞を除き、ミトコンドリアを使って大量のATPを生み出せます。解糖系をマッチとすれば、ミトコンドリアはガスバーナーのようなものです。

ミトコンドリアがATPを生み出すために必要とするのは、アセチルCoAと酸素です。人間が酸素を吸うのは、ミトコンドリアで生み出す大量のATPがなければ生きていけないからです。アセチルCoAはブドウ糖から合成されますが、他にタンパク質と脂肪からも合成可能です。

ミトコンドリアが、ブドウ糖からアセチルCoAを合成する場合、必ず解糖系を経由しなければなりません。ところが、脂肪の分解産物である脂肪酸は別経路からβ酸化を経てアセチルCoAになります。したがって、脂肪酸と酸素を使ってミトコンドリアでATPを生み出せば、正常細胞はその活動を維持できるのです。また、脳細胞はブドウ糖からしかATPを生み出せないと以前は考えられていましたが、現在では肝臓で脂肪酸から合成されるケトン体からもATPを産生できることがわかっています。

肝臓と赤血球を除く正常細胞が、ケトン体をエネルギーとすることができるのに対して、がん細胞のほうは基本的にこのケトン体をエネルギーとして使うことができません。ケトン体をエネルギーに変える酵素が、ほとんどないからです。
そのため、がん患者さんのエネルギー産生システムをブドウ糖依存からケトン体依存に切り替えることで、がん細胞の分裂が抑制され、がんを縮小、場合によっては死滅させることも可能になるのです
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水素水とビタミンCもガン細胞には危険

世の中には、かわいいガン細胞を殺すために抗癌剤を使う人がいます。

抗癌剤は大量の活性酸素を発生させ、それによってガン細胞を殺すのですが、同時に正常細胞も活性酸素の害を受けて癌化します。したがって、かわいいガン細胞が抗癌剤にやられても、正常細胞がガン細胞に変わります。現在、発癌性が疑われる物質はたくさんありますが、ガン細胞は確実な発癌物質ということがわかっています。

正常細胞が癌化するのは、活性酸素から電子を奪われるからです。電子を奪った活性酸素は、その時点で安定し以後悪さをしなくなります。したがって、正常細胞を活性酸素から守るためには、正常細胞以外の物質の電子を人身御供にして活性酸素に差し出せば良いのです。

古川さんは、抗癌剤治療から発生する活性酸素対策のために水素水を活用しています。

酸化還元力(抗酸化力)が非常に強く、細胞内の活性酸素と反応することによって、それを無害な水に変えて、尿として排泄する働きがあります。
しかも、水素はスーパーオキシドや過酸化水素といった善玉活性酸素には作用せず、ヒドロキシルラジカルのような悪玉活性酸素のみを標的にします。
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抗癌剤治療を受けていない健常者が水素水を飲んで、何かしらの健康上の効果があるのかはわかりません。

また、古川さんは、ビタミンCも天然の抗癌剤としてガン治療に補助的に用いるとのことですが、こちらも抗癌剤投与で発生する活性酸素の除去に役立つそうです。その他に免疫力の向上やガン転移の予防も期待できるようです。

1923年からわかっていた

古川さんは、ガン治療に炭水化物摂取を極端に制限してガン細胞へのブドウ糖供給を絶つ免疫栄養ケトン食を行っています。奏効率は、完全寛解、部分奏効、ガンの進行制御も含めて83%(18人中15人に効果あり)にも上る、すばらしい成果を残しています。

ガン細胞が、基本的にブドウ糖からしかATPを生み出せないことは、昨日今日降ってわいた理論ではありません。

酸素の有無にかかわらず、嫌気的な糖利用を亢進するこのがん細胞の代謝経路は、1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞したオットー・ワールブルグ博士が、マウスの癌性腹膜細胞を用いた実験で解明し、1923年から一連の論文で発表したものです。
(30ページ)

実に1世紀も前にガン細胞がブドウ糖の取り込みが亢進していることがわかっていたのです。


人間が呼吸をするのはなぜか?

それは、酸素とアセチルCoAを使ってミトコンドリアが生み出す大量のATPを使って活動しているからです。ミトコンドリアのATP産生から発生する二酸化炭素を呼気として吐き出す理由もここにあります。そして、ブドウ糖から生命活動に必要なATPを生み出せるのであれば、人間は酸素を吸う必要はありません。

病院で、「炭水化物は主要なエネルギー源だから米をしっかり食べましょう」と指導されたら、こう質問しましょう。

「えっ!先生は酸素吸わないのですか?」

ケトン食ががんを消す (光文社新書)

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