ウェブ1丁目図書館

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ネガティブもまたポジティブ

運の良し悪しは誰にでもあるもので、今日は運が良かったとか、あの時はなんて不運だったんだと思ったことがあるでしょう。また、あの人は運が良いとか、この人は運が悪いとかいうこともあります。

できることなら、いつも幸運に恵まれて生きていきたいものです。でも、どちらかというと、幸運よりも不運なことの方が、人生には多いような気がしますね。

なにか運気が上がる方法があれば良いのですが。

運気とは?

運気とは、そもそもどのようなものでしょうか。漠然としていて、言葉で表現するのが難しいです。

工学博士で、シンクタンク・ソフィアバンクを設立するなどの経歴を持つ田坂広志さんは、著書の『運気を磨く』で、運気のイメージを以下のように述べています。

  1. 「直感」が閃くということ
  2. 「予感」が当たるということ
  3. 「好機」を掴むということ
  4. シンクロニシティ」が起こるということ
  5. コンステレーション」を感じるということ


シンクロニシティは不思議な偶然の一致が起こることであり、コンステレーションは無関係と思える出来事に何かの意味や物語を感じ選択や行動をすることです。

上の5つは、確かに運が良い人に当てはまっているように思います。では、これら5つは、自分の努力で向上させられるのでしょうか。

運気については科学的な根拠はありません。しかし、世の中には運が良い人や悪い人がいることを誰もが実感していることから、運気は存在していると思います。

田坂さんは、「我々の『心の状態』が、その心と共鳴するものを『引き寄せる』」と述べています。ポジティブな想念を持てば良い運気を引き寄せ、ネガティブな想念を持てば悪い運気を引き寄せると。

だから、自己啓発の本には、成功するイメージを持つこと、それを紙に書くこと、常にそれを声に出して唱えることなど、ポジティブな想念を常に持ち続ける行動をすれば、思い描いた成功を手にできると解説されています。

ポジティブとネガティブは同居する

しかし、ポジティブなイメージを持とうとすると同時にネガティブなイメージも心に浮かび上がってきます。

「志望校に絶対合格してみせる!」とポジティブなイメージを心に描くと、「でも、志望校に落ちたらどうしよう」というネガティブな想念も湧き上がってきます。ポジティブな言葉を発すれば、同じだけネガティブな想念が心に現れます。そして、ネガティブな心の状態が、ネガティブな結果を引き寄せてしまいます。

引き寄せの法則なんて、胡散臭いと思うでしょうが、ネガティブな想念、例えば、ゴルフだと「目の前の池にボールを打ち込みそうだな」と思ったら、不思議と打ったボールが池の中に吸い込まれていくことはよくあります。これは、ネガティブなイメージが、体を委縮させ、本来持っている力を発揮できなかったと考えられます。

つまり、ネガティブな感情は、自分が持つ本来のパフォーマンスの発揮を妨げているのです。どんなにポジティブな言葉を自分に投げかけても、同じだけネガティブなイメージが心に浮かび上がれば、良い結果を残すのが難しくなります。

だから、ポジティブな想念を持つことよりも、ネガティブな想念を持たないことの方が、運気を磨くためには重要です。

ネガティブな想念に支配されていることに気づく

ネガティブな想念を持たないようにしようと思っても、我々現代人は、ネガティブな想念の支配から逃れにくくなっています。

田坂さんは、その理由を以下の3点にまとめています。

  1. 無意識のうちに多くのネガティブな想念が刷り込まれている
  2. 無意識のうちに多くのネガティブな想念が染み込んでいる
  3. ポジティブな想念を抱こうとすると、ネガティブな想念が生まれてしまう


現代の日本では、テレビやインターネットから多くの情報が入ってきます。それら情報は、ネガティブな情報で溢れており、無意識のうちにネガティブな想念が、サブリミナル効果として刷り込まれています。また、過去のネガティブな体験を誰もがしたことがあり、それが心に固着していることも、無意識のうちにネガティブな想念につながっています。

そして、先ほども述べたようにポジティブな想念を抱こうとすればするほど、ネガティブな想念も生まれてしまいます。

運気を磨くためには、これらネガティブな想念に自分が支配されていることに気づく必要があります。

ポジティブもネガティブも同じように受け入れる

運気を磨くためには、ネガティブな想念を抱かないことが大切です。

そして、過去の小さな成功体験を思い出すことも大切です。人は、つい失敗したことを思い出しやすいですが、人生で成功したこともたくさんあります。それら成功体験を思い出すことで、ネガティブな想念が心を支配しにくくなります。

田坂さんは、日本に生まれたことが、そもそも幸運なことだと指摘しています。戦争がない、経済力がある、最先端の科学技術を利用できる、誰もが高等教育を受けられる、高齢者社会が問題になるほど健康長寿である。こんな恵まれた国は、日本以外にないのです。

日本で生まれたこと、それ自体が奇跡であり、幸運なことだと思いましょう。

また、ポジティブとネガティブを切り分けて物事を考えるのも、好ましいこととは言えません。人は、ネガティブなこと、すなわち逆境に立たされた時に大きく成長するものです。ネガティブな経験もまた、運気を磨くためには必要なことです。

そのように考えると、ポジティブもネガティブも同じように受容できます。

世の中には、ポジティブな出来事もネガティブな出来事もないのかもしれません。