ウェブ1丁目図書館

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中国のニュースが不思議に感じるのは中国共産党一党独裁と資本主義が結び付いているから

テレビのニュースでは、国際情勢がよく扱われます。

日本国内にいると、世界中で何が起こっているのかを知る手段は、テレビのニュースや新聞になります。しかし、ニュースを見ても新聞を読んでも、なぜ、ある国が別の国と揉めているのか、それが、日本にどのような影響を及ぼすのか、いまいちよくわからないことが多いです。

国際情勢が理解できない理由の一つとして考えられるのは、世界史の知識が不足していることです。日本から近い中国や朝鮮半島の情勢がわかりにくいのも、やはり、世界史の知識が不足しているからです。

形式的には共産主義国の中国が中身は資本主義の理由

駿台予備学校世界史科講師の茂木誠さんの著書『ニュースの”なぜ”は世界史に学べ2』は、国際情勢を世界史の知識を交えながら、わかりやすく解説してくれています。本書の第3章では、身近な中国と朝鮮半島の情勢についても解説されています。

現在の中国(中華人民共和国)は、第2次大戦後に毛沢東が率いる中国共産党によって建国されました。貧富の差が生じるのは、金儲けをするからだと考えた中国共産党は、全ての人民が経済的な平等を手に入れられるように計画経済によって理想の社会を築こうとしました。

しかし、計画経済の下では、経済規模が縮小していく一方だったので、経済は発展せず餓死者が大量に出る状況になっていきました。そこで、1978年に鄧小平が経済を自由化し、経済発展を目指す改革開放を行い、中国は資本主義を取り入れます。ただし、政治は、中国共産党一党独裁だったので、中国は、共産主義と資本主義が同居する国となりました。

汚職が増加

中国の人件費が安かったのは、計画経済下で経済発展できなかったことが理由です。

日本は、第2次大戦後に経済復興し、人件費が上がっていき物価も上昇していましたが、中国では物価も人件費も安い状態が続いていました。

その中国に進出すれば、製品を安くで生産できると考えるのは当然のことで、外国企業は次々に中国に工場を建設していきます。工場を建設するには、中国に土地を持たなければなりません。しかし、中国では、外国企業が土地を持つことは許されず、中国共産党から国有地を借りる以外にありませんでした。

そこで、外国企業は、工場建設に必要な土地を確保するため、中国共産党の幹部に賄賂を贈るようになります。中国共産党の幹部たちは、これで良い思いをできました。

外国企業と中国共産党との癒着は、中国人民に利益をもたらすことはありませんでした。それどころか、言論の自由がない中国では、労働者がストライキをすることが許されず、外国企業は劣悪な労働条件で中国人民を働かすことができました。

このような汚職が増えることで、中国共産党幹部が肥え太り、海外での爆買いが起こったのです。

リーマンショックで下落した人民元

しかし、中国人による爆買いは、2008年のリーマンショックを機に衰えることになります。

アメリカの金融資本は、自分たちが生き残ることに精いっぱいとなり、海外投資を縮小していき、その影響は、中国にも及びました。

毎年8%の経済成長を目標に掲げていた中国は、海外から資本が入って来なくなったことで、その目標を達成するのが困難となります。それでも、無理に目標を達成しようと、公共事業を繰り返します。その結果、誰も住まない高層マンションができていきました。

さすがにこの状況はまずいと思った中国の富裕層は、持っている人民元を外貨に換え始めます。すると、人民元は暴落し始め、2016年には株価の大暴落も起こりました。

景気が悪化した中国では、デモが起こりましたが、中国共産党は、人民解放軍と治安機関の力で、暴動を抑え込みます。反日感情が強い軍と治安機関を手懐け暴動を抑えるために中国共産党は、日本に対して強気な姿勢を崩すことができません。そのため中国共産党は、たびたび日本の領海侵犯を行う必要があったのです。

しかし、これは、日本からの投資を呼び込む機会を失うことになるので、中国経済にとっては逆効果です。

こうやって見ていくと、中国共産党一党独裁のもとでの資本主義が、日中関係に大きな影響を与えていることがよくわかります。

第2次大戦後に国共内戦で、毛沢東率いる中国共産党が、蒋介石に勝利したことが、今も日中関係に影響を与えています。そして、その影響は、台湾にも及んでいます。中国共産党に敗れた蒋介石は台湾に逃れ、以降、中国から台湾に移る人が出てきました。それにより、台湾では、中国と一体になることを望む人たちと中国からの独立を望む人たちに別れるようになります。


本書では、他にもアメリカでトランプ大統領が誕生した理由やイギリスがEUから離脱した理由も、世界史の視点から解説されています。どちらも、昨日今日の出来事が理由で起こったのではなく、もっと古い出来事が重なり合って起こったことなのだということがわかりました。