2014年に従軍慰安婦の強制連行はなかったことが明らかになりました。
それまでは、1人の日本人男性の証言から戦時中に日本軍が韓国人女性を強制連行し、慰安婦として働かせていたと多くの日本人が思っていました。ところが、韓国人女性が慰安婦として働かされていたことは事実ですが、日本軍の関与による強制連行については一切の証拠がなく、日本人男性の証言も嘘であることがわかりました。
すでに1990年代前半に日本軍の関与による強制連行はなかったことが、国内の専門家の間での共通認識になっています。それなのに強制連行があったという嘘を多くの国の人々が今も信じ続けています。
済州島での慰安婦狩り
日本人男性が告白した慰安婦狩りは、済州島で行われたことになっています。男性は、9人の部下を連れて済州島に行き、現地で陸軍所属の兵隊10名を加え20名で慰安婦狩りをしたと証言していました。
しかし、慰安婦問題を研究する西岡力さんの著書「よくわかる慰安婦問題」で、この男性の証言が嘘であることが暴かれています。西岡さんは90年代の初めに慰安婦問題に関する論文を発表しており、様々な角度から強制連行の有無を調査していました。ところが、調べても調べても、日本軍による慰安婦の強制連行を示す証拠は出てきません。
済州島で慰安婦狩りが行われたのなら目撃者がいそうなものですが、当時を知る済州島に住んでいた韓国人の方は、そのようなことは知らないと述べています。それどころか、200人そこそこしか住んでいない島で、数人の女性が強制連行されたのなら大事件になって、島民全員の知るところになるはずだと指摘し、強制連行はデッチ上げだと語っています。
強制連行されたと証言する女性もいない
日本軍による慰安婦の強制連行があったと日本人男性が証言した後、弁護士、教授、大手新聞社が強制連行があったと言い始めます。虚報は海外にも広まり、韓国では91年に1人の女性が元従軍慰安婦だと名乗り出てきました。
その女性の証言は、家が貧しくて母親に14歳の時に平壌のキーセン(芸妓)の検番に40円で売られたというものです。彼女の口からは、日本軍の強制連行という言葉は出てこなかったのです。
西岡さんは、この女性に話を聞くために韓国に取材に行ったのですが、入院中で会うことができませんでした。しかし、現地の通訳の女性が元慰安婦の方になぜ元慰安婦として名乗り出たのかを訊ねています。
「おばあちゃん、キーセンに身売りされたのですよね」
「そうだよ」
「結局、おばあちゃん、なんで出てきたの」
「いや、わしは寂しかったんだ。誰も訪ねてこない。そしてあるとき、テレビを見ていたら、戦時中に徴用で働かされたいた人たちが裁判を起こすという場面が出たのさ。それで、わしも関係があるかなと思って電話をした」
(42~43ページ)
また、韓国の大学教授が40名の元慰安婦の人々にインタビューをし、その中から信憑性のある19人の女性の証言内容をまとめています。そのうち15人は強制連行されていないと語っています。他の4人は強制連行があったと証言したのですが、そのうち1人は上のキーセンに売られたと言っていた女性なので、後で何らかの理由から証言を変えたと推察できます。
強制連行されたと語った女性の中には慰安婦として働いていた時に家5軒を買えるほどの貯金をしていた人もいました。とても奴隷的な扱いをされていたとは考えにくいです。
残りの2人は、富山県と釜山で働かされたと証言しています。どちらも戦地ではないので強制連行されたとしても、それは日本軍の関与によるものではなく、民間業者によるものだと考えられます。
結局、どんなに調査しても、物的証拠もなければ目撃者も出てこなかったのです。
慰安婦狩りという嘘が広まったことで、本来、補償を受けなければならない人にまで影響が及ぶ可能性もあります。西岡さんは、戦時中に軍需工場に徴用されて働いていた韓国人男性と出会います。その男性は、元慰安婦は強制連行されたのではなく身売りされたのだと語っています。そして、自分はまだ何らの補償を受けていないのに慰安婦の強制連行という嘘が広まると、自分まで嘘をついていると思われるかもしれないと困惑していたそうです。
嘘を広めたのは日本人
慰安婦の強制連行という嘘を広めるのに関与したのは日本人ばかりです。
わざわざ韓国にまで行って、裁判を起こせば戦後賠償を受けられると韓国の人々に宣伝していたようです。そもそも、日本政府と韓国政府との間で、1965年に交わされた条約と協定で戦後賠償は済んでいます。この時点で、韓国の被害者は韓国政府に補償を求めるしかできなくなったのです。それなのに裁判を起こせば戦後賠償を受けれると宣伝するのは詐欺でしかありません。
当然、韓国警察も容疑者を摘発しています。
日本軍が慰安婦を強制連行したという嘘を世界中に発信する目的が何なのかはわかりません。日本国内では、90年代にすでに決着した問題です。しかし、嘘が世界中に拡散され、今では国連までもが事実と認識しています。
嘘は言い続ければ、いずれ事実になる。
虚報は速やかに火消ししないと、やってもいない罪まで着せられることを慰安婦の強制連行問題が現代日本人に教えています。
- 作者:西岡 力
- 発売日: 2012/12/01
- メディア: 文庫