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ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

戦争をするのは人間とチンパンジーくらいのものだ

生物

なぜ人間は戦争をするのでしょうか?長い人類の歴史の中で、人は戦争によって何度も悲劇を生み出しているのに全くなくなりません。

「動物の中で戦争をするのは人間くらいで、他の生き物は同種族で争わないのに」

そう思っている方も多いのではないでしょうか?

確かに私も人間以外で戦争をする動物を見たことがありません。でも、人間と同じ霊長類であるチンパンジーも、実は同種族で争いをするのです。

血縁で結びつくチンパンジー

チンパンジーが、同種族で争うことは霊長類を研究している方たちの中ではよく知られていることです。彼らは、ボスの血縁で結びつき、他のチンパンジーの血縁グループと抗争を繰り広げます。

南極、砂漠、深海など極限の場での生命を研究している長沼毅さんの著書「生命には意味がある」で、チンパンジー社会について興味深いことが記述されています。

チンパンジーの社会は、オスを中心に群れができます。中心となるのがボスで、彼はたくさんのメスを囲っています。その周りにはさらに子分がおり、彼らは全員ボスと血縁関係があります。

このようなチンパンジーのグループが自然界にはいくつもあり、時にチンパンジーたちはグループ単位で戦争をするのです。子分たちは、自分の命を犠牲にしてでもボスを敵から守ろうとします。死にゆくチンパンジーたちは、ボスさえ守れればそれで良いのです。なぜなら、チンパンジーにとっては、自分の血縁のボスが最も優れた遺伝子を持っているので、ボスさえ生き残ればより強い血縁集団を維持できるからです。

また、チンパンジーは敵の血縁グループのチンパンジーを徹底的に傷めつけます。少しでも多くの敵をやっつけることで、自分の群れがより多く生存し、たくさんの子孫を残せるようになるからです。

とにかくチンパンジーの社会は暴力的だ。チンパンジーの群れには縄張り(居住空間と餌場)がある。すると、縄張り争いが起こる。縄張りに侵入してきた敵には攻撃する。が、チンパンジーは「多勢に無勢」が信条で、頭数で勝ち目があったら戦うし、そうでなければ加勢を求める。戦いは残忍だ。相手が降参しても攻撃し、死んでもなお八つ裂きにする。メスがオスを襲うときは赤ちゃんを食べてしまうこともある。
(111ページ)

チンパンジーは、血縁グループを守ろうとします。そのために自分が討ち死にすることも覚悟します。一見すると、利他的に見えますがそうではありません。チンパンジーは自分の血縁グループを守るという点でとても利己的なのです。

人間は血縁を超えた集団を形成する

人間は、チンパンジーと共通の祖先から分かれた種です。そのためゲノムもチンパンジーと99%以上共通しています。

チンパンジー社会と同じように人間社会でも戦争が起こるのは、人間が闘争という面でチンパンジーと同じ特徴を持っているからなんですね。ただ、人間はチンパンジーと戦争の仕方が違っています。集団で戦うという点では同じですが、人間は血縁だけで結びつくのではなく、血の繋がっていない者同士でもグループを形成できます。

しかし、人間の脳では「ミラーニューロン」という神経細胞群および「オキシトシン」などの神経伝達物質のはたらきにより、チンパンジーの社会にはない「協調する能力」が発達した。これにより血縁関係のある他人はもちろんのこと、血縁関係のない赤の他人にまで利他的行動をとれるようになった。人間はもう血縁関係に強い絆で結ばれた仲間集団をつくることができる。これが人間とチンパンジーの大きな違いである。そして、ムラからマチ、マチからクニをつくった原動力のひとつである。
(112~113ページ)

人間は血縁で結ばれていなくても集団を形成する能力を持っているので、より大きな集団を作り出すことができます。しかし、大きな集団を作り出すことができるからこそ、闘争本能が表に現れた時に大規模な戦争が起こるのです。世界大戦が起これば、世界中で敵グループを殲滅する軍事作戦が遂行され、勝ったグループは負けたグループの構成員を完膚なきまでに打ちのめします。

東京大空襲や広島長崎への原爆の投下といった非人道的な行為が行われるのも、チンパンジーと同様の闘争本能を人間が備えているからなのかもしれません。

高確率で氷河期が訪れる

現在、地球温暖化を防止しなければならないと各国がその対策に乗り出しています。

しかし、長い地球の歴史から見ると、そろそろ地球は寒冷化し氷河期に入ります。それは明日かもしれませんし、100年後かもしれません。もっと先の1000年後になるかもしれません。いずれにせよ、高確率で地球は氷河期に入ります。

そもそも地球は太陽から1億5千万キロ離れているため、理論的にはマイナス18度で平衡するはずなのです。これが地球の本来の姿なのです。でも、温室効果ガスのおかげで地表の平均気温はプラス15度を維持できています。


ホモ属(人間)の誕生は地球の寒冷化とタイミングが一致しています。でも、人間が文明を生み出すことができたのは温暖な気候になった直近1万年のことです。

最近の1万年はまさに間氷期、それほど寒くないのが文明の誕生、発展には幸いした。
間氷期に入って5000年で文明が勃興し、もう5000年経った今、携帯電話で宇宙ステーションからの映像を見るに至っている。この幸運な1万年間は「完新世」といい、第四紀のそれ以外の期間(更新世)から、特に区別されている。
(140ページ)

このように温暖化こそが人間の文明を発達させてきたのですから、地球の温暖化が続いても人類に不都合があるとは思えません。

寒冷化でチンパンジーの本能が目覚める?

地球が寒冷化し平均気温が下がると、全球凍結は起こらなくても、ヨーロッパやロシアの辺りは人間が住めない極寒の世界になってしまいます。

こうなった場合、当然のことながら、これらの地域に住む人々は暖かい気候を求めて南下するでしょう。そして、民族と民族がぶつかり合います。

こうなると、文明の中心をもっと温かい地帯に移さねばならなくなる。南下だ。こないだの最終氷期ではネアンデルタール人が南下を余儀なくされ、すでに南にいた新人、つまり「われわれの祖先」に迎撃されて全滅したと思われる。
次の氷期ではヨーロッパ文明が南下を余儀なくされ、すでに南にいるイスラム文明と出会うことになる。そのとき、どうなるか。歴史は繰り返すのか。あるいは、ホモ・サピエンスはその本性の攻撃性を飼い慣らし、協調性を伸ばしたか。この5000年の文明の真価が問われる。
(164ページ)

地球の寒冷化で人間が先祖返りすれば、人類史上最悪の大戦争が起こるかもしれません。そうならないためにはどうすれば良いのでしょうか?

それは、チンパンジー社会にはない人間が持つ「協調する能力」をさらに発達させることでしょう。人間はチンパンジーとは違い、血縁を超えて仲良くできるようになりました。しかし、まだ人種を超えて仲良くする能力は発展途上にあります。


肌の色の違いだけで差別する世の中では、来たるべき氷河期を乗り切るのは難しいでしょう。

寒冷化はある時いきなり起こり、あっという間に地球を冷やしてしまいます。ゆっくりと気温が下がっていくわけではありません。

人類が今すべきことは、地球温暖化防止の対策ではなく、いつ寒冷化しても大規模な戦争が起こらないように「協調する能力」に磨きをかけていくことなのです。

生命には意味がある

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