ウェブ1丁目図書館

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覚悟があれば努力が習慣になる

連続フルイニング出場の記録を持つ、元阪神タイガース金本知憲さんは、プロ野球の世界に入ってすぐにプロのレベルの高さに驚かされたそうです。

「これはとんでもない世界に来てしまったぞ」

著書の「覚悟のすすめ」の中で、そう語っています。

それでも、40歳を過ぎても現役としてプレーし続け、多くの試合に出続けることができたのは、金本さんの覚悟が本物だったからなのでしょう。

2年後には一軍にあがれるよう今できることを着実にやる

金本さんは、プロという自分にとって場違いな世界に入って、すぐに、いつクビになっても大丈夫なように心の準備だけはしておこうと思ったそうです。ただ、そういう諦めの気持ちはあったものの、2年後には、一軍にあがれるようになろうとも思っていたそうです。

その時の自分には実力が足りないのを私は自覚していた。だから、監督やコーチから相手にされないし、「あっちでやっていろ」といわれるのもしかたがない。それはあきらめていた。
しかし同時に、地道に、少しずつ力をつけていき、二年後、三年後にある程度のレベルになっていれば、注目してくれるはずだ-そう考えた。
「そうすれば、それから二年後もプロとしてプレーできるだろう。その二年間でまたレベルアップすれば、次の二年間もやっていけるに違いない」
と思ったのだ。(102~103ページ)

この時、金本さんは覚悟を決めたとのこと。

そして、今できることを着実にやっていこうという、金本さんの原点となる気持ちが生まれたそうです。

高い目標を持つ

金本さんは、プロ入り当初は体が細く、とてもプロ野球選手としてやっていけるような体型ではありませんでした。

それでも、覚悟を決めて努力し、肉体をパワーアップさせて、一軍選手になることができました。コツコツと努力した結果が実を結んだわけですね。

金本さんは、よく、どうすれば努力し続けることができるのかという質問を受けるそうです。そして、その時に答えるのは、できるだけ高い目標を持つという、誰もがよく言う言葉だとのこと。

高校時代には、将来はプロ野球選手になると言ったら、周囲から笑われたということなので、金本さんがプロを目指すというのは、当時はかなり高い目標だったに違いありません。

いつも数年先を見据え、より高い目標を掲げてきたから努力-それを努力と呼ぶならの話だが-を継続することができたのだと思う。目標に向かって努力することがふつうのこと、あたりまえだという感覚になった。「習慣」になったのである。だから、自分では努力と思っていない、あたりまえのこととして捉えている。(59ページ)

そうは言っても、誰もが高い目標を必ず達成できるわけではありません。現役時代の金本さんでも、当時、王貞治さんが持つホームラン記録を抜くことは不可能だと思っていたので、それを目標にすることはナンセンスなことのように思えます。でも、そういう高い目標を持てば、例え、目標を達成できなくても成績を平均まで上げることはできます。ところが、最初から低い目標だと、成績を平均まで上げることもできないでしょう。

高い目標を持つからこそ、平均よりも上に行くことができるのです。そして、そういう高い目標を持つことで、努力を継続できるようになるのでしょうね。

満足せず、がむしゃらに

金本さんは、現役時代、フルイニング出場を心がけていました。

その理由の第一は、仕事に対する責任感です。高い給料をもらっているのだから、責任をきちんと果たしたいという気持ちがあったそうです。信頼してくれる人や応援してくれるファンに対する責任が、フル出場へ駆り立てたとのこと。

理由の第二は、あとに引けなくなったことです。フル出場を続けているうちにやめられない状況になってしまったそうです。だから、「休みます」なんてことは、自分から言い出せなかったようです。

上記2つの理由もありますが、金本さんをフル出場に駆り立てた最大の理由は、「現状に満足したら終わり」という信念でした。

「これで満足」と感じてしまったら、それ以上の成長はない。というより、落ちていく一方である。「もうこのあたりでいい」と低いレベルで妥協してしまう。そうなれば自分を追い込むことができなくなるし、努力しなくなる。「これ以上はできない」と自己限定してしまうだろう。(62ページ)

これは、高い目標を持つということと通じるものがありますね。

低い目標設定は、自己限定していることと同じです。これくらいしか自分には無理と思って設定した目標なのですから。これと同じように「現状に満足したら終わり」というのも、現状維持でいいという自己限定といえます。

目標を達成したら、次の目標を設定し努力していくということを繰り返していると、いつの間にか努力が習慣化するのでしょう。


また、現状に満足しないことと同時に、もっとがむしゃらになるという気持ちも大切です。

ベテラン選手になると、その経験がチームにとって大きな武器となります。しかし、その反面、試合の途中でも、この先の試合展開はわかっているからと、あきらめたり油断したりしてしまいます。

こういった状況になると、勝てたかもしれない試合を落としたり、思いもよらない逆転負けを食らったりすることがあります。だから、金本さんは、プロである以上、どんなに敗色が濃厚な時でも、最善のプレーをする義務があると述べており、実際に、考えられない状況から、がむしゃらにプレーしたことで、逆転勝ちをしたこともあったそうです。

スポーツ選手は、年をとると体力が衰えるので、若い選手と同じようなプレーをできなくなります、でも、ベテラン選手は、年齢を重ねている分だけ、若手選手よりも優れた部分があります。

それは精神力です。


高い目標を持って、今できることを着実にやっていく。

そうすれば、自然と努力する習慣が生まれる。

努力が習慣化することで精神力が強くなる。


その精神力の強さが、金本さんが、長い期間、現役としてプレーし続けることができた理由なのでしょうね。


強い精神力を身に付けることができた最大の理由は、プロ入り後すぐに覚悟を決めたことだったのではないでしょうか?

覚悟のすすめ (角川oneテーマ21 A 87)

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