ウェブ1丁目図書館

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食品偽装やテレビのやらせは6年周期で起こりやすい?

2013年は、食品偽装事件が相次ぎました。

ホテルやデパートなどで、ブラックタイガーを車エビと偽ったり、バナメイエビを芝エビと偽ったりと、いろんなところで偽装が発覚しましたよね。

テレビについても、フジテレビのほこたてが、やらせをしていたことが発覚し放送打ち切りとなりました。

これらの報道を見て、以前も同じようなことがあったなと思った方は多いのではないでしょうか?僕も、そう思ったひとりです。そう言えば、6年前の2007年にも2013年と同じようなことが起こっていたんですよね。

2007年の時の報道のされ方は、どうだったのかなとちょっと考えてみました。すると、ビートたけしさんが「貧格ニッポン新記録」の中で、当時の食材偽装や番組のやらせについて、笑いを交えながら述べていることを思い出しました。

2007年に起こった偽装を振り返る

まずは、2007年に起こった偽装事件を簡単に振り返ってみましょう。

この年は、年明け早々に不二家が期限切れ卵を使い回していたことが発覚しました。テレビでは、発掘あるある大事典Ⅱで放送された納豆のダイエット効果がまったくの嘘だったことから、放送が打ち切られています。

消費期限や賞味期限の改ざんについては、赤福白い恋人でも行われていましたね。ミートホープは期限の改ざんだけでなく、牛肉のミンチに豚肉を混ぜるといった食材の偽装も行っていました。

1年後の2008年には、船場吉兆が、一度提供した料理を次のお客さんに提供する使い回しを行っていたことが発覚。当時の女将が、記者会見で、社長に嘘をつくように耳打ちしている声が、しっかりとマイクに拾われて話題となりました。

納豆だけで過ごせば痩せます

発掘あるある大事典Ⅱで、納豆のダイエット効果が放送された直後、スーパーから一瞬にして納豆がなくなりました。この時は、あらためて、日本人が「ダイエット」や「痩せる」という言葉に弱いことを実感しました。余談ですが、最近でも、トマトのダイエットサプリに何の効果もないことが話題となりましたね。ダイエットがらみの嘘というのも、定期的に出てくるようになっているのでしょう。

納豆がダイエットに効果的と放送された直後は、納豆業者はフル操業で対応し、ブームが沈静化すると今度は生産過剰になってしまったというのですから、迷惑な話です。

この事件が発覚した時、たけしさんは、自分ならあんな失敗はやらかさないと述べています。

要は「納豆で痩せる」なんてことをいわなきゃよかったんだよ。「納豆だけで過ごせば痩せます」とやればよかった。一日に納豆1個の食事にすりゃ、これは誰でも文句なく痩せるだろ。(105ページ)

確かにそのとおりですね。

そもそもこういった健康に良い食品というイメージは、売る側がどうとでも作り出すことができます。「レモン何十個分のビタミンC」とか「牛乳の2倍のカルシウム」といった言い回しをされたところで、一般の消費者が調べることはできません。だから、いくらでも、インチキすることができるわけです。買う側は、この辺りについてもっと意識をした方がいいのではないでしょうか?

インチキCMならオイラも得意なんで「ドコサヘキサエン酸(DHA)がパンの500倍入ってます」なんてCMをふざけて作ったことがあるけど、最初からそんな栄養分なんか入ってない製品を持ってきて、それの何百倍ってやれば、捏造なんか簡単なんだよ。(105~106ページ)

おっしゃる通りです。そして、消費者は、コロッと騙されるんですよね。しかも、こういったCMが仮に流された場合、消費者は、パンにDHAが多く含まれていると勘違いするんですよね。

レモンだって、これと一緒です、多くの人が、レモンにはビタミンCが豊富に含まれていると思っていますよね。レモンのビタミンC含有量は100g当たり50mgです。でも、100g当たりでいうと、ピーマンは76mg、ブロッコリーは120mgですから、ビタミンCを多く補給したいのなら、これらの野菜を食べた方が効率的です。

ロースベーコンのビタミンC含有量も100g当たり50mgですから、レモンと同じ量です。酸っぱい思いをしてレモンを食べるくらいなら、ロースベーコンを食べてビタミンCを補給した方が楽です。

ビタミンC含有量が、レモンの100個分とか1000個分とか謳っている商品は、最初から100や1000という数字ありきでレモンを利用しているのかもしれませんよ。

それにしても、納豆で痩せられるんだったら、八丈島特産のくさやの干物なんて一発で効き目がありそうだよな。食べる前にしばらく食卓に放置しておくといいってね。あまりの臭さに食欲が落ちて食えなくなるという。これぞ「八丈島式ダイエット」だよ。(107ページ)

客が納得して食えばそれでいい

船場吉兆の料理の使いまわし事件についても、たけしさんは、おもしろいことを述べています。本を読んでいる途中で、何回も噴き出してしまいましたよ。

船場吉兆は高級料亭として知られていたので、そこで、前のお客さんに提供した料理の残りを次のお客さんに出していたことが発覚したのですから、利用したお客さんは大変落胆したことでしょう。これが、今にも潰れそうな小さな食堂なら、そもそもテレビで報道されるような大きな事件にならなかったのではないでしょうか。

この期待と裏切りの落差が大きかったことが、社会の関心を集めたのかもしれません。

たけしさんは、使い回ししてたことを黙っていたのが悪かったのだから、最初からちゃんと言えばこんなことにならなかったんだと述べています。

アユの塩焼きなんて、「手間暇掛けて2度も焼いておきました」っていえば、客も喜んじゃうんでね。肉も腐りかけが一番美味いっていうしさ。お茶は「舌を火傷すると危ないので、冷やしておきました」、おしぼりは「あんまり熱いといけないので、前のお客さんが冷ましておいてくれたんですよ」ってね。何なら、「これは船場吉兆だけの特別サービスですからね」って恩着せがましくいっちゃえばいいんだよ。
客だってそういわれたら、「う~ん、さすがは船場吉兆。高級料亭だけあって、サービスがピカイチだねェ、他の店はここまでやってくれないよ」なんてコロッと騙されちゃうかもしれないぜっての。(80~81ページ)

ここまで開き直られたら、もう何も言えません。それでも来店して食事をするのなら、文句を言われる筋合いはないですね。でも、そんなお店に行く人なんていないでしょうが。

日本人の貧格はいつまでたっても直らない

2013年から6年前の2007年に起こった食品問題とテレビのやらせ問題ですが、そこからさらに6年ほどさかのぼると、2000年には雪印の食中毒事件が起こっています。この事件も当時は大きく採り上げられましたね。

特に雪印は有名ブランドだったので、多くの人が驚いたはずです。これは2013年と2007年の食品偽装とは違いますが、不衛生な工場で造った製品を消費者に安全だと思わせていた点では偽装と似ています。

他にこの頃は、国産の牛がBSEに感染していることも話題となりましたね。国産なら安心だという思い込みが消費者にはあったはずです。また、当時は外国産の牛肉を使っていた飲食店は、提供している牛肉が外国産とは言わなかったのですが、国産牛にBSEが見つかった直後には、「うちの肉はオージービーフだから安心です」なんていう宣伝をしていました。

いつまで経っても、こういった食品に関係するスキャンダルというのはなくなりませんね。おそらく、メディアの流すダイエットに効果的とか国産は安心とかいう言葉を鵜呑みにする国民性が、その背景にあるのではないでしょうか?

僕も含めて日本人の貧格は、これからも直りそうにありませんし、6年後にはまた同じような食品問題やテレビのやらせ問題が話題になっていそうです。

貧格ニッポン新記録 (小学館101新書)

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