ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

地層と放射性元素から推定する生命の歴史

古代生物の化石が発見されると、研究者たちによって、それが今から数百万年前に生きていた生物だと推定されることがあります。このようなニュースを見ると、いったいどうやってその化石が生きていた時代を推定できるのか不思議に思います。

堆積岩からの年代推定

まず、化石が今からどれくらい前のものなのかを推定するためには、岩石の年齢を推定する必要があります。

講談社の「カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第4巻 進化生物学」によると、見ただけで岩石の年齢を知ることはできないが、相対的な年代を知ることができると最初に認識したのは、17世紀のデンマーク人医師ニコラウス・ステノとのこと。

ステノは、堆積岩が攪乱されていない場合には、岩石の最古の層は底部に位置し、そこから順に高くなっていく層は順に若くなると気付きました。そして、以下の層序学の原理を発展させます。

  • 類似した生物の化石は地球上の広く分割された場所で見つかる。
  • ある化石は若い地層でいつも発見され、別の化石はいつも古い地層で発見される。
  • 若い地層で見つかる生物は古い地層で見つかる生物よりも原生生物に似ている。

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しかし、ステノの時代では、まだ科学技術が発展していなかったため、堆積岩同士を比較することで、こっちの方が古い、あっちの方が新しいと相対的に年代を推定することしかできず、今からどれくらい前にできた岩石なのかを特定することはできませんでした。

放射性同位元素で岩石の年代を決定

岩石の年代を決定する画期的な方法が発見されたのは20世紀です。

20世紀初頭に放射線が発見されたことで、放射性同位元素年代推定法と呼ばれる化石や岩石の年代を推定する方法が編み出されました。

放射性同位元素は、長期間にわたって一定の割合で崩壊します。なので、放射性同位元素が放射性のない別の元素に崩壊するまでの期間がわかれば、化石や岩石に含まれる放射性同位元素がどれだけ残っているかを調べることで、それらが今からどれくらい前にできたものかを推定できるのです。

過去のできごとの年代を推定するために放射性同位元素を使うには、その時点での放射性同位元素の濃度とその半減期を知る必要がある。炭素原子の放射性同位元素である炭素14の場合には、大気上層における、窒素14と中性子との反応による新しい炭素14(¹⁴C)の発生は¹⁴Cから¹⁴Nへの自然な放射性同位元素の崩壊とちょうどつりあいがとれている。したがって、¹⁴Cとより普遍に存在し安定な同位元素である¹²Cとの比は、生きている生物内やそれをとりまく環境ではほぼ一定である。しかし生物が死んでしまうとすぐに、環境との炭素化合物の交換が止まってしまう。
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生物が死ぬと、炭素14の補充が行われなくなるので、遺体における炭素14と炭素12の比は時間が経つにつれて減少していきます。炭素14半減期は5700年、推定可能年代は100~6万年です。ちなみにウラン238半減期は45億年です。

このように岩石を放射性同位元素を用いて年代推定することは、化石の分析との組み合わせで、最も強力な地質年代の推定方法となっています。

過去に起こった生物大量絶滅の原因

地球が誕生してから、数々の生物が誕生しまた絶滅していきました。どのようにして生物が誕生したのかも興味深いですが、なぜ特定の生物が絶滅するに至ったのかも気になります。

過去に地球に生息する生物の多くの種が絶滅した大量絶滅は、劇的な地球の物理的変化が原因だったとされています。地球の気候変動や火山の噴火も生物を絶滅に追い込む大きなイベントです。

6500万年前に起こった大量絶滅は、隕石あるいは小惑星が地球に衝突したことが原因と考えられています。その理由とされるのは、白亜紀(1.45億年前~6500万年前)のあいだに堆積した岩石層と第三紀(6500万年前~260万年前)のあいだに堆積した岩石層を分ける薄層にイリジウム元素が異常に高い濃度で発見されたことです。

イリジウムは地球表面にはきわめてまれな元素ですが、隕石によっては豊富に含まれることがあります。

メキシコのユカタン半島の北岸で直径180kmの円形のクレーターが発見されました。それは隕石が激突した時にできたものとされています。その時に発生したエネルギーは1億メガトンの高性能爆弾に匹敵するものと考えられています。

巨大津波や大規模火災の発生で多くの生物が死んだでしょう。また、火災による煙は空を覆い太陽光を遮ります。光合成をできなくなった植物たちも絶滅したはずです。この時、76%の種が地球上から消滅したと推定されています。


様々な偶然が重なったことで生物は誕生したのでしょう。反対に生物の大量絶滅は、一つの大きな偶然によって引き起こされることがあります。過去の大量絶滅は岩石を調べることで推定できますが、次に起こる生物の大量絶滅がいつやって来るのか、今のところ、それを予測する手段はなさそうです。