ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

コタツ記事だらけのブログが乱立するウェブ世界は紙媒体に情報の質では勝てない

インターネットを使って入手する情報には、真偽の怪しいものがたくさんあります。

グーグルを利用して何か調べものをする場合、検索窓に単語を入力し、ボタンをクリックします。すると、その単語に関連するページがいくつも表示されます。上の方に並んでいるページの方が、相対的に信頼できる情報を発信している可能性が高いです。

でも、必ずしも、上位に表示されているページに正しい内容が記されているとは限りません。そして、検索者は、その単語の意味をわからず検索していることが多いでしょうから、閲覧したページの真偽を判断できません。したがって、検索上位に表示されているページに誤りがあると、多くの人が、その単語について間違った知識を得ることになります。場合によっては、誤った情報のせいで大きな不利益を被ることもあります。

タツ記事の乱造

情報を発信する媒体、例えば新聞や雑誌などは、記者が自分の眼で見、自分の耳で聞いたことを文字にして読者に伝えるもの。

紙媒体の情報に慣れ親しんできた人たちは、このように考えているのではないでしょうか。しかし、インターネットの世界では、ライターが見聞きしたことや実際に体験したことを伝えているウェブサイトだけではありません。どこかのウェブサイトに掲載されていた文章や写真を盗用しただけのページがいくつもあり、しかも、そのようなページがグーグルの検索結果の上位に表示されることがしばしばあるのです。

このような盗用によって成り立っている記事だけでなく、インターネットで検索しただけ、テレビで見ただけの情報を発信しているメディアは、インターネット上に多数存在しています。

足で稼いだ情報ではなく、自宅に居ながら入手した情報をもとに書かれた記事のことをコタツ記事といいます。

このコタツ記事が、インターネット上には溢れかえっているのです。

特にひどいのが、他人のコンテンツを盗用してコタツ記事を乱造するキュレーションサイト(まとめブログも同じ)です。個人で運営しているキュレーションサイトであれば、グーグルで検索してもヒットしないことが多いのですが、上場企業が運営するキュレーションサイトは、膨大なページ数を有しているため、どの単語を検索しても、検索結果の上位に出現するのです。

最近は、グーグルも対策を始めたため、キュレーションサイトが上位表示される機会が減っていますが、それでも、上位表示されているページには、コタツ記事が多いです。

文章であれば何でもありのコンテンツ

2016年の後半から2017年にかけて、インターネット上では、大手企業が運営するキュレーションサイトが閉鎖に追い込まれる事件が起こりました。

特にこの頃のキュレーションサイトで問題視されたのが、医療情報でした。

もちろん、当該キュレーションサイトは、他者のコンテンツを盗用して医療情報を発信していました。それだけでも問題なのですが、発信している医療情報に多くの間違いがあり、その情報を信じた人が健康を害する危険があると懸念されるものもありました。

さすがにこの状況を見かねた人たちが声をあげ、医療系キュレーションサイトは閉鎖され、その頃からグーグルでキュレーションサイトが上位表示される機会が減り始めました。

ネットニュース編集者の中川淳一郎さんも、著書の「ネットは基本、クソメディア」の中で、キュレーションサイトの問題を取り上げています。

中川さんも、かつてある企業の依頼でキュレーションサイトの運営に関わっていたそうです。

中川さんは、記事作成にあたって、画像が必要な場合には、他サイトに掲載されている画像に直接リンクを貼り、自サイトのページに表示させる直リンクと呼ばれる手法を利用することがあったようです。直リンクは、著作権を侵害しているのかいないのかグレーな手法なのですが、依頼してきた企業の法務が出典を記せば問題ないと言っていたため、中川さんも直リンクをしていました。

直リンクであれ、ダウンロードして使用する場合であれば、他人の画像を自サイトに勝手に表示するのは良くないだろうと普通は考えるものですが、その企業の担当者は、SNSでシェアされれば良いという方針だったようです。そのため、中川さんがキチンと取材したネタをコンテンツにしたいと言った時も、「それってシェアされると思います?」と言われたとのこと。

キュレーションサイトを運営する企業は、どこも同じようなものだったのでしょう。

とにかく文章と写真が貼られていて、インパクトがあればそれで良し。内容の正確性などどうでもよく、多くのアクセスを集め広告料収入が得られるコンテンツを最重要と考えていたのでしょう。

記事作成にかける時間も短ければ短いほど良く、文字単価も安ければ安いほど良いという姿勢が、検索結果の上位に表示されていたキュレーションサイトの文章を読むと伝わってきたものです。

単価の安さからコタツ記事に走るライター

キュレーションサイトの記事を書いているのは、外注のライターの場合があります。彼らの中には、文字単価0.1円や0.2円で文章を書いている人もいると噂されています。1,000文字書いて100円か200円、その10倍書いても1,000円や2,000円にしかなりません。1万文字は、400字詰め原稿用紙25枚分です。こんなに文章を書いても、2,000円にしかならないのですから独自に取材をして記事を書こうという意欲が出るわけがありません。

それでも、将来はマスメディアで働きたいと思っている大学生、育児の合間に仕事をしたいお母さんがキュレーションサイトのライターをしていたのかもしれません。

安い文字単価で、ある程度の収入を得るにはどうすべきか。

その問いを突き詰めていくと、短時間で多くの文字を書くためにコピペを多用するしかないと結論が出たのでしょう。とりあえず、グーグルで検索して良さげなページがヒットしたら全文コピペ。その後で、接続詞を「しかしながら」から「しかし」に変えたり、文末を「である」から「とされています」などと書きかえる技も身につけ、「盗用ではありません」と言い逃れるつもりだったのかもしれません。

他人のコンテンツを盗用したライターはクソサイト作成に手を染めていましたが、彼らもキュレーションサイト運営企業の被害者だったと思います。企業が彼らに正当な対価を支払えば、コタツ記事の乱造を防止できたのではないでしょうか。

クソサイトには特徴がある

インターネットを汚すクソサイトには特徴があります。その特徴を中川さんは以下のように教えてくれています。

2017年現在のトレンドは「ですます調」「曖昧結論」「ターゲットの様々な点を網羅」「目次あり」。いくつかのサイトを見て「あれ、この文体、どこかで見たぞ」や「このネタ、どこかで見たぞ」と思ったら、そのサイト自体がクソサイトと認定しても良い。(219ページ)

上に列挙されている中で、よく見るのは「目次あり」ですね。

目次を作っているページは、長文になる傾向があるので読むのに疲れます。長文の方がグーグルの検索順位が上がりやすい傾向があり、それが、目次が必要なほど長い文章を詰め込むページが作られる原因だったのでしょう。

他にも、以下のような文言がタイトルに入っているとクソサイトの可能性が高いです。

  • ××で打線組んでみた
  • ××終了のお知らせ
  • [悲報]なんとかかんとか・・・
  • お前ら、なんとかかんとか・・・
  • wwwwwwwwwwwww


インターネットの普及で、多くの情報を無料で入手できるようになりました。

しかし、無料で情報を入手できるようになったことは、その情報の真偽を確かめる力を読み手が持たなければならないようになったと言えます。書籍、新聞、雑誌のようにお金を払って得る情報は、まだまだインターネットよりも良質です。

中川さんは、「知識の差別化をするために、紙メディアを時々購入するのは良いこと」と述べています。

紙メディアは、作る側も多くの費用をかけていますから、ネットのコタツ記事よりも有益です。