ウェブ1丁目図書館

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中小企業は市場ニーズの把握と外部技術の調達でニッチな分野でシェアを獲得する

日本経済を支えているのは、中小企業だと言われています。

中小企業基本法によれば、資本金3億円以下、あるいは従業員数300人以下を中小企業としています。他にも、上場会社を大企業とし、その他を中小企業とする分類などがありますが、中小企業の範囲が広すぎ漠然としています。

そのため、中小企業の活力を高めることが、日本経済の発展のために重要だと言われてもピンと来ないところがありますね。

ものづくりをしている中小企業の3分類

日本の場合、中小企業と言えば、ものづくりを担っている企業がすぐに思いつくのではないでしょうか。そして、それらの中小企業は、大企業の下請けの仕事をしているという印象があると思います。

しかし、一口に中小企業と言っても、その形態には大きくわけると3種類あります。

2008年から経済産業省地域政策研究官をつとめる細谷佑二さんの著書『地域の力を引き出す企業』では、ものづくり中堅中小企業をSC型企業(サプライチェーン)、NT型企業(ニッチトップ)、SP型企業(単工程加工)に分類しています。

SC型企業は、多くの人が想像する下請企業にあたります。取引先は少なく、利益率も低めです。でも、生産のボリュームと従業員数は多いです。

SP型企業は、特定の金属加工の1種類、例えば、切削、鍛造、プレスなどを行っている企業です。SC型企業より取引先は多めで、利益率も高いです。生産のボリュームと従業員数は少ないです。

NT型企業は、ニッチ市場で高いシェアを有する企業です。取引先は非常に多く、利益率も高いのが特徴です。従業員数はSP型企業とSC型企業の中間、生産のボリュームは少ないのが特徴です。

このようにものづくり中堅中小企業は、3分類されることから、十把一絡げの議論は意味を成しません。国が、SC型企業やSP型企業に対し、第二創業という特別な用語を設けて、NT型企業を目指すよう仕向けていますが、あまりうまくいってません。ものづくり中堅中小企業をひとまとめにして議論していることが、その理由の一つと言えるでしょう。

目指すはGNT企業

SC型、SP型、NT型を見れば、多くの人が、これからの中小企業はNT型を目指すべきだと考えるでしょう。

下請けとしてずっとやっていけるかどうか不安ですし、単工程加工も賃金の安い国に仕事を奪われてしまう可能性があります。でも、NT型企業であれば、ニッチな分野で高い市場シェアを維持しているので、そうそう仕事を失うことはなさそうです。

例えば、缶ジュースのあの缶の金型に特化している昭和精工は、NT型企業です。ただの缶のように思えますが、よく見ると、飲み口の蓋は、人の手で簡単に開けることができて、しかも、そう簡単に中身が漏れ出ない工夫がされています。このようなニッチな分野で高い技術力を持つことが、NT型企業になるための条件と言えます。

さらにそのシェアが、海外も含めてトップクラスであるグローバル・ニッチトップ企業(GNT企業)になるのを目指すことも、これからは重要になって来るでしょう。

市場ニーズの把握と外部技術の調達

実は、他にも負けないコア技術を持っている中小企業は多いです。SC型企業もSP型企業も、自社の技術に自信を持っているところばかりです。

それなのにNT型企業になれないのは、市場ニーズの把握ができていないからです。SC型企業もSP型企業も、多くは、販路開拓に難渋しており、それを自覚しているところがあります。

細谷さんは、「技術シーズから発想した製品開発は、ほとんどの場合、市場の壁にぶつかる」と述べています。どこも製品開発の発想の始点が、自社技術を使って何かできないかというところにあり、それが市場ニーズを十分に把握できない原因だと考えられます。

また、売れる製品を作るためには、外部技術を調達する能力も必要だと述べています。NT型企業は、自社が保有するネットワークを駆使して、パートナー探しをします。まずは、これまでの取引などを通じて関係を築いた他の企業を頼りにすることから始まり、そこから共同開発が始まっていきます。

ITの活用でニッチ製品を売る

狭い範囲でトップクラスのシェアを取ると言っても、売れる製品数に限りがあると、大きな利益を獲得できません。

そこで、注目すべきは富裕層です。現在、富裕層には、需要飽和が見られます。つまり、お金はあるけど欲しいものがない状態です。昨今、コロナの影響で旅行も外食もできなくなり、経済は落ち込んでいるにもかかわらず、株価が上がっているという不思議な現象が起こっていますが、これも需要飽和と考えられるのではないでしょうか。

富裕層が購入したい製品を提供するためには、世の中にない製品を作り出すことです。しかし、これは難しいので、なかなか実行できません。でも、既存製品から派生したニッチ製品を提供することは、世の中になかった製品を作り出すよりも簡単です。だから、ニッチ製品を開発し、富裕層に販売できれば、少ない販売数でも大きな利益を獲得できる可能性があります。

では、ニッチ製品をどうすれば富裕層に見つけてもらえるようになるでしょうか。

その方法として、ITの活用が考えられます。例えば、通販大手のアマゾンのシステムを使えば、富裕層にニッチ製品を販売しやすくなります。アマゾンでは、誰がこんなものを買うんだと思えるようなものまで、多種多様に商品が取り揃えられています。中には、年間数個しか売れないような商品もあるのではないでしょうか。これまでは、そのような販売数の少ない商品は店頭に並べられなかったのですが、アマゾンのような通販サイトであれば、こういった少数しか売れない商品でもラインナップに含めることが可能です。

GNT企業を目指すのであれば、アマゾンのような通販サイトを利用することを考える必要があります。


日本のものづくり中小企業には、SC型、SP型、NT型があります。今後も安定的に事業を続けるためには、NT型を目指さなければなりません。でも、NT型企業の場合、取り扱う製品がニッチなため、販路開拓の努力が、より一層求められます。

NT型企業として成功するためには、市場ニーズの把握と外部技術の調達、そして、ITの活用も行っていかなければなりません。