ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

学習目標を持ち一人の時間を作ることが知識や技術の習得には欠かせない

世の中には、仕事ができる人と仕事ができる風な人の2種類がいます。

何か、防虫剤のCMのようではありますが、確かにその通りだと思うのではないでしょうか。「仕事」の部分には、勉強でもスポーツでも何でもよいので置き換えることができます。

仕事ができる風な人は、一般的にコミュニケーション能力、略してコミュ力が高いと言われている人が多く、企業の人事担当者も、仕事ができる風な人のコミュ力の高さから、つい仕事ができる人と勘違いして採用することがあります。

仕事ができる風な人はポジティブ

心理学博士の榎本博明さんの著書『薄っぺらいのに自信満々な人』を読むと、仕事ができる風な人は、ポジティブ思考であることに気づきます。

ポジティブは、前向きで良いことです。今まで経験したことがないことに挑戦し、失敗してもめげずに何度でも立ち上がる人は、失敗を通して様々な経験をし、知識や技術を身に着けていきます。会社も、そのような人材を求めるものです。

ところが、一見ポジティブに思える人を採用しても、実際にはポジティブなのではなく単に薄っぺらいだけの人だったということがあります。新入社員のコミュ力の高さが、人事担当者の眼鏡を曇らせてしまっていたんですね。

ポジティブな人は、自己アピールが上手で、SNSでも自分の知識を発信し、仕事ができそうな雰囲気を作り出しています。でも、いざ仕事になると、その判断に深みがなく、うまくいくだろうとの楽観的観測で行動します。仕事ができる風な人は、対外的な情報発信に多くの時間を割いているため、自らの知識や技術の向上のために費やす時間が不足しているのです。

対してネガティブな人は、意思決定に時間がかかりやすいです。優柔不断なように思えますが、複数の視点から、その意思決定は妥当なのか、失敗する可能性があるのではないかと熟考し、あらゆるケースを想定しているので、なかなか結論を出すことができません。このようにいろいろと考えられるのは、日ごろから勉強し、自分の知識がまだまだ薄っぺらいと自覚しているからです。でも、その意識がさらなる知識や技術の習得に向かう原動力になるので、仕事ができる人への道を歩むことになります。

SNSが勘違いさせる

仕事ができる風な人が誕生する理由として、SNSの普及が挙げられます。

SNSでのフォロワーや「いいね」の数は、その人の注目度を表す指標となります。SNSの世界では、このフォロワーや「いいね」の数こそが、その人の価値の高さのように感じられることから、利用者は、フォロワーや「いいね」の数を増やすための情報発信に力を入れます。

また、SNS上での気の利いた発言が、コミュ力の高さを表しているとも考えられています。

しかし、SNSでは、自分の興味や関心がある人とだけつながり、苦手な人や趣味が合わない人との関係は築かれません。これが、果たしてコミュ力を表しているのでしょうか。もちろん、そんなことはなく、自分と価値観や立場が異なる人とも、対話できる人の方がコミュ力は高いはずです。そして、企業の人事担当者も、そのような人材を欲しています。

一人の時間を持つ

何かの知識や技術を身に着けるためには、一人の時間を作る必要があります。勉強もスポーツの練習も、やるのは自分自身です。いつも、誰かと一緒にいては、自分の知識や技術を磨く時間を作れなくなります。

インターネットがなかった時代なら、友人や知人と会うのは基本的に外出するときだけで、帰宅すれば一人の時間を作れました。その時間に読書をしたり、仕事のためのアイディアを出すことが可能でしたが、今では、帰宅してからもSNSで誰かとつながっているので、一人の時間を作って何かに打ち込むことが難しくなっています。

誰かに評価されることよりも、自分自身で目標を設定し、そして、自分自身で評価できなければ、いつまで経っても、仕事ができる風な人を装い続けなければなりません。

最近では、SNS疲れなる言葉も出てきており、四六時中、誰かとつながっていることに疲労感を感じている人が増えているそうです。他人の評価ばかり気にしていると、そうなっても仕方ないでしょう。

さて、自分が、仕事ができる風な人から仕事ができる人になるためには、学習目標を持たなければなりません。学習目標とは、何か新しいことを理解したり習得したりできるように自分の能力を高めたいという目標です。榎本さんは、「日本の歴史についてもっと深く理解したい」とか「商品知識や営業スキルを磨いて営業能力を高めたい」といった目標を学習目標の例として挙げています。

一方、学習目標とは違い、自分の能力を高く評価されたい、あるいは低く評価されるような事態を避けたいという目標を業績目標といいます。試験の点数を上げる、営業成績を上げるというのが、業績目標の例です。業績目標を持つことも、自分の知識や技術の習得につながりますが、自分にできないことに挑戦して評価が下がることを避けてしまうので、学習目標と比較すると知識や技術を向上させたいとの意欲は低くなります。


あなたの周りにも、きっと仕事ができる人がいるはずです。その人は、いつも誰かとつながっていますか。そんなことはないですよね。その知識や技術を見れば、きっと、誰も見ていないところで努力をしていたに違いないとわかるはずです。

コミュ力が高くポジティブな人を見て、どことなく軽く感じることはないですか。そう感じるなら、その人は、仕事ができる風な人かもしれません。