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ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

紙をリサイクルするより国内の森林を伐採した方が環境に良い?

地球の資源は限りあるものだから、一度使ったものを捨てるのではなく再利用すべきだという意識が高まっています。

環境破壊が深刻化しているとメディアで報じられる機会も多くなっていますから、日本国民のリサイクル意識が高まるのも当然でしょう。しかし、何でもリサイクルすることが環境への負荷を少なくすることにつながるのでしょうか?

例えば、紙のリサイクル。

もしかすると、再生紙を使うよりも森林を伐採して新しい紙を利用する方がエコなのかもしれません。

紙のリサイクルに石油を使う方が資源の無駄遣い

よくテレビ出演されている環境問題に詳しい武田邦彦さんは、著書の「偽善エコロジー」の中で、再生紙よりも新しい紙を使う方が環境に良いと述べています。

我々一般人は、再生紙は、一度使った紙に少しの手間や資源を加えることで、再び利用できるようになった紙だと思っているところがあります。ところが、武田さんによれば、その認識は誤りであり、新しい紙を使う方がエコだとのこと。

そもそも紙をリサイクルするときには、多くの石油を必要とします。紙を白くするための漂白にも石油を必要としますし、薬品を使う場合でも、その薬品を石油を使って廃液処理しなければなりません。誰でも知っているように石油は限りある資源です。それなのにリサイクルするのに多くの石油を使わなければならないのでは、何のためのリサイクルか意味が分かりません。

それだったら、国内の森林を伐採して紙を新しく作った方が環境への負荷が少なくて済みます。それどころか、環境にとって良い行為なのです。

紙を使っても森林は破壊されない、そして森林は太陽の光で樹木が生息した量だけ人間が活用したほうが、かえって健全な森林を作ることができる、ということですから、「(リサイクル紙ではない)新しい紙を使う」のが、最も環境によいことがわかります。
(144ページ)

昭和の時代にたくさん植えられた杉を今では誰も手入れしなくなり、森林は荒れ放題です。このように邪魔になった杉の木を伐採して新しい紙を作る方が、石油の消費量を少なくできますし、森林の手入れにもなるので環境に良いことはすぐにわかります。

リサイクル紙を活用し、足らない紙を海外から輸入することの方が環境破壊につながります。輸入した紙が、自然林から伐採した木で作られているのですから当然です。自国で活用できる森林を使わず海外の自然林を破壊することがエコなのでしょうか?

中古家電を発展途上国に売ることも環境破壊につながる

テレビやエアコンなど、日本人が使わなくなった家電を発展途上国の人々に安く売ることもエコのように思えますが、必ずしもそうとは言えません。

家電をリサイクルする費用は消費者が負担しなければなりません。本当にリサイクルされて部品や材料が再利用されるのなら、消費者も納得できるでしょう。ところが、リサイクル名目で引き取った使用済みの家電は、中古品として発展途上国で販売されていることがあります。

再利用できるものを中古品として売ることに問題はないように思えます。

しかし、発展途上国に中古品として古くなった家電を売却する行為は、バーゼル条約の抜け道なのかもしれません。バーゼル条約は簡単に言うと、「有害物質が含まれた廃棄物を他国に出してはいけない」という条約です。

先進国が、自国で有害物質を含んだ廃棄物を処理できないから発展途上国に押し付けようとする行為は、誰だって良くないとわかるはず。だから、国内の人々から非難の声が上がらないようにするためには、とりあえず使用可能な家電を中古品として発展途上国の人々に安くで売るのです。そうすれば、有害物質が含まれた家電であっても、外から見ればまだ使える中古品を売っているように見えるので、国内の消費者から非難の声が上がることはありません。

事実、2005年の5月に東京で行われた国際的な環境大臣会議では、南アフリカの大臣が「先進国は中古品だといって粗悪な製品を途上国に売り、途上国では修理もままならないので、廃棄物が増えるばかりだ。こんなことは中古品の販売という名を借りた廃棄物の輸出であって許せない」という意味の演説をしています。これを日本政府が、聞いて聞かないフリをしているのですから、日本人の誠実さも地に落ちたものです。
(209ページ)

売れるのならリサイクル費用を徴収すべきではない

環境のことを考えたら、リサイクルはしなければならないし、そのために必要な費用を消費者が負担しても良い。

おそらく、多くの日本人がそう考えているのではないでしょうか?

しかし、リサイクルして売ることができるのなら、リサイクルのために集める使い古したペットボトルや紙を業者が買い取るべきでしょう。例えば、リサイクルできることを前提にすると、リサイクルされたペットボトルが1本10円で販売でき、費用が3円かかったとしたら、リサイクル業者は7円の利益を得ることができます。それなら、消費者から使い古したペットボトルを1本1円で買い取った方が、たくさんのペットボトルを回収できるので、リサイクル業者にとっては都合が良いはずです。

それなのにリサイクル費用を消費者が負担しているのは、おかしなことと言えます。

以前はビール瓶や一升瓶を酒屋に持っていけば、5円や10円で買い取ってくれました。最近では、これらをチェーン展開している酒屋に持っていくと、ポイントで還元されることもあります。酒屋は、お金を払ってまで消費者から瓶を回収するのは、再びその瓶を酒造メーカーが利用して原価を安く抑えることができるからではないでしょうか?

つまり、新しく瓶を作るより再利用した方が安上がりということです。

このような状況だからこそ、リサイクルは成り立つものだと思うんですよね。消費者に経済的な負担や手間を強いるようなリサイクルは、実は環境にとって良い影響はそれほどないのかもしれません。

地球温暖化を心配している日本人の感覚を外国人は理解できない

環境問題と言えば、地球温暖化も日本人は非常に関心を持っています。

温暖化するとサンゴ礁が死んでしまうとか、そういったことを主張しているのに年間何十万匹もの犬や猫を殺処分しているのですから、外国人は日本人の考え方を理解できないそうです。

温暖化でサンゴ礁の一部が死滅することにあれほど注目する日本人が、日常的に身の回りで殺されるイヌやネコに関心がないのは本当に不思議です。そしてこれもたびたび指摘されることですが、医学実験用に使用される動物の種類と数の多いこと、それが統計もあまりとられず、国民の関心もなく、ガイドラインが整っていないことも、国際的な不信を招く一つの原因になっています。
(220~221ページ)

環境に優しい生活をすることは良いことです。そして、多くの日本人がそれを理解しています。

しかし、環境に良いこと悪いこと、それらの情報を得る手段がテレビやラジオなど一方的に発信されるメディアに偏ってしまっていることが、誤った環境保全意識を持つことにつながっているのではないでしょうか?

そうは言っても、消費者個人が調べれることには限界があります。

あれこれ多くの情報を集めたりテレビを見るよりも、案外、ドケチな生活をすることが最も環境に良いことなのかもしれませんよ。

偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書)

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