ウェブ1丁目図書館

ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。なお、当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

世の中は知らないことだらけ。でも、調べることは誰にでもできるよ。

大人になると学ぼうとする気力が失われてきます。

小学校から中学校までの義務教育で、やたらと勉強させられてきた反動が、大人になってから出るのでしょうか。これまで十分に勉強してきたから、もう学ぶことは何もないと思いたくなる心理も働いているかもしれません。

でも、大人になっても、わからないことは数えきれないほどありますから、学ぶことに終わりはありません。学ぶことを放棄するのもありですが、それでは、人生がつまらなくなりますし、変化する世の中にもついていけなくなります。

わからないことが調べられる世の中になった

一昔前までは、何かを学ぼうとすると、図書館や書店に行く必要がありました。ところが、今は自宅にいても電車に乗っているときでも、パソコンやスマホがあれば、簡単に学ぶことができる時代になっています。便利になったものですね。

司法書士の阿部亮さんの著書『世界は解らないコトだらけ、なので調べてみた』は、宇宙目線、地球目線、物理目線、人類目線、生物目線、日本人目線、テクノロジー目線から、阿部さんが疑問に思ったことを調べた内容が紹介されています。どの項目も、さらっと読めるので苦になりません。

インターネットが発達しているとはいえ、調べるのは大変だったでしょうね。

比較する視点や尺度は同じか

21世紀に入ってから、地球温暖化が世界的に問題となっています。日本でも、夏は最高気温が過去最高を記録する地域が増えているので、温暖化しているような気がします。

気象庁によると、1891年から2021年までの100年間に世界の平均気温は0.73度上昇しているそうです。

阿部さんは、この100年間で平均気温が上昇していることにある疑問を持ちます。それは、平均気温をどこで測ったのか、観測地は何百ヶ所あるのかということです。20世紀に入り、世界中で戦争が繰り広げられていた時代に毎日欠かさず気温を測定し記録し続けた国がどこにどれだけあったのでしょうか。

これはもっともな疑問です。先進国ならともかく、当時の発展途上国で、毎日、気温を測定し続けることができたのでしょうか。

また、100年前の温度計の性能にも疑問を持っています。100年前の工業製品としての温度計が、細かく温度を計測できたのでしょうか。100年で0.73度の温度上昇なので、100年前の温度計が100分の1度まで測定できる代物でなければ比較しようがありません。仮に精度の高い温度計があったとして、それが世界中に流通していたのかも疑問が残ります。

100年前の観測地と温度計が、現代と全く同じでなければ比較できません。温度計の性能や当時の情勢からみて、100年前の平均気温とされている気温が正しいのか、かなり怪しいですね。実は大して温暖化していないかもしれませんし、実は100年前より3度以上平均気温が上昇しているかもしれません。

努力で酒に強い体質になるか

若い時はお酒に弱かったけど、飲み続けているうちに強くなってきたと感じている人がいるかと思います。

お酒を飲むと酔うのは、体内に入ったエタノールを肝臓でアルコール脱水素酵素が分解してできたアセトアルデヒドが原因です。アセトアルデヒドは、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸となって無毒化し、体外に排泄されます。

お酒に強いか弱いかは、アセトアルデヒド脱水素酵素の活性の高低に依存しています。そして、その活性の高低は遺伝的なものなので、お酒を飲んで酔わないように鍛えることはできません。つまり、昔よりお酒に強くなったと感じるのは、単なる勘違いです。

もしも、お酒に酔いにくくなったとしたら、アルコールがほとんど入っていない偽りのお酒を飲んでいるのかもしれませんね。

風邪をひいたら解熱剤で熱を下げるべきか

誰もが一度は経験したことがある疾患と言えば、風邪でしょう。風邪は、ウイルス感染が原因で、熱が出たり、のどが痛くなったりと様々な症状が出ます。

特に顕著な症状が発熱です。熱が出たら、体を冷やしたり解熱剤を使って下げようとしますが、これは正しい行為なのでしょうか。

実は、発熱は、ヒトの免疫機構がウイルスをやっつけるために行っている行為ですから、解熱剤で熱を下げるのは好ましい行為とは言えません。嘘だと思うなら、分子生物学の本を読んで、発熱が病原体の増殖を抑える防御システムだということを確認しましょう。

異物をやっつける白血球が活性化する温度が37~38度、インフルエンザウイルスが不活性化する温度が40度ですから、低体温が感染症に弱くなる一因だとわかります。身体を冷やさないことが、風邪やインフルエンザから身を守るために大切ですね。

生物の毒も高温に弱い

熱つながりで、生物の毒についても知っておきましょう。

魚だと、ゴンズイ、ハオコゼ、アイゴ、アカエイが、ヒレに毒のとげを持っており、刺されると患部に激痛が走ります。また、虫だと、ムカデ、スズメバチアシナガバチ、ミツバチなどに刺されると、激痛やアナフィラキシーショックを起こすことがあります。

これらの魚や虫の毒は、タンパク質でできているので熱に弱く、60度以上で毒の成分が分解されます。ハチに刺された場合などは、45~50度の熱湯に患部を30分以上浸すことで、痛みを和らげることができるそうです。しかし、スズメバチに刺されたら、すぐに病院で治療してもらった方が良いでしょうね。


世の中には、わからないことがたくさんあります。でも、書籍やインターネットで調べれば、細かいところはわからなくても、大雑把には知識を得ることができます。

その程度の知識で何か役に立つのかと聞かれると、大した役に立たないとしか言えません。しかし、浅くても幅広く知識を得ることで、情報と情報がつながり、日常生活や仕事で使える知識に変わる可能性があります。

調べることで好奇心が湧いてきますから、何も趣味や楽しみがないという方も、身近な疑問を調べることで新たな楽しみを見つけられるかもしれませんよ。