ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

詰んだと思っても選択肢はある

詰んだ。

将棋では、これ以上、どこにも王将が逃げられなくなり、負けが確定した状態をこう表現します。時に人生においても、「詰んだ」と思える状態に遭遇することがあります。でも、じっくりと考えてみると、まだできることは意外とたくさん残っているものです。

「もうこれ以上は打つ手がない」と思っても、選択肢は探せばいくらでもあります。そして、今の状況を打開できると、これまでは思いもよらなかった良いアイディアが見つかり、飛躍できることだってあります。

人生において、選択肢は無限にあるのです。

すべては選択できる

そう教えてくれているのは、ハーバード大学で哲学と心理学を学び、組織行動論で博士号を取得したタル・ベン・シャハーさんです。著書の『ハーバードの人生を変える授業2』では、100以上の場面で2つの選択肢が与えられ、どちらを選んだら良いかが解説されています。我々は、どのような場面でも、選択することができるのです。

姿勢よく座るか、背中を丸くして座るか、パートナーに温かい言葉をかけるか、冷たい表情を見せるか、健康や友人、昼食に感謝するか、それともそれらすべてを当たり前のことと捉えるのか、そして「選ぶ」ことを選ぶか、選べることに気づかないまま過ごすか……。すべて選択することができるのです。(10ページ)

例えば、夏休みの宿題。

休みの前半から毎日コツコツと宿題をすることもできますし、休みの終わりにまとめてすることもできます。どちらを選択することも自由ですが、先延ばしをする人は、ストレスを多く抱え、免疫システムも弱く、よく眠れず、幸福感も低いそうです。

最終的に夏休みの宿題を終えることができても、「いまやる」習慣がある人の方が、夏休みをより充実させることができます。それなら、宿題を先延ばしにするよりも、夏休みに入ったら、すぐに宿題をやり始めた方が良くないですか。

そうは言っても、なかなか宿題を始められないという人も多いと思います。そんな場合は、まず5分間だけ宿題をやってみることで、物事を先延ばしにする癖を解消できます。どんなに乗り気でない仕事でも、まずは5分間だけやってみましょう。

相手を打ち負かすべきか

人間社会では、日々、小さな争いが頻繁に起こっています。

ちょっとした些細なことでも、大きなもめごとに発展し、相手を打ち負かすまで終わらないといった事態になることもあります。相手を打ち負かした喜びは大きいように思いますが、その喜びは長くは続きません。それよりも、お互いが利益を得られるWin-Winの関係を見つけ出した方が、喜びは持続します。

もめごとは、状況の解釈の仕方で起こると言えます。

囚人のジレンマというゲームを学生にさせた実験では、このゲームの内容をウォールストリート・ゲーム(勝ち負けを争うゲーム)と教えた集団とコミュニティ・ゲームと教えた集団では、ゲームの結果が異なりました。

コミュニティ・ゲームと教えられた集団では、ゲームの参加者が協力的になりましたが、ウォールストリート・ゲームと教えられた集団は非協力的でした。参加者に性格的な違いはありません。異なっていては、「状況をどのように定義するか」だけです。

日々の小さな争いも、その状況をどう定義するかによって回避できます。相手を打ち負かしてやろうと思うか、協力できるところはないかと探すか、どちらを選択することもできます。喜びを持続したいのであれば、もちろん後者を選ぶべきです。

現実を直視する

自分の努力で変えられることもあれば変えられないこともあります。

自分の努力で変えられないことについては受け入れるより仕方ありません。

時間を巻き戻すことは不可能です。
重力に逆らうこともできません。

このように努力でどうすることもできないことは、受け入れなければなりません。ただ、現実を直視するだけです。現実を認めない生き方もできますが、それは、多くのストレスを抱えることになります。

また、現実を直視することで謙虚になれます。謙虚とは長所を隠すことではありません。その場に適応している状態のことです。自分の限界を知って、能力を冷静に把握している状態。それが謙虚です。自分の能力を過信することはもちろんのことですが、自分の能力を信じられないことも、謙虚ではありません。

謙虚であることで、神がかり的な可能性ばかりを意識せず、人間が持つ限界を認識できるようになります。


我々は、どのような場面に遭遇しても、常に選択肢を与えられています。

たとえ「詰んだ」と思える状況に立たされても、まだ何か他に可能性が残っているものです。謙虚に現実を直視しながら、状況を分析すれば、新たな選択肢が見つかるはずです。

囚人のジレンマをウォールストリート・ゲームだと説明され、それをずっと信じてゲームをしていれば、相手を打ち負かすことばかりを考えてしまいます。でも、別の視点から見れば、協調できるところがあることに気づきます。

探せば選択肢は見つかるものです。