ウェブ1丁目図書館

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成長にとって大事なのは失敗した時よりも成功した時の分析

2014年2月19日、日本マクドナルドの社長が、原田永幸さんからサラ・カサノバさんに交代しましたね。

原田さんは2004年に同社に入社し、翌年に会長兼社長兼CEOに就任しました。その頃に原田さんは、「とことんやれば、必ずできる」という本を出版しています。テーマは、大雑把にいうと「成長」です。人として、社会人として、成長するにはどのような考え方が大切か、どういう行動をすることが必要かといったことが述べられています。

この本の中で、僕が共感したのは、「成功体験を分析して、次の戦略に生かす」という内容です。

失敗から多くを学ぶ

人が成長するためには、失敗から多くを学ばなければならないと、よく言われます。原田さんも、「失敗から多くを学ぶ人は成長する」と述べています。

一口に失敗といっても、大きな失敗もあれば小さな失敗もあります。うっかりミスというのも失敗のひとつですね。ここで、誰もがやってはいけないと思うのが大きな失敗でしょう。自分が失敗すると、会社が倒産してしまうかもしれない、あるいは人の命にかかわってくるかもしれない、そういった重大な仕事をする時は、細心の注意を払うにちがいありません。

でも、失敗しても大した影響がないことや、そもそもこんなところで失敗しないだろうということなんかは、気を抜いてしまうことがあるはずです。そして、本当に失敗した時に多くの人がケアレスミスで済ませているのではないでしょうか?

しかし、ケアレスミスのような些細な失敗を二度と繰り返さないようにすることは大切なことです。ケアレスミスだって何回も続けば、周囲の人から「何をやってるんだ」と思われますし、小さな失敗を何度もしている人に大切な仕事を任せようとはしません。

どんな失敗もその重みをしっかりと受け止め、とくにケアレスミスは、
「二度としない」
と神妙に誓うくらいでないと、失敗を繰り返します。どういう状況でケアレスミスが起こったのかを記憶に叩き込み、同じような場面に遭遇したときに注意を払える体制を整えておきたいところです。(60~61ページ)

どんな小さな失敗でも、「次はミスしないぞ」と、自分なりに何らかの対策を立てることが大切ですね。そして、以後、同じ失敗をしなければ、自分自身が成長していることになりますし、周囲からも、そういう評価を受けるでしょう。

どんなに努力しても停滞期はやってくる

人は、努力と成果が時間的に一致するものと思ってしまいます。

特に若い時ほど、そのように思う傾向にあります。僕も学生時代は、そういう考え方でした。でも、様々なことを経験していくうちに努力と結果は、時間的に一致することは滅多にないということがわかってきました。

多くの場合、努力から遅れて結果がやってきます。それは、良い結果であれ悪い結果であれ同じす。良い結果が遅れてやってきたら、努力が報われたと喜べます。しかし、悪い結果が遅れてやって来た時、疲労感というのか絶望感というのか、体から力が抜けて一気にやる気がなくなる感覚を味わうと、そこで、何もかもを投げ出したくなります。


でも、そういう悪い結果が後からやってきたとしても、それは良い結果が訪れる前の停滞期なのかもしれません。言い方を変えれば、大きな力を発揮する前の充電時間です。

誰もが、伸びていた能力が突如伸びなくなると、悩みはじめます。
「もう限界だろうか」「努力のしがいがない」「自分には向いていなかったのかもしれない」など、いろいろなことを考えます。そしてギブアップして、上を目指すのをやめてしまう人がでてきます。
そうならないためにも、力は階段状に伸びるという「成長の法則」を覚えておいて損はありません。仕事でも趣味でもスポーツでも勉強でも、自分自身の能力を向上させるために挑むものにはすべて、この法則が当てはまります。
停滞期に必死で努力することは、大きく飛躍するためにジャンピングボードを準備しているようなもの。力が伸び悩んでいるように見えて実は、ジャンプに必要な力が着実に蓄えられていると言っていいでしょう。(80~81ページ)

この「成長の法則」を知っているかどうかで、壁にぶつかった時の行動が違ってきます。

知らない人は、そこであきらめてしまうでしょうが、知っている人は、もう少しで急成長するんだと思い、さらに努力をして結果を出すことでしょう。

成功した時こそ分析する

努力をしてもなかなか結果が出ない時、そこであきらめる人と、なぜうまくできないか悩む人に分かれます。

そして、うまくできなくて悩む人は、どこに問題があるのかを分析するはずです。少し前の段階に戻って失敗した原因がわからなければ、もう一歩後退して分析、それでもわからなければさらに戻るといったことを繰り返すことでしょう。

そうやって分析を繰り返して失敗の原因を突き止め、最終的に成功した時、人は成長したといえます。


このようにあきらめずに失敗の原因を分析する人は多いのですが、成功した時になぜうまくできたのかを分析する人は、あまりいないのではないでしょうか?

でも、実は、成功した時こそ、しっかりと分析することで、失敗した時以上に成長することができるのです。なぜなら、失敗を分析して学ぶことができるのは自分の弱みですが、成功した理由を分析してわかったことは自分の強みだからです。

弱みを克服するということは素晴らしいことですが、厳しい言い方をすると、人並みになっただけですよね。それだけでは、成長したとは言えないでしょう。人が成長したといえるためには、自分にしかない強みを発揮できるようになった時です。

仕事をしていて、どういうわけか、うまくいくときもあるでしょう。また自他ともに「たまたま、うまくいっただけだ」と評価されるような成功に恵まれることもあります。しかし、成功に理由がないものも、「たまたま」もありません。必ず、理由があります。そこをきちんと分析せずに受け流していると、平凡な力しか発揮できません。成功体験から強みを発見してこそ、非凡な能力が開発されるのです。(173ページ)

成功体験にとらわれていては、ある時、大きな失敗をすると言われることがあります。元ヤクルトスワローズ古田敦也さんも著書の「優柔決断」の中で、そのように述べています。

でも、成功体験にとらわれるというのは、以前にやってうまくできたことを同じようにやるということです。うまくできた理由を分析し、自分の強みを引きだすということとは意味が違います。


僕自身もうまくできたことは、あまり分析していませんね。そこで分析をしていなかったから、ある時、なんでもないケアレスミスをしてしまったこともあります。

その時もケアレスミスだから大したことがないと、あっさり流してしまい、同じミスを繰り返しましたね。結局、同じようなケアレスミスを5回くらいした時に失敗の原因を分析し、最初にうまくできた理由がわかったのですが。

肩書きを気にした時が辞めどき

原田さんは、前掲書の中で、「肩書きを気にした時が辞めどき」と語っています。また、原田さんは50代で日本マクドナルドに入社していますが、50代は、「後継者を作って自分の第二の人生・キャリアを考えるとき」とも述べています。

自分の数年先の姿が見えたら、そのときが転機だ、自分が代わるチャンスだということです。転職する、しないにかかわらず、
「何となく先が見えてきた」
と思えたら、そこを転機に新しい仕事に活路を見出す、”とき”が熟していると判断してもいいでしょう。(222ページ)

原田さんが入社して10年の間にマクドナルドの雰囲気は変わったと思います。以前は、ただ食べるだけの空間といった感じだったのですが、最近は、カフェのように休憩できる空間になってきていますね。

ここ数年、同社の業績は低迷していますが、きっと急成長の前の停滞期なのでしょう。

とことんやれば必ずできる

とことんやれば必ずできる