ウェブ1丁目図書館

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菌活なくして美容なし。腸内常在菌と皮膚常在菌の育て方を知ろう。

現代人が忌み嫌う細菌。

病気の原因となるということで、ことごとく彼らを排除していますが、実はそれが、美容や健康にとって不利益なことであることをどれだけの人が知っているでしょうか?

人間の細胞が60兆個に対して、人体に生息している細菌は100兆個ともいわれています。これだけたくさんの細菌が人体に棲んでいるということは、何らかの理由があってのこと。もしも、彼らのすべてが病気の原因だというのなら、人間はすでに死滅しているはずです。

しかし、実際にはそんなことはなく、むしろ、人類は彼ら細菌がいてくれるから健康を保つことができているのです。

病気にならないように体を守ってくれている人体常在菌

医学博士の青木皐さんは、人が健康に生きていくためには、人体常在菌の存在が欠かせないと述べています。

人の口の中には口腔常在菌、腸の中には腸内常在菌、そして、皮膚上には皮膚常在菌が生息しています。常在菌という言葉からわかるように、われわれ人間の体には、常にたくさんの細菌たちが棲みついているのです。

常在菌は、自分たちが棲みやすい環境だから人体にいるのですが、彼らは、ありがたいことに人間の体を病気から守ってくれているんですね。

例えば、インフルエンザウィルスが口の中に入ってきたとします。すると、多くの人は、インフルエンザにかかってしまうと思うでしょうが、必ずしもそうはなりません。少しくらいインフルエンザウィルスがやってきたとしても、口の中にいる常在菌たちが袋叩きにしてくれるからです。

食中毒菌の場合も同じです。外から少しくらい侵入してきたところで、常在菌たちがやっつけてくれるから心配いりません。

とにかく細菌は何でもかんでも悪と考えがちですが、実は、体に棲みついている常在菌たちは、外部から人体に悪影響を及ぼす菌やウィルスの侵入を防ぐバリアの働きをしてくれているのです。だから、人体常在菌をかわいがって育てることが、病気の予防、健康の維持、そして、美容にとって、とても大切なことなんですね。

腸内常在菌の育て方

人は、食事をしなければ生きていけません。なぜかと問われれば、食物から栄養を補給する必要があるからです。しかし、人間は、自分の力だけで、食物から栄養を補給することはできないのです。

例えば肉を食べたとしましょう。この場合、肉に含まれている栄養を腸から吸収するのですが、人間の力だけでは肉から栄養を吸収することはできません。そこに棲む大腸菌が、人間が吸収しやすい状態に肉の栄養を分解してくれているから、人間は、肉から栄養を補給することができているのです。

大腸菌が、もし腸内にまったくいなかったら、分厚いステーキなど、消化できないだろう。実際、赤ちゃんの腸内は、善玉と呼ばれるビフィズス菌が多くて大腸菌が少ない状態なのだが、ミルクや離乳食しか消化できない。ステーキなどを与えたとしたら、すぐさま下痢をしてしまう。大腸菌は食べ物の消化に一役かっているわけだ。(46~47ページ)

大腸菌は、食中毒の原因として嫌われていますが、ちょっといる分には問題ありません。むしろ、彼らのおかげで肉を食べることができるのですから、いてくれてありがとうと感謝するべきなのです。しかも、大腸菌がいるおかげで、それ以上に有害な菌が体内に入ってきても、やっつけてくれるのですから、病気の予防のためには、完全に排除してはならないのです。


大腸菌とは異なり、善玉菌として人々から好かれているのがビフィズス菌に代表される乳酸菌です。

乳酸菌は、腸内でビタミンBを作り出してくれるありがたい細菌です。しかも、腸内を酸性に保ってくれるので、アルカリ性を好む病原菌の腸内への侵入も防いでくれます。だから、乳酸菌は、腸内にたくさんいてくれた方が、人間にとっては助かるわけです。

では、腸内の乳酸菌を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?

それは、乳酸菌が多く含まれた食品を食べることです。具体的には、ヨーグルト、チーズ、漬物といった発酵食品を普段からたくさん食べることです。

ただし、食品に含まれている乳酸菌は、腸内の乳酸菌とは種類が違うため、体の中で生きていくことはできません。だから、食いだめすることは無理です。しかも、乳酸菌は、胃酸に弱いので、食べたとしても、ほとんどが胃の中で死んでしまいます。

乳酸菌たちを腸まで届けようと思ったら、食後に発酵食品を食べるのが効果的です。先に胃の中に入れた食べ物のドサクサに紛れて、腸へと届けてあげるのです。

腸まで到達した乳酸菌たちは、腸内に生息している乳酸菌たちの援軍となり、有害菌と戦ってくれます。そして、有害菌たちと刺し違えて、もともと腸内にいた乳酸菌たちのテリトリーを広げるのに貢献するのです。いわば、食品にふくまれる乳酸菌たちは捨て駒なわけですね。

細菌の世界は早い者勝ちが鉄則。先に増殖した方が勝ちということです。だから、腐敗菌や食中毒菌が腸内で増殖するのを封じるためには、乳酸菌などの善玉菌に先に増えてもらうしかないのです。食品から乳酸菌を補給し、腸内に送って有害菌と刺し違えてもらえば、それだけ、腸内にもともといた乳酸菌がテリトリーを広げやすくなるのです。

さらに腸内の乳酸菌が活発に働いてくれるために彼等の大好物のオリゴ糖を含むゴボウやタマネギも食べておくと良いでしょう。

皮膚常在菌の育て方

肌を健康で美しく保つためにも、常在菌をかわいがって育ててやる必要があります。

表皮ブドウ球菌に代表される皮膚常在菌は、人間の肌を弱酸性に整える働きをしてくれます。健康な肌は弱酸性ということをご存知の方は多いでしょうが、その状態を保っているのが、皮膚常在菌たちであることは、あまり知られていません。

表皮ブドウ球菌は、人間の皮膚から分泌される皮脂をエサにしています。ちなみに皮脂は、それ自体が弱酸性なので、皮膚がしっかりと皮脂に覆われていることが、肌の美容と健康にとって重要なことです。表皮ブドウ球菌が、皮脂を食べて排泄した産生物質も、また弱酸性です。その産生物質を他の皮膚常在菌が食べて排泄した産生物質もまた弱酸性です。

このように皮膚常在菌たちの産生物質が、人間の肌を健やかな状態に保ってくれているんですね。

さらに皮膚常在菌は、黄色ブドウ球菌のように人間にとって好ましくない細菌たちの増殖を防いでくれます。有害菌の多くは、弱酸性の環境では生きていけません。だから、皮膚常在菌がたくさん棲んでくれている肌というのは、有害菌によるトラブルを起こしにくいのです。


さて、皮膚常在菌の育て方です。

皮膚常在菌は、紫外線に弱いので、外出する時はなるべく肌を紫外線にさらさないことが、彼らを育てるためには重要となります。だからと言って、日焼け止めなんかを塗るのは厳禁です。皮膚常在菌は、そういった化学物質に弱いからです。紫外線は、日傘や帽子などで避ける工夫をしましょう。

また、体の洗いすぎも皮膚常在菌を虐待する行為となります。

細菌は、シャワーや入浴で簡単に体から流れていってしまいます。これは、有害菌も同じです。入浴後は、肌がきれいになったと思い込んでいるでしょうが、実は無菌状態という、健康や美容にとって好ましくない状態なのです。もしも、このような状況で、どこからともなく有害菌がやってきて肌に付着したら、肌トラブルの原因になることは容易に想像できるでしょう。

体を洗うと、かわいい皮膚常在菌たちが流されてしまいます。だから、洗いすぎには注意が必要です。カラスの行水こそが、育菌にとって好ましいことなのです。

当然のことながら、毎日、入浴するのも菌を育てる菌活という面からは良くないですね。体が汚れていないのなら、毎日、入浴する必要はありません。洗剤も、皮膚常在菌を虐待する行為なので使いすぎには注意が必要です。

毎日、お風呂に入って、石鹸やボディソープでゴシゴシと体を洗うことが美容に良いと思い込んでいる人が多いでしょうが、実は、その行為が、肌トラブルの最大の原因だということを知っておいた方が良いでしょう。

テレビを見ていると、「菌を洗う」とか「菌に強くなる」とかいう洗剤のCMが流れていますが、このような洗剤を使って服を洗うことが、皮膚常在菌の虐待につながるのは、容易に想像できるはずです。


美容と健康のことを考えるなら、菌を排除するのではなく、自分の体に棲んでくれている常在菌たちをかわいがって育てる菌活こそが大切なのです。