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ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

虫に食われた野菜は不健康な証拠

最近では健康志向が高まっており、日頃食べる野菜もオーガニックだとか有機栽培だとか、そういった言葉がついたものが小売店で売られるようになっています。

そして、そのような傾向が強まってくると、いつの間にか「虫が食っている野菜はおいしい。虫が食うぐらいなんだから」といった噂を聞くようになりました。しかし、これはデマです。むしろ、虫に食われるのは、その野菜が不健康だからです。

有機栽培の土ほど自然の土に戻りにくい

野菜の自然栽培を行っている河名秀郎さんは、著書の「ほんとの野菜は緑が薄い」の中で、有機栽培には落とし穴があると述べています。

有機栽培と聞くと、自然に準拠した農業のように思いますが、実際にはそうではありません。根本的に化学肥料を使った栽培法と大差ないのです。有機栽培は、自然界にあるもの、例えば牛糞、馬糞などを肥料として野菜を育てます。肥料を使っているという点で化学肥料を使った農業と同じであり、自然栽培と全く異なるものです。


自然栽培を行うためには、これまで畑や田んぼに入れてきた農薬や肥料を出さなければなりません。しかし、これがとても長い年月を要するとのこと。

本来、土は表面に近いほど温度が高く、下に行けば行くほど温度が低くなっていきます。しかし、肥料を入れてきた田畑は、ある一定の深さのところで急に温度が下がり、さらにその下に行くと今度は温度が少しだけ高くなっているそうです。

これは温度が急に低くなっている層に肥料や農薬などの異物が溜まっているから起こる現象です。この層を河名さんは「肥毒層」と呼んでいます。

新陳代謝が低下して老廃物などが滞り、血液がきちんと循環しないために冷えていく。そんな人間のからだのメカニズムとまったく同じことが土の中でも起きている・・・・・とイメージしてみてください。これではいかにもエネルギーが野菜にうまく供給されない感じがしますし、冷たい土のなかで育つ野菜はあまりおいしそうに思えません。
この「肥毒層」をなくしていくことが、肥料や農薬に頼らない土づくりをしていく一番のポイントです。重要だからこそ、なかなか一朝一夕にはいきません。しかし、たまってしまった肩こりと同じで、時間をかけて入れてきたものですから、なくしていくのにもある程度の時間はかかるのは当然です。
(70ページ)

土の中から肥毒を抜くにしても、化学肥料を使っていた場合よりも自然界にある肥料を使って有機栽培を行ってきた土の方が、自然の土に戻るのが早いと思うでしょう。しかし、実際には有機栽培の土の方が自然の土に戻りにくいのです。

有機肥料は散らばりやすい

化学肥料は自然界にないので、土と分離して一ヶ所に集まり、はっきりと肥毒層を形成します。

これに対して有機肥料は、肥毒があちらこちらに散らばるそうです。

なぜなら、有機肥料の原材料は、動物の糞などの自然由来の素材だからです。明らかに異物である化学肥料とはちがいます。土の目線に立ってみると、異物と認識しにくいため、土の中に取り込もうとしてしまい、「肥毒」があちこちに散らばってしまうようです。
(72ページ)

ただ、有機肥料でも、自然の土に戻りにくいのは動物由来の有機肥料で、植物由来の有機肥料の場合は肥毒が少ないとのこと。

動物の糞尿や死骸は自然界にあるものですが、一ヶ所にまとまって落ちていることはありません。だから、落ちているはずのないものが、人為的に一ヶ所に集中して大量に置かれると、自然界の土のバランスとかけ離れていくようです。

では、植物由来の有機肥料ばどうなのでしょうか?

自然界においては、落ち葉や枯草が一ヶ所に大量に集まっていることは当たり前です。秋が過ぎ冬になれば、山の中は落ち葉だらけになります。だから、植物由来の有機肥料を一ヶ所に集中させても、自然界の土とのバランスが動物由来の有機肥料と比較して崩れにくいのです。


また、有機栽培は、その効果が出るのに時間がかかるのと同じように有機栽培をやめてから肥毒を抜くのにも長期間を要するとのこと。自然栽培に移行し10年が経過してから、肥毒の害が出てきたこともあったそうです。

連作障害は人間が作ったもの

畑の一ヶ所で、同じ野菜ばかりを毎年作り続けると病気になりやすいと言われています。これを連作障害と言います。

しかし、この連作障害はちょっと考えてみると明らかにおかしいとわかります。なぜなら、自然界では、同じ場所に同じ植物が毎年育っているからです。何年、何十年、もしかしたら何百年という長きにわたって同じ植物が同じ場所に毎年育っている事を考えると、連作障害なんてあり得ません。それなのになぜ野菜にだけ連作障害が起こるのでしょうか?

それは、人間が余計なことをしたからです。

たくさんの農薬や肥料を畑に入れているために、土壌の生態系、自然界のバランスが崩れてしまい、連作することで一ヵ所の畑でその状態が長く続くことによって、病気が出てしまうというわけです。
自然界では、同じ世界が繰り広げられていることにより、植物の生態がその環境に適合していきます。ごく当たり前な自然の現象です。
(85~86ページ)

野菜も植物なのですから、同じ場所で育て続ければ、やがてその土壌に馴染んでいきます。しかも、河名さんによると、連作した方が収穫量も上がり、野菜の質も良くなっていくというのですから、連作障害が起こる方が異常なのでしょう。

健康な人にハエはたからない

僕が小学生の頃、図書室に「生きているヒロシマ」という本がありました。その本には、原爆で負傷した人の写真が多数掲載されており、小学生にとっては非常に刺激的でした。

そこには、被爆者にハエがたかっている写真もあったように思います。「生きているヒロシマ」に限らず、アフリカの貧しい国の子供たちにハエがたかっている映像をテレビで見たことがある方も多いでしょう。

ハエにたかられている人は、弱っている人ばかりです。現代の多くの日本人は健康なので、ハエにたかられてることはありません。ハエだけでなく、他の虫が寄ってくることも、そうそうありません。

ただ、体が疲れているときは細菌やウイルスに感染し、風邪やインフルエンザなどの病気になることはあります。体が疲れているときは、免疫力が落ちているから感染症にかかりやすいと言われていますね。


野菜も、人間と同じなのでしょう。

弱々しい不健康な野菜は、外敵に攻撃される隙が多いので、虫に食われやすいのです。健康な野菜であれば、虫に食われることはありません。山で見るたくましい木や元気な草は、虫に食われていません。でも、今にも折れてしまいそうな老木には、アリのような虫が数えきれないくらいたかっているのを見ることがあります。


「虫に食われる野菜は新鮮な証拠だ」


これは、誰かが思いつきで言いだした言葉でしょうね。

ほんとの野菜は緑が薄い (日経プレミアシリーズ)

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