厚生労働省の発表によると、日本人の成人男性の約30%が肥満ということです。
このブログを読んでいる方の中にも、自分は肥満じゃないのかと薄々感じている方も多いのではないでしょうか?そして、肥満を解消するために適度な運動と脂質少な目の食事を心掛けているという方もいらっしゃるでしょう。
その努力に水を差すつもりはありませんが、あなたが肥満解消のために脂質少な目の食事をしているというのなら、それは全くの無駄と言ってもいいでしょう。
なぜなら、肥満の最たる原因が、糖質(炭水化物)だからです。
メタボへのトリガーはインスリンだ
心療内科医の姫野友美さんは、著書の「成功する人は缶コーヒーを飲まない」で以下のように述べています。
健康に気をつけてジョギングをしていても野菜をたくさん食べていたとしても、糖質ばかり食べる食生活を続けていれば、原因である内臓脂肪を減らすことはできず、いずれ重大な病気に発展する可能性は想像以上に大きいのだ。(42ページ)
糖質が健康に良くないということを理解している人でも、その食事内容を観察してみると、たくさんの糖質を毎日毎食摂取しています。
自分は甘いものが苦手だから、糖質はほとんど摂っていないと思っている方も多いでしょうが、そのようなことはないでしょうね。なぜなら、米、小麦には、たくさんの糖質が含まれているからです。甘いものだけが糖質ではないんですね。
朝食に食パン、昼食にうどん定食、夜は健康に気を使って和食という食事をしている人は多いと思います。現代栄養学では、まずまず健康的な食事ということになるのでしょうが、実はこれが、メタボリックシンドロームに向かってまっしぐらに突き進む食事なんですよね。
もしも、このような食事で1日に必要なカロリーを賄っているとしたら、あなたは、毎日、約300gの糖質を摂取していることになります。
ところで、なぜ糖質を摂取するとメタボになるのでしょうか?
それは、糖質が体内に入ると、血糖値が上がり、それを下げるためにすい臓がインスリンを追加分泌し、血液中の糖質を脂肪に変換して体に貯め込むからです。そして、インスリンが追加分泌されるのは、基本的に糖質を摂取した時だけで、脂質を摂取してもインスリンは追加分泌されないのです。
姫野さんが、現代人がジョギングをしたり野菜を多く食べても、内臓脂肪を減らせないと述べているのは、糖質摂取によるインスリンの追加分泌を頻繁に行っているからなんですね。
脳に必要なのはブドウ糖ではなくタンパク質
よく脳の唯一の栄養はブドウ糖だと言われています。
しかし、これは完全な誤りなんですよね。脳は、ブドウ糖の他に脂質から作り出されるケトン体も栄養として利用できます。しかも、ケトン体こそが脳本来の栄養だとも言われています。
脳の乾燥重量の約40%はタンパク質でできています。だから、姫野さんは、タンパク質を意識して摂取する必要があると述べています。
体に絶対に必要なタンパク質はあっても、必須糖質というものはない。しかも糖質は意識して摂らなくても、肉や魚、乳製品、野菜や果物にも含まれており、いろいろな食品を食べていれば脳にブドウ糖を安定供給することができる。ところがタンパク質は、意識してタンパク質を含んだ食品を選ばないとすぐに不足してしまう。したがってタンパク質が足りなければ、脳の神経伝達物質を十分に合成することも、神経を伸ばすこともできない。(55ページ)
人間はタンパク質を使ってブドウ糖を作り出すことはできます。しかし、タンパク質は20種類のアミノ酸でできていますが、そのうちの9種類は絶対に食品から摂取しなければならない必須アミノ酸で、他の栄養で代替することはできません。
つまり、タンパク質に糖質の代わりはできても、糖質にタンパク質の代わりはつとまらないのです。
糖質に偏った現代日本人の食生活では、タンパク質が不足し、糖質過多になっているのは明らかです。飽食の時代と言われていますが、姫野さんによれば、実は現代日本人は必要な栄養が足りていない栄養失調の状態にあるそうです。
うつ病などの精神疾患も糖質が原因
メタボの原因が、糖質の過剰摂取にあることは否定できません。これを否定する医師や栄養士は、勉強不足と断定できます。
最近では、糖質の害についての研究が進んでおり、うつ病などの精神疾患も、それが原因ではないかと疑われるようになっています。
糖質を摂取すると、一時的に低血糖となる事があります。糖質を摂取すると血糖値が上がるのだから高血糖だろうと思うでしょうが、インスリンの働きを思い出してください。先にも述べましたが、糖質を摂取し、大量のブドウ糖が血液中に入り込むと、インスリンが追加分泌されます。追加分泌されたインスリンは、血糖値を下げるために血糖を脂肪に変えて体に蓄積します。これが頻繁に行われた結果、できあがったのがメタボ親父です。
インスリンが追加分泌されて血糖値が下がると、今度は低血糖状態になる事があります。低血糖になると、機能が停止してしまうので、体は、アドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンを分泌して糖質を作り出し、血糖値を上げようとします。これが、問題なんですね。
低血糖症でアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されると、さまざまな精神症状が表れる。アドレナリンはイライラや怒り、攻撃性を高め、ノルアドレナリンは不安、恐怖、抑うつ気分が強くなりやすい。集中力が切れて落ち着かなくなったり、不安になってぐるぐる考えたりするのは、アドレナリンやノルアドレナリンの作用によるものと説明がつく。しかもこれらの不安定な気持ちを落ち着かせようと甘いものへの欲求も高まるが、食べてもまたインスリンが分泌されて血糖値の乱高下をくり返すだけで、安定とはほど遠い状態になる。(16ページ)
仕事中に一息つくために砂糖入りの缶コーヒーを飲んでリフレッシュしている方、脳が疲れてくるとブドウ糖が不足するからチョコレートを食べると良いと信じ込んでいる方。
実は、それが、精神状態を不安定にする原因なんですよ。脳をフレッシュな状態に保ち、精神を安定させるには、血糖値の乱高下を防ぐのが最も効果的です。そのためには、甘いものはもちろんのこと、糖質が多く含まれている食品を普段から食べないように心掛けることが大切です。
スイーツ男子はメタボ予備軍
姫野さんは、スイーツ男子はメタボ予備軍だと述べています。
ここまで読んだ方なら、もう理解できていますよね。スイーツに使われるクリームなどの脂質が多い食材が体脂肪になるのではなく、甘味料として使われている砂糖がメタボへの引き金となっているのです。洋菓子より和菓子の方がヘルシーだと思っている方も多いでしょうが、和菓子の方が砂糖をたっぷり使っているので、メタボになりやすいのは明らかです。
スイーツ男子という言葉には、甘いルックスを連想させる響きがありますが、10年もすれば、そのスイーツ男子が、世の女性が嫌うメタボ親父に変わるのです。
まだ若いから、スイーツを食べていても、しばらくはメタボにならないと思っているそこの男子。腹筋から縦筋が消えていないですか?
もしもそうなっていたら、あなたは、チョイメタ親父ですよ。
成功する人は缶コーヒーを飲まない 「すべてがうまく回りだす」黄金の食習慣 (講談社+α新書)
- 作者:姫野 友美
- 発売日: 2011/04/21
- メディア: 新書