様々な人と接していると、中には、付き合いにくいなと感じる人がいるものです。
自慢話ばかりする人、やたらと謙虚な人、自信なさそうに話をする人、周囲に無関心な人、すぐに怒り出す人。
人によって面倒だと感じるタイプは違っているでしょうが、このようなタイプの人が自分の周りにいると、ストレスを感じやすくなります。でも、世の中には、なぜ、付き合いにくい人がいるのでしょうか。
面倒な人の5つのタイプ
心理学博士の榎本博明さんは、著書の「かかわると面倒くさい人」の中で、人生を構成する主要な価値を理論型、政治型、社会型、審美型、経済型の5つに分類しています。
理論型
理屈に合わないことは納得できないタイプ。真理の探究や物事の道理を知ることに惹かれ、理屈に合うかどうかを重視します。
政治型
世の中のあらゆることを支配と被支配の構図で捉えるタイプ。権力欲が強く、人や組織を自分の思うように動かすことに快感を覚えます。
社会型
他人に対する関心が強く、助け合ったり、気持ちの交流に喜びを感じるタイプ。友情や愛情を大切にするので、付き合いやすい人と言えます。
審美型
美しいことに強い関心を持つタイプ。美しさを飽くことなく追求し、美しく生きたいとの思いが強い人です。
経済型
役に立つか立たないかに重きを置くタイプ。現実的な利益や有用性を重んじ、それが何の役に立つかを第一に重視します。
以上の5つのタイプの中で、社会型以外は、どれも付き合いづらそうに思えますね。社会型でも、人のことを放っておけずに感情の渦に巻き込まれたり、お節介になることもあるので、面倒と受け取られることがあります。
自分はどのタイプかを考える
では、自分は上の5つのうち、どれに当てはまるのかを考えてみると、どうも、全てに当てはまるような気がします。きっと、多くの人がそうではないでしょうか。
理論的に行動しようとすることもあれば、打算的に行動しようとすることもあります。他人に迷惑をかけないようにと思うこともありますし、細かいことにこだわる場面もあります。買い物をする時は、支払ったお金に見合う価値が、その商品にあるかどうかを考えてしまいますね。
そうすると、自分の中にも、他人に面倒くさいと思われる性格がいくつもあると言えそうです。そして、他の人も、上の5つのタイプの性格が同居していそうです。
しかし、自分と関わる全ての人が面倒なわけではありません。周囲には、理論型もいれば、政治型もいます。ブランドものにこだわる審美型もいます。それでも面倒と感じる人と感じない人がいるのは、5つのタイプ以外の別の要素があるのでしょう。
面倒な人は他人に興味がない
榎本さんは、面倒と思われやすい人は、「相手の視点や立場を想像できない、あるいは相手の視点や立場に興味がない」と述べています。
注意やアドバイスに反発する人は、相手が立場上注意をせざるを得ないことが想像できず、注意されたことに不快な態度を取ります。自分のために親切にアドバイスをしてくれているのに「自分のやり方では不十分だと言われた」という点にだけ反応し、つい反発してしまいます。
つまり、面倒な人は共感性に乏しいのです。
そうすると、上の5つのタイプに当てはまる人が面倒なのではなく、他人に共感できない人が面倒だということになります。
「あの人は、権力欲が強いから付き合うのが面倒だ」
「あの人は、何かと理屈っぽいから面倒だ」
「あの人は、なれなれしいから面倒だ」
「あの人は、ケチだから面倒だ」
と思うのは、あの人が、共感性に乏しいからなのかもしれません。
面倒と思っている自分はどうか
しかし、こうやって考えていくと、他人を面倒だと思っている自分を周囲はどう思っているのかも考える必要がありそうです。
他人に共感できない人が面倒なのであれば、他人に共感できない自分も面倒な人のはずです。
自分の趣味ではないことをしている人を見て、「くだらないことをしているな」と思ったら、自分も面倒な人の仲間入りです。SNSで、文句を言いたくなったら、すでに本格的な「面倒な人」です。
そもそも、他人を面倒だと思うのは、自分の価値観を押し付けたい気持ちが強まっているからではないでしょうか。
面倒な人とどう付き合っていくかを考えるよりも、自分が他人とどれほど共感できているかを思い返すことが先で、面倒な人をどうこうしようと考えるべきではないのかもしれません。
- 作者:榎本 博明
- 発売日: 2018/05/11
- メディア: 新書