ウェブ1丁目図書館

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太ってしまうのは脳汁が原因

先進国では、肥満で悩んでいる人が増えています。発展途上国でも、経済成長していくと肥満で悩む人が増えていきます。

「生活が豊かになるにつれて、暴飲暴食をしやすくなるから太ってしまうのだ」

そう考える人が多いでしょうが、暴飲暴食で太る人は想像しているより少ないはずです。それより、まちがった情報を正しいと思い実践した結果、太ってしまったという人が大半です。そして、まちがった情報を正しいと信じて生活しているから、肥満を解消するのも難しい状況にあります。

自堕落だから太るのではない。

糖尿病専門医の牧田善二さんの著書『糖質中毒』を読めば、肥満の原因が何かがすぐにわかります。読まなくても、タイトルに「糖質」と書かれているので、肥満の原因が糖質にあることは容易に想像できるでしょう。

糖質が太る原因となるのは、我々の身体が、それを中性脂肪として溜め込む機能を有しているからです。糖質は、食べるとブドウ糖に分解され小腸から体内に吸収されます。ブドウ糖が血中に入ると血糖値が上がり、すい臓からインスリンが分泌され血糖値は下げられます。その際、ブドウ糖中性脂肪に変えられ脂肪組織に蓄えられます。これを何度も繰り返しているうちに身体に中性脂肪が溜まっていき、肥満という状態になります。

決して、自堕落な性格だから太るのではありません。

そうは言っても、太っている人は食べすぎているじゃないかと思うでしょう。確かに太っている人は、平均よりも食べているでしょう。しかし、食べたくなるのは自制が利かないからではなく、糖質を食べることで、もっともっと糖質を欲するように我々の脳ができているからです。

糖質が脳汁を垂れ流す

糖質を摂取した時、我々の脳内には、快楽物質のドーパミンが分泌されます。俗にいう脳汁です。これが糖質を何度も多量に食べたくさせる原因なのです。

先ほども述べたように糖質を摂取し血糖値が上がると、それを下げるためにインスリンが分泌されます。そうすると、今度は血糖値が下がり過ぎてしまう場合があり、この時にアドレナリンが分泌され、イライラなどの不快症状が現れます。そこで、再び糖質を無性に食べたくなり我慢できずに食べると、ドーパミンが分泌され幸福感を得られます。

このサイクルが繰り返されていくと、食べた糖質がブドウ糖になり、さらに中性脂肪に変換されて脂肪組織に蓄えられ肥満という状態が出来上がります。これこそが、糖質中毒の状態です。

糖質中毒から抜け出すためには、糖質摂取量を少なくする糖質制限を実践するしかありません。カロリー制限なんて意味がありません。

糖質中毒から糖尿病になる

別に太ってもいいから糖質をたくさん食べたいという人もいると思います。

何を食べるかは個人の自由ですから、好きに食べれば良いのですが、糖質中毒の果てにあるのは糖尿病だということだけは知っておいてください。糖尿病になると、インスリンの分泌量が減り、血糖値を下げられなくなります。高血糖が持続すると、やがて、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害といった合併症を併発します。

糖尿病腎症になれば、尿を作れなくなり体内の老廃物を外に出せなくなりますから血液透析をしなければなりません。糖尿病性網膜症になれば視力を失います。糖尿病性神経障害になれば、足を切断しなければなりません。糖質中毒の先にあるのは、こういった未来です。

糖質中毒から抜け出せないと、やがて腎不全で亡くなることになります。腎不全は日本人の死因の8位です。また、慢性腎臓病がある人は、がん、心筋梗塞脳卒中などにもなりやすく、これらは、日本人の死因の1位、2位、4位です。したがって、糖質中毒から糖尿病になり、慢性腎臓病になれば、がんや心筋梗塞などで亡くなる確率も高まるのです。

加えて、美容面では、ブドウ糖はタンパク質や脂質とくっつきやすく、体内で終末糖化産物(AGE)を作り、シミやシワの原因となります。

糖質中毒は、健康面でも、美容面でも、悪い影響を与えることを知っておきましょう。

肥満は糖質中毒だけが原因ではない

肥満の原因は糖質を過剰に摂取することです。そして、糖質を過剰に摂取したくなるのは、糖質中毒になっているからです。

でも、これだけで肥満で悩む人が増えているとは思えません。

そもそも、糖質自体は絶対に摂取しなければならない栄養素ではありません。なぜなら、人体には、自力でブドウ糖を作り出す糖新生という機能が備わっているからです。この糖新生が行われているから、通常、我々は糖質を摂取しなくても低血糖で倒れることはありません。

ところが、糖質は脳にとっての唯一のエネルギー源だから必ず食べなければならないとか、日本人の体は米でできているから、摂取カロリーの60%を糖質から摂取しなければならないとか、生理学や生化学を無視した言説が世の中にはあふれかえっています。このような情報に普段から接していると、糖質を食べなければ病気になると思い込むのは仕方ありません。糖質中毒よりも、こちらの方が肥満で悩む人を増やしている原因だと思います。

そして、事もあろうにこのようなデマを医学界が流しているから質が悪い。糖質制限をすると早死にするとか、何の根拠もありません。

また、糖質制限をしていると、脂肪酸からケトン体という物質が肝臓で合成され、様々な臓器でエネルギー源として利用されますが、このケトン体も、猛毒だとデマを流し糖質制限をさせないようにしてきたのが医学界です。一方で、糖尿病の治療薬であるSGLT2阻害薬を服用すると、糖質制限と同じようにケトン体が合成されるのですが、この場合には、ケトン体は臓器を保護する良い物質だと言っています。

なんだよ、それ。

年間4万人が血液透析を必要とする状況になっているそうですが、その原因を作っているのは医学界じゃないのかと思ってしまいますね。