ウェブ1丁目図書館

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塩分を摂りすぎると高血圧になるというのはウソ

塩分の摂りすぎが高血圧の原因だということは、今では一般常識となっています。1日の摂取量は10gまでにしましょうといったことを聞いたことがある方も多いことでしょう。

だから、僕も塩分はあまり摂りすぎてはダメだと思い、食べ物に塩をできるだけ、かけないようにしていました。加工食品を買うときも塩分がどれくらい含まれているのかというのを無意識にチェックしたりしてました。

しかし、分子栄養学を研究されていた三石巌さんは、大部分の人にとって、塩分と高血圧は無関係だということを著書の「医学常識はウソだらけ」の中で述べています。

医学は科学にあらず

三石さんは、医学は科学ではないと言います。

普通の人は、医学は科学だと思っていますし、医者も科学者と同じようなものだと考えていますよね。でも、三石さんは、今の医学の問題点を指摘して、医学は科学ではないと切り捨てています。

三石さんが言うには、科学は検証が行われなければならないとのこと。

科学であるためには「検証の精神」が不可欠であり、「検証」とは仮説を実証する科学的手続きのことである。だが、人間の生命にかかわる分野であるだけに、昔からこの「検証」という手続きが曖昧のままに放置されてきたのである。(25ページ)

ある患者に薬を処方して、数日後に病気が治ったとしましょう。そうすると、その薬が病気に効いたと普通なら考えますが、実は治った原因は他にあるかもしれません。だからといって、同じ薬を何人もの健常者に試して、本当に効果があったのかどうかを検証することはできませんよね。

これが、三石さんが言っている「検証」の手続きが曖昧のままに放置されてきたということなのではないでしょうか。そして、何らの検証もなされず、その薬が効果があると信じられると、同じ病気を発症した患者に処方され、やがて、マニュアル化されてこの病気にはあの薬を処方するという医学常識が生まれてしまうのでしょう。

ある治療法がひとたび「医学常識」として定着してしまうと、誰もそれを疑おうとしなくなる。科学は日進月歩で進歩しているにもかかわらず、医者は自分たちの「医学常識」が一転して「非常識」になるとは少しも思っていないのである。(24ページ)

これも医者が科学者ではないという理由のひとつですね。一度常識となってしまった治療法を疑うどころか、今よりも良くしようという発想がないから、科学の進歩についていけなくなり、結果、患者に対して間違った治療を続けていくのでしょう。

その典型例が高血圧の原因は、塩分の摂りすぎだから、控えなさいという指導です。

血圧はナトリウムとカリウムのバランスで決まる

塩分の摂りすぎが高血圧の原因だというのは、疫学調査から出された結論です。疫学というと難しく聞こえますが、要は統計で導かれた結論ということです。

東北に住んでいる人ほど高血圧になりやすいということが以前から指摘されていました。そして、東北に住んでいる人は、他の地域に住んでいる人よりも塩分を多く摂っていることも統計から明らかになっていました。

だから、両者を結びつけて塩分の摂取量が多いと高血圧になるという結論が導かれたんですね。

これって、ちょっと考えればおかしいですよね。状況証拠しかないのに塩分が高血圧の犯人とされているのですから。まったく科学的な検証が行われていません。しかも、東北に住んでいる人でも、高血圧になる人が少ない地域もあるのですが、完全に無視されているのです。

東北地方で高血圧が少ないところは、リンゴの生産地だと三石さんは述べています。つまり、リンゴを多く食べていると、高血圧になりにくいということです。では、なぜ、リンゴを多く食べると高血圧になりにくいのでしょうか?

そもそも血圧は、ナトリウムとカリウムのバランスによって決まります。ナトリウムすなわち塩分が多いと血圧が上がりますが、カリウムが多ければ血圧は上がらないのです。つまり、東北地方で高血圧の人が多いのは、塩分の過剰摂取ではなく、カリウムの摂取不足が原因なのです。

ナトリウムが血圧をあげるのなら、塩分の過剰摂取が高血圧の原因じゃないの?

という指摘がありそうですが、三石さんによると、そうではありません。

ナトリウムやカリウムは過剰に摂取されても、通常は適切な量だけ吸収されて、過剰分はすみやかに腎臓から尿へ捨てられる仕組みになっている。しかし、この排出能力が低い人の場合、体液の濃度が高くなってしまうのである。(39ページ)

塩分を過剰摂取したところで、余分なナトリウムは排泄されるので、それが高血圧の原因とならないことは、この文章を読めば理解できるでしょう。ナトリウムの濃度に比してカリウムが少ないことが血圧を高くしてしまうのです。ただ、体質的に余分な塩分を排出できない人もいるので、こういった人は塩分の過剰摂取が高血圧の原因となりますが、それは100人に1人か2人とのこと。なので、多くの人は塩分の過剰摂取を気にする必要はないということですね。

では、ナトリウムとカリウムの比率はどれくらいが良いのでしょうか?

三石さんによると、ナトリウム0.6に対してカリウム1で摂取すれば良いようです。カリウムを多く含む食品には、ホウレン草やソラマメがあります。その他、豆類には比較的多くのカリウムが含まれています。ナトリウムは人間にとって大切な栄養素なので、控えすぎることで栄養不足になることもあります。高血圧が気になるのならカリウムを多く摂取することの方が大切です。

血圧のコントロールには、カルシウムとマグネシウムの摂取比率も大切です。カルシウムは動脈を収縮させ、マグネシウムは動脈を弛緩する働きがあります。なので、マグネシウムを摂取せずにカルシウムばかりを摂取していると、血流が悪くなるわけですね。

カルシウム2に対してマグネシウム1の比率で摂取すると良いようです。マグネシウムを多く含む食品にはナッツ類や豆腐があります。こういった食材も、意識して食べておけば、高血圧の予防に効果がありそうですね。

それと、三石さんは、血圧を下げるのに血圧降下剤を使うなとも主張しています。血圧降下剤の代表は利尿剤なのですが、これを使うと、体内の水分が尿として排泄され、血液量が減るので、高血圧に効果的なように思いますが、血液の濃度が濃くなり、ドロドロとなるので危険だとのこと。

でも、医者は、そんなことお構いなしに利尿剤を血圧降下剤として選択しているようです。


高血圧の他にも「医学常識はウソだらけ」の中では、コレステロールは悪くないとか、動物性脂肪よりも植物油の方が問題だとか、今までの医学常識をぶった切る内容が、たくさん紹介されています。どの内容も読めば納得するものばかりなので、健康を意識している人は、一度、知識の整理のために読んでみてください。

ただ、「砂糖を摂れば頭の回転がよくなる」と述べている部分がありますが、これは完全に間違った内容なので、読み飛ばした方がいいですね。

医学常識はウソだらけ 分子生物学が明かす「生命の法則」 (祥伝社黄金文庫)

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