悩みをどうやって解決するか。
手っ取り早い方法は、友人に相談することです。しかし、友人が何でも知っているわけではないので、悩み事が解決するかどうかはわかりません。でも、誰かに悩みを打ち明けたことで、気持ちがスッキリすることがあるので、解決策を得られなかったとしても無駄なことではないでしょう。
他にも、インターネットで調べたり、心理カウンセラーの方が書いている本を読んだりすることも、悩み事を解決する手段として有効です。
人を改心させようとは思わない
漫画家の西原理恵子さんが、様々な人の悩み相談に答えた「生きる悪知恵」が、とてもおもしろいです。
ミスは人のせいにし、手柄は自分のものにする上司に困っているという悩み。
経験したことはないでしょうか。
西原さんは、「どんな間違った情報でも、真っ赤なウソでも、絶えず発信し続けた人間が勝つ」と述べ、このような上司に対しては、もっと上の人に言うことを提案しています。他には、怪文書を回す、ちっちゃな嫌がらせをコツコツやって弱らせるといった手段も挙げています。
そもそも、人を改心させることなんて無理ですから、本人に言っても無駄なこと。だったら、相手の足を引っ張ることをするのだ。
まずい飯は調味料でごまかす
妻が作る飯がまずいという相談。
まずい飯しか作れない人は、他の生活部分もまずいに違いない。肉なんて、普通に焼いたり炒めたりすれば、普通に美味しいものです。
ポン酢をかければ、それだけでもう十分。だいたい人に飯を作ってもらって、まずいと言う方がどうなんだという話ですよ。
飯の美味しい不味いは、調味料で決まると言っても過言ではありません。ポン酢でも焼肉のタレでも、好きな調味料をかければ何でも美味しくなるのだ。
親と仲良くなる必要なし
親と仲良くできないという相談。
西原さんは、「親子仲よくなくてヨシ」と回答しています。
親と仲良くなくても、困ったときはカネで解決。だから、仕事を頑張ることが第一。親の介護なんて子がするものではなく、介護のプロに任せておけば良いのです。
どうせ介護の知識がないんですから、介護なんてできるわけがありません。だったら、カネで解決。そのためにも、親と仲良くする暇があったら仕事に精を出しましょう。
国際結婚に親の同意はいらない
国際結婚に親が反対しているという女性の相談。
そもそも、親なんて娘が誰を連れてこようと反対するもの。だったら無視して結婚。孫を産んでしまえば、孫ができれば、コロッと変わるものです。
国際結婚に失敗しても離婚すれば良し。ダンナは替えられるけど子供は替えられません。
親の言うことなんて、大概間違ってるんですから、反対されても勝手に結婚すれば良いのだ。
頼まれるとイヤと言えない
頼まれるとイヤと言えない人は多いと思います。
明らかに無理な頼みごとをされたら断れますが、小さなことであれば承知してしまうものです。「100万円を貸すことはできなくても5万円を貸すことはできる」から5万円をつい貸してしまうというのが、その例です。
西原さんは、これに対して「嫌われたくない」という気持ちがあるから断れないのだと述べています。断るのは結構面倒くさいですから、小さな頼まれごとであれば引き受けてしまおうと思ってしまうのが人情です。
でも、1回断わることを覚えてしまえばなんてことはありません。僕も結婚式の出席を断ったことがありますが、それ以来、面倒だと思ったことは何か理由を付けてすぐに断ります。断るという経験を一度でも体験すれば、断ることなんて楽なものです。
年寄りに教育をしても無駄
東日本大震災のことを考えると無力感で落ち込んでしまうという相談に対して、西原さんは、いつの間にか子供の教育の話をしていました。でも、この話がなかなか興味深い。
やっぱり何よりもお金をかけなきゃいけないのは、子供の教育だと思うんです。年寄りはそのうち死ぬんだから、同じお金をかけるなら子供にかけなきゃダメでしょう。年寄りは票を持っているからっていうんで、介護バスは通っててもスクールバスは通っていないとか、そういう矛盾が悲しい。あと、年寄りにいくら教育しても差別意識とかいろんなことは直らない。その代わり、子供たちに新しい価値観を教えてあげることはできるでしょ。そういう新しい価値観を持った子供たちが自分の足で立って生きていけるようなシステムを作ってほしい。それは本当に祈るような気持ち。(173~174ページ)
これは、まさにその通りだと思いますね。大人に教育しても、できあがった固定観念を取り払うのは難しいです。そんなことに時間やお金をかけるのなら、子供の教育にかけた方が圧倒的に有意義です。
だからと言って、少子化対策なんてする必要はありません。子供が増えれば、一人あたりにかけられる時間もお金も減ってしまうのだから意味がありません。薄く教育に時間とお金を使っても、薄っぺらい大人になるだけでしょう。
西原さんの「生きる悪知恵」は、その通り悪知恵ではあるのですが、上手く世渡りをしていくために役立つ悪知恵だと思います。なんにでも、真っ向勝負なんてしていたら体が消耗するだけ。精神的にも肉体的にも消耗しないためには、腕力での勝負は避けること。
生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
- 作者:西原 理恵子
- 発売日: 2012/07/20
- メディア: 新書