ウェブ1丁目図書館

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自分を変えたいならドーパミンに頼るな

生きていれば、何度となく「自分を変えたい」と思うものです。


学生時代は、期末試験の前にゲームばかりして悪い点を取った後。
大人になってからは、お酒の飲みすぎで会社に遅刻した後。
中年になった今では、お腹の出っ張りを見た後。


もうゲームはしない、深酒はしない、暴飲暴食はしない。そう誓うものの、その意志は継続せず、また同じことを繰り返してしまった経験が、きっとあるはずです。どうして、あの時の決心は、見事に裏切られてしまったのでしょうか。

3つの力が潜在能力を引き出す

決心しても、また同じことを繰り返してしまうのは、人が持つ3つの力を引き出せていないからです。その3つの力は、以下の通りです。

  1. やる力
  2. やらない力
  3. 望む力


スタンフォード大学の健康心理学者であるケリー・マクゴニガルさんの著書「スタンフォードの自分を変える教室」では、この3つの力を引き出して、目標を達成する方法が解説されています。

ダイエットをしようと思っている人を誘惑するのは、甘いスイーツや清涼飲料水です。これら誘惑に負けないようにするには、「やらない力」を鍛える必要があります。また、夏休みの宿題のようにやらなければならないことをつい先延ばしするのを防ぐには、「やる力」を鍛えなければなりません。

そして、「やる力」と「やらない力」を引き出すためには、本当に自分が望んでいることを思い出すこと、すなわち、「望む力」によって、やる気を維持することが重要となります。

本書では、意志力を高める方法がいくつも紹介されていますが、これらは、すぐに効果が出るものではありません。でも、中には、ゆっくりと呼吸をするといったように今すぐにでも使える方法も紹介されています。例えば、1分間に4回から6回に呼吸を減らすだけでも、ストレスが緩和され、意志力を維持できます。

また、エクササイズをすることでも、意志力が高まります。


「いや、エクササイズができないからダイエットが成功しないんだけど」


と言う人もいるでしょうが、ストレスを解消するのに最も効果的なエクササイズ時間は、たったの5分間です。そして、5分間でできることであれば、以下の2つ以外、どのようなエクササイズでも構いません。

  1. 座りっぱなし、じっと立ったまま、あるいは横になった状態で行なうこと。
  2. ジャンクフードを食べながらできること。


これら以外であれば、5分間のウォーキングでも、5分間のストレッチでも、5分間の筋トレでも、5分間の縄跳びでも、5分間のシャドーボクシングでも、体を動かすことであれば何でも構いません。

自己批判をやめる

自分の決心が続かなかったとき、つい自分を責めてしまいますが、これも目標を達成するために良いことではありません。

失敗は誰にでもあるものです。例えば、友人が失敗した時、どのような言葉をかけるでしょうか。きっと、励ましの言葉をかけるはずです。同じように自分が失敗した時も、心の中で「お前はどうしようもないクソ野郎だな」と自分をけなすのではなく、人間だから失敗するのは仕方がないと自分を許す方が、前向きな気持ちになります。また、自分を批判したくなる時、どのような言葉で自分を批判しようとしているかを考えることで、自分の心の中を見つめられるようになります。

自己批判ばかりをしていると、やけ食い、無駄遣い、ギャンブルなどでストレスを解消しようとしてしまいます。これらが本当にストレス解消になっていたかを思い出してみましょう。きっと、その時は気が晴れたように思うでしょうが、後々、なんて馬鹿なことをしたんだと、再び自己批判をしたのではないでしょうか。

ドーパミンを出してもストレス解消にはならない

やけ食いやギャンブルのようにストレス解消と思ってやっている行為は、快楽物質のドーパミンを脳内に放出します。ドーパミンが放出されると、スカッとした気分になりますが、それは麻薬と同じようなものであり、一時的な快楽でしかありません。

世の中には、様々なストレス解消法がありますが、それらの中にはドーパミンを放出させるものも多く、本当の意味でのストレス解消とはなりません。やけ食いやギャンブルだけでなく、喫煙、飲酒、テレビゲーム、インターネット、テレビや映画の2時間以上の鑑賞は、最も効果が低いストレス解消法です。

一方、最も効果があるストレス解消法には、エクササイズやスポーツ、礼拝に出席する、読書や音楽、家族や友人と過ごす、マッサージを受ける、散歩、瞑想やヨガ、クリエイティブな趣味などが挙げられます。

これらは、ドーパミンが放出された時のような気分の高揚がありません。だから、本当にストレスが解消されたかわかりにくいです。これは、ストレスを感じている時の脳は、どうすれば気が晴れるか、正しい判断ができないだけであり、実際にはストレスが緩和されています。

上に挙げた最も効果があるストレス解消法は、セロトニンガンマアミノ酪酸などの気分を高揚させる脳内化学物質、オキシトシンなどの気分を良くするホルモンを活性化させます。体内のストレスホルモンも減らしてくれます。


自分を変えたいと思ったとき、目標を達成するために何かを継続する必要があります。

しかし、時には失敗もしますし、うまくできなかったときにはストレスも抱えます。そんな時、自己批判をしたり、ドーパミンを放出させるストレス解消法を選ぶと、目標に近づくことはできません。

失敗した自分を許しながら、前に進んで行くこと。

意志力は鍛えることができます。