ウェブ1丁目図書館

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1年366日少しずつ松下幸之助の言葉に触れる

松下電器グループ(現在のパナソニック)の創業者の松下幸之助さんは、名経営者として知られていますよね。一代であれだけ大きな会社をつくったのですから、誰もが偉大な経営者と認めていることでしょう。

松下さんが亡くなったのは平成元年です。昭和に亡くなっていたら、歴史上の人物のように思えてきます。でも、平成に亡くなっているので、何となく同じ時代を共有しているような親近感があります。

松下さんは、生前に数々の名言を残しています。その名言を1日に1語ずつ集めたのが、「松下幸之助一日一語」です。この本は、松下さんの言葉を毎日ひとつずつ読めるように収録されているので、まるで、占いでもチェックするような感覚で気軽に松下さんの言葉に触れることができます。

1月1日:心あらたまる正月

せめて年に一回はフシをつくって、身辺を整理し、長い人生に耐える力を養いたい。
そういう意味では、お正月は意義深くて、おめでたくて、心もあらたまる。(4ページ)

正月とは言え、1年365日の単なる1日だと考えている人もいるでしょう。それはその人の考え方なので自由なのですが、やはり、どこかのタイミングで心機一転ということがあってもいいのではないでしょうか。

そのタイミングとして選びやすいのが元日だと思いますね。最近、会うことができていない知人からの年賀状を見るだけでも、新鮮な気持ちになることがあります。この新鮮な気持ちで、心あらたに1年の目標を決めると良さそうですね。

2月2日:まず好きになる

好きになれば努力することが苦にならない。むしろ楽しくなる。(22ページ)

「好きこそものの上手なれ」という言葉がありますが、これはどんなことにでもあてはまるのではないでしょうか?松下さんは、商売を繁栄させたいのなら、まず商売に興味を持ち好きになることが重要だと述べています。嫌いことをやっていても、良い製品を作れないでしょうし、良いサービスを提供することもできないでしょう。

3月21日:春を楽しむ心

春を楽しむ心は、人生を楽しむ心に通じます。(48ページ)

長い人生において、不愉快なことは起こるもの。でも、そういった不愉快な気持ちも、春を楽しむように人生を楽しめば、心も和らいで生きがいも感じられるのだと、松下さんは述べています。これは、不愉快なことやおもしろくないことがあるからこそ、人生を楽しむことができるということではないでしょうか。いつも過ごしやすい気候であれば、春が来ても、何の喜びも感じません。暑い夏や寒い冬が過ぎたから、春の柔らかい日差しを心地良く感じるのでしょう。

4月5日:学ぶ心

人は教わらず、また学ばずして何一つとして考えられるものではない。(58ページ)

他人から教わったことがないという人はいません。子供の時は親や先生からたくさんのことを教わったはずです。他人から教わり学ぶことで、初めて自分の考えが生まれるのです。教わらず、学ばずして、考えることはできません。学ぶ姿勢があれば、石ころからでさえ何かを学ぶことができます。

5月15日:業界の信用を高める

どんな商売もそうでしょうが、自分の店が発展、繁栄していくには、そのお店の属している業界全体が常に健全で、世間の人びとから信用されていることが非常に大事だと思います。(79ページ)

自分自身の信用を高めることは大事です。でも、自分の属する業界が信用されなければ、自分の会社やお店の発展はありません。だから、普段から、自分が属する業界全体の信用を高めることを心がける必要があります。

6月15日:批判はあとでよい

賢い人は、ともすれば批判が先に立って、目前の仕事に没入しきれないことが多い。(97ページ)

これは、誰にでもあてはまるのではないでしょうか。何かをやらなければならない時についついできない言い訳をしてしまうというのは、批判が先に立っているのだと思います。とりあえず、まず、何か行動を起こすことが必要です。仕事に成功するかしないかは第二のことで、仕事に没入することが重要だと松下さんは述べています。一心不乱になれば、きっと努力は報われるはずです。

7月9日:自己資金での経営

商店、会社というものは、本当は借金をせずして自己資金の範囲で経営しなければならないと思います。(110ページ)

最近では、借金をしてレバレッジを効かし、短期間に大きな利益を得ることが優れていると言う人がいます。それはそれで確かにそうなのかもしれません。しかし、てこの原理で重たいものを動かしても、それが果たして自分の力なのかどうか疑問です。

ただ高く売るのではなく、原価を引き下げたり、サービスの質を高めたりという努力があってこそ、自己資金での経営に徹することができるのです。それこそが本当の自分の力なのではないでしょうか。

8月10日:欲望は生命力の発現

人間の欲望というものは、決して悪の根源ではなく、人間の生命力の現われであると思う。(128ページ)

人間が完全に欲望を無くしてしまうと、生命をも断ってしまうことになります。だから、欲望は生きていくために必要なものです。欲望それ自体に善悪をつけることはできません。その欲望を善に用いることが大切なのです。

9月30日:感謝する心

素直に感謝する心を持つということは、人としていわば当然のことであり、決して忘れてはならない態度だと思う。(156ページ)

人は、ただ一人で生きていくことはできません。誰かの助けが必要なのです。だから周囲の人や環境、物、自然、ありとあらゆるものに感謝する心が大切です。もしも、全ての人が、感謝の心を無くしてしまったらどうなるでしょうか?それは争いばかりの世の中になるということです。

10月23日:原因は自分にある

少なくとも、問題が起こった際には、他人のせいだと考える前に、まず自分のせいではないか、ということを一度考え直してみることが非常に大切ではないかと思うのである。(169ページ)

何か問題が起こった時にそれが他人のせいだったとしても、まったく自分は関係がないと言い切れるでしょうか。他人のせいにするのは簡単ですが、自分にも落ち度があったのではないかと考えることで、問題を早期に解決することができるかもしれません。それなら、他人の欠点ばかり指摘するよりも、自分のせいかもしれないと考え直し、そして、問題解決のために行動した方が良いのではないでしょうか?

11月5日:大器晩成ということ

真の大器晩成型といものは、人生は終生勉強であるという考えを持って、ウサギとカメの昔話のカメのように、一歩一歩急がずあわてず日々精進し、進歩向上していく姿ではないかと思います。(178ページ)

大器晩成というのは、その才能が遅れて発揮されることのように思われがちです。でも、実際は、日々コツコツと努力してきた結果が、長い年月をかけて成果につながったということなのではないでしょうか。だったら、急ぐことなく日々精進し、少しずつでも向上していこうという姿勢が重要なのだと思います。

12月31日:総決算

十二月は総決算の月。このときに当たり、一年の歩みをふり返り、お互いの心のケジメもつけたいものです。この一年、よかったことはよかった、悪かったことは悪かったと、素直に自分で採点しなければなりません。(207ページ)

過去を振り返らないと言う人がいますが、どこかで一定期間の総決算をすることは大切ではないでしょうか?その区切りとするのに適しているのが12月31日です。この1年でよかったこと悪かったことを自分自身で採点していくと、他人から助けてもらったことがあることに気付くはずです。反対に迷惑をかけたことにも気付くことでしょう。助けてもらったことに感謝し、迷惑をかけたことに反省する姿勢を持つことで、次の新しい年の自分の成長に役立つはずです。


以上、松下幸之助さんの言葉の一部を紹介しました。どの言葉にも重みがありますね。一気に読んでしまうと、その重さに圧し潰されてしまいそうになりますが、1日1語ずつ読んでいけば、1年経ったときには、何かが見えているのではないでしょうか。

[愛蔵版]松下幸之助一日一話

[愛蔵版]松下幸之助一日一話

  • 発売日: 2007/07/24
  • メディア: 新書