ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

仕事上の雑談に意味はない

初対面の人と最初に交わす会話は、天気や景気などの雑談になりがちです。そして、どんな人とでも雑談できる人は、コミュニケーション能力が高いと評価されがちです。

人と会話を合わせられるのは、一種の才能と言えます。しかし、その雑談、本当に必要でしょうか。後々、その雑談が何か有益なことにつながったことはあるでしょうか。きっと、多くの人は、その場の無言の状態を嫌って雑談をしているだけで、そこに何か生産性を求めてはいないと思います。

雑談は、その文字からもわかるように雑多な話で、何か意味のあることにつなげようとするものではありません。それなのに取引先の担当者との話は、雑談から始まってしまいます。果たして、雑談はお互いにとって利点があるのでしょうか。

相手の情報を得ないと雑談になる

雑談力が、一種のビジネス・スキルだと思っている人は、その考え方を改めた方が良いでしょう。取引先との会話に雑談が必要なことは、ほとんどありません。

イメージ・コンサルタントの吉原珠央さんは、著書の『自分のことは話すな』で、「相手の情報を得られないまま会話をすれば、相手にとって意味のない雑談へ発展」すると述べています。

そう、雑談とは相手のことを知ろうとしないまま始まる会話なのです。これは、「御社のことはよく知りませんが、うちの商品を仕入れれば儲かりますよ」と言っているのと大差ありません。そして、会話の相手は、まず自分の話になど興味を持っていません。

会話が途切れて沈黙が続くと気まずいから、何とか天気や景気の話でその場を乗り切ろうと考えるのは、自分の都合でしかありません。その雑談を聞かされる相手にしてみれば、無駄な時間を使わされているだけです。

では、無駄な雑談に発展しないためにはどうしたら良いでしょうか。

それは、自分のことを話すのではなく、相手から情報を聞き出すことです。相手の情報がわかった時、こちらから何らかの提案を出せるのです。そして、その提案こそが相手が望んでいることであり、お互いにとって価値のある会話となるのです。自分から一方的に話す天気などの雑談からは、決して相手の情報を聞き出すことはできません。

自分が知っていることは相手も知っている

また、会話の中で気を付けたいのが、自分が知っていることは相手も知っているのではないかと考えることです。

大概の話は、相手もそれなりに知識があるものだと思って会話をしないと、相手に無駄な話をすることになります。そして、そのような知識は一般的な情報であり、相手の立場に立ってみると、意味がない情報かもしれません。

無意味な会話をしてしまうのは、相手の情報を聞き出そうとしていないからです。初対面の相手には、まずは当たり障りのない雑談から入ろうと考えていると、どうしても一般的な知識の話になりがちです。そのような会話は、相手の時間を奪うだけですから、すぐに本題に入れるようにまず相手の情報を聞き出すようにしましょう。

外見や肩書で判断しない

会話の相手の情報には、その人の外見や肩書もあります。

例えば、30代で会社の社長であれば、やり手の人だと思いますし、士業や国家公務員の人だとエリートだと判断しがちです。心の中でそう思うのは構いませんが、外見や肩書で相手が何を望んでいるかを一方的に決めつけて会話をするのはよくありません。

40代の男性が賃貸マンションを借りに不動産屋に入ってきた際、きっと家庭を持っているだろうからと、聞かれもしないのに3LDKの部屋ばかりを紹介しようとしてはいけません。もしかしたら、単身赴任でワンルームマンションを借りたいのかもしれません。部屋の広さよりも家賃を重視していることだってあり得ます。

まず相手の情報を聞き出さずに一般的なイメージだけで会話を進めると、無駄な時間を費やすだけです。それは、相手にとっても自分にとっても利点はありません。

一方で、相手が自分をどう見ているかも意識しなければなりません。自分が社長だと言えば、相手は、きっとお金持ちなんだろうなとか、高級車に乗っているんだろうなと思うものです。ホテルのレストランで食事をしたとしましょう。その際、社長であるあなたが、「ここは意外と安いね」なんて言うと、相手に嫌味な人だと思われかねません。

自分の話は5割カットできる

吉原さんは、「話したいことの5割をカットする」ことをすすめています。無意識に話していることの半分は、言葉にしなくても問題ない内容だとのこと。

相手が求めていることに端的に答えること、代替案は相手が選択できる範囲内にとどめることで、不必要な会話を減らすことが可能です。

お客さんがテレビを買いにお店に来た際、予算は5万円までと言っているのに6万円のテレビをすすめるのは、相手の選択できる範囲を超えています。こういう場合は、5万円以内のテレビを3つほど紹介した方が、お客さんも選択しやすくなり、無駄な時間を費やさずに済みます。これは、相手にとっても自分にとっても良いことではないですか。

また、よくプレゼンなどの冒頭で、「思います」と言う人がいますが、これも省略可能です。


「今から説明したいと思います」
「特別ゲストを紹介したいと思います」


「思います」は、不要ですよね。


「今から説明します」
「特別ゲストを紹介します」


と言った方がすっきりとします。これは、文章を書く時も同じです。不要な言葉はバッサリと切っていきましょう。

余談ですが、ネット上の文章は、とにかく長くした方がアクセス数を増やせる傾向にあります。検索エンジンは、人間の言葉を全くと言ってよいほど理解できないので、文章の長さやその他の付随的な要因で、検索順位を決めることしかできません。ネット上のページが、やたら長文な割に中身が薄いのは、こういったところに原因があります。


仕事では、初対面の相手と会話をしなければならないことがよくあります。初対面の相手とも雑談ができる人はすごいなと思いがちですが、その会話にはほとんど意味がありません。そして、にこやかに雑談をしている人には、案外、仕事を任せたくないものです。

初対面の相手だからこそ、その人の情報を最初に聞き出しましょう。そうすることで、無駄に時間をかけず、相手にとって最良の提案をできるのです。