ウェブ1丁目図書館

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メタボは許せない。いつまでも戦い続けるためには心よりも技よりも体が重要。

「心・技・体」という言葉があります。

何事も心と技と体の均衡がとれてこそ、うまくいくといった意味で使われますね。特にスポーツや武道の世界で良く聞く言葉です。単語の並びからすると、精神力を表す「心」が一番大事で、次いで「技」、最後に「体」ということになりそうですが、プロゴルファーの青木功さんは、そうではなく体が最も大事だと、著書の「俺の健康自慢」の中で述べています。

体が充実してこその技と心なのだそうです。だから、青木さんは、「心・技・体」ではなく「体・技・心」だと主張しています。

プレーし続けるために常に自分の体と向き合う

「俺の健康自慢」は、青木さんが65歳に書いた本です。

65歳でもプロスポーツ選手として活躍している人が、どれくらいいるでしょうか?ゴルフは、比較的高齢になってもできるスポーツではありますが、若い選手の方が体力面で上回っているのは事実です。そんな若い選手と還暦を超えた青木さんが互角に戦うためには、並大抵の努力ではないはずです。

ところが、青木さんの著書を読んでいると、常人では真似できそうにないことをしているようでもなさそうです。「俺の健康自慢」を読み終えてみると、「自分の体と常に向き合う」ことが、青木さんの現役生活を支えているように思えました。

青木さんは、自分の体と向き合い、自分に合った健康法を身に付けています。睡眠時間は9時間とるというのが、その例です。

なぜ、青木さんが9時間寝るのかというと、1日の活動時間がだいたい9時間だから、それと同じ時間だけ体を休めるために9時間睡眠にしているのだとか。

こういうことを言うと、9時間睡眠に科学的根拠があるのかと突っ込む人がいるはずです。でも、科学的に説明することはできないでしょう。9時間睡眠というのは、青木さんが数十年間のプロ生活の中で、自分の体と向き合ってきた結果、最も疲れが取れて、翌日のコンディションが良くなる睡眠時間です。科学とかそういう問題ではなく、自分の体を観察して身に付けたものなのです。

だから、誰にでもあてはまることではありません。青木さんが9時間睡眠なら自分も9時間睡眠にしようというのではなく、毎日、睡眠時間を変えて、どれくらい寝た時が快調かを自分自身で見分けなければなりません。


青木さんは、3年ほど前に大腸に爪楊枝の先っぽほどの小さなポリープが発見されました。その時、医師に来年、これ以上大きくなっていたらポリープを手術で取ると言われたのですが、その後、3年間検査に行っていなかったそうです。

これは一般の方に真似してほしくないのだが、俺自身の体は、俺自身が一番よくわかっているつもりだ。体調がすこぶる調子がいいから、きっとポリープはなくなっているか、三年前と変わらぬ状況なのではないかと思っている。(中略)
不安はない。もしそのポリープが悪性で、大きくなっていれば何かしら体に異状が出て危険信号を発するはずだろ。もしそうであるならその信号を俺自身が敏感に感じ取っているはずなんだ。その信号がないうちは、体は健康であるはずなのだ。(58ページ)

こう言い切れるというのは、青木さんが常日頃、自分の体を観察し、自身の内側から聞こえるかすかな声に耳を傾けているからなのではないでしょうか?これは、作家の五木寛之さんがいう養生と同じだと思います。

体の準備ができていないから後悔する

先ほども述べましたが、青木さんの座右の銘は「体・技・心」です。

何をやるにしても、とにかく体の健康が大事だということです。健康であれば、年齢がいくつになろうと新しいことに挑戦できます。だから、青木さんは65歳になっても、できるだけ老化させないように体をいたわり、筋力の維持に努めているそうです。プロゴルファーなら、相当過酷な筋トレをしているのだろうと想像してしまいますが、メニュー内容は腕立て伏せや腹筋運動など、誰でも自宅で行える筋トレとストレッチです。

人間は必ず老化します。青木さんに言わせると、体を動かさなければ年齢以上のスピードで老化するそうです。少しでも体を動かすようにしていれば年相応の老化スピードになりますし、そこそこの運動をすれば、通常の老化スピードよりも遅くできます。

こうやって日頃から体を動かしていれば、何かにチャレンジして失敗しても後悔することはないと青木さんは主張します。

俺に言わせれば、後悔なんていうのは、チャレンジするにあたり、体の準備ができていなかったからこそ過去の自分を悔いるのであって、体を健康に保った状態でチャレンジしていけば後悔することも少なくなる。(66ページ)

青木さんは、自分がプロゴルファーだから、このように述べているのではありません。ビジネスマンであっても、体が充実していればこそ成功できるのであり、未来が拓けていくのです。

体に不安を抱えていると、何かに挑戦しようという前向きな気持ちになりにくいですよね。そのような気持ちで、行動に移して失敗したら、やはり、体調が悪かったから失敗したんだと言い訳してしまいますし、そして、後悔することでしょう。そうならないためには、日ごろから体を充実させておかなければならないということですね。

肉体管理は老化を防ぐことではない

青木さんが、体にこだわるのは、何も老化を予防するためではありません。ただ、ゴルフトーナメントで戦えるだけの体力を維持してきただけです。

これは、一般の人でいうと、いつまでもいい仕事をしたいというのと同じでしょう。そのためには、日頃から体力を維持する努力が大切です。青木さんが、同年齢の人たちよりも若く見えるのは、アンチエイジングに取り組んだからではなく、いつまでもゴルフで最高のパフォーマンスを発揮できるように肉体を維持した結果なのです。

だから、アスリートではない人でも、普段からいい仕事をしようと体力を維持する努力をすれば、結果として、年を重ねても同世代よりも若々しく見えるのではないでしょうか。

俺は、腹の出ているヤツ、俗にいうメタボリックなヤツは嫌いだ。鏡で自分のビール腹を見て、何とも思わないのだろうか。(中略)
そういう人に、直接は俺は何も言わない。(中略)誰かに言われて始めるトレーニングは長く続かない。自ら決意を持って、トレーニングに励まなければ、三日坊主となってしまうし、その効果も期待できない。
努力して腹筋や背筋を鍛えれば、自然と腹は凹んでいくよ。努力すれば、欲が出てくる。その欲というのは、俺にとってはトーナメントでの優勝であり、サラリーマンなら仕事を成功させて昇給なり昇級していくことだろう。努力せずして、金が稼げるか。(158~159ページ)

少々きつい言葉ですが、その通りだと思いますね。

そもそも、メタボになっている時点で、肉体が充実していないでしょう。だから、そういった人は技の切れもなく、精神力も本来のものではないはずです。

自分が今持っている力を存分に発揮するためには、肉体を充実させること。そのためには日頃から体を動かすことが大事です。もちろん最初からハードなトレーニングをする必要はありません。1日10分でも15分でも、できる範囲でウォーキングなり筋トレなりをしていれば、体から力がみなぎりはじめ、仕事も私生活も充実するのではないでしょうか?


僕は、毎日、体を鍛えています。軽い筋トレと外出時はよく歩くようにしているだけですが、それだけでも、体型は高校時代と変わっていませんし、お腹も出ていません。体を動かしている時というのは、不思議と悩み事なんて忘れてしまうんですよね。

青木さんがおっしゃるように体あってこその心の充実なのかもしれませんね。

俺の健康自慢 (角川oneテーマ21)

俺の健康自慢 (角川oneテーマ21)

  • 作者:青木 功
  • 発売日: 2008/06/10
  • メディア: 新書