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ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

掃除や挨拶といった簡単にできることを徹底して儲かる会社に生まれ変わる

ダスキンの加盟店業務を事業の柱としている株式会社武蔵野は、幹部社員の3分の1が元暴走族という落ちこぼれ企業でした。

そんな会社が、金融機関から毎年売上を伸ばし続ける優良企業と評価されるようになったり、近所から白い目で見られていた元暴走族の従業員が声をかけられるようになったり、顧客から愛されるようになったりと、見違えるような変貌を遂げました。

また、日本経営品質賞や経済産業大臣賞といった賞も次々と受賞。もはや、誰も株式会社武蔵野を落ちこぼれとは言わなくなりました。

このような変貌を遂げた理由を代表取締役社長の小山昇さんは、毎朝30分の掃除だと述べています。この理由を知った僕の最初の感想は、「えっ、たったそんなことで?」といったものでした。

掃除は人材育成の最上の手段

なぜ、毎朝30分の掃除で業績が改善したのでしょうか?

小山さんは、著書の「朝30分の掃除から儲かる会社に変わる」の中で、落ちこぼれ社員に誇りを持たせるには、「小さなことでもかまわないから一番になる」ことを経験させることだと述べています。2番や3番だと自己満足にすぎませんから、従業員が誇りを持つことはありません。でも、どんなに小さなことでも1番になれば、人は誇りを持つものです。

そして、落ちこぼれ集団を1番にするには何がいいかを考えたところ、「業界で一番整理整頓の行き届いた会社になる」ということでした。

普通なら、業務に直結する「地域でシェア1位」とか「売上ナンバーワン」といった目標を掲げたいところですが、こういった目標は、そう簡単に達成することはできません。でも、掃除ならベテラン社員だろうが新入社員だろうが同じようにできます。だから、彼らに誇りを持たせるには、「掃除で業界一になる」という簡単な目標が良かったのです。


株式会社武蔵野が清掃活動に取り組むようになってから、従業員たちの表情に変化があらわれました。

以前までは、「秋刀魚の腐ったような目」をしていたのが、「鷹の目」になったのです。そして、そういう従業員が増えるにしたがって、社内は清潔に整頓されていきました。

やがて、武蔵野に清掃活動の見学をしに全国から大勢の人が来るようになり、この時に小山さんは、掃除でいちばんになれたと実感したそうです。

私が株式会社武蔵野の社長に就任してから今日まで、わが社の業績は伸び続けました。これは掃除でナンバーワンになったこと、それによって社員が自信を持ったことと無縁ではありません。
会社にとって一番重要な財産は社員です。特にサービス業の場合、その傾向は顕著です。なぜならライバルも同じ商品を扱っているからです。すなわち商材では差がつかない。であれば人で差をつけるしかない。(25~26ページ)

小山さんは、掃除を始めて従業員の資質が変わったことで業績が伸びたことから、掃除こそ人材教育と組織改善の基本となるのではないかと思うようになったそうです。

感性は訓練によって磨かれる

掃除で社内の意識が変わり業績が良くなったことから、株式会社武蔵野では、掃除のことを「環境整備」と呼ぶようにしました。

従業員は出社すると、まず30分の環境整備を行います。毎朝、30分も掃除に時間をかけるのは不経済だという意見がありますが、小山さんは、「毎朝、強制的に環境整備をさせることが大切なのだ」と主張しています。

その理由は、環境整備は組織の一員として必要な心をつくるからです。ものをピカピカにすることで心もピカピカになり、掃除を通して働く人の心が通い合い、仕事のやり方やすすめ方に気づいていきます。


よく細やかな気配りをできたり、細かいところに気が付く人っていますよね。こういう人は、他の人よりも感性が優れているから、気配りができるのですが、小山さんによれば、感性とは後天的に訓練によって育てられるとのこと。

人を鍛えて組織を掌握するには、掃除をさせるのが一番だからです。いや、これ以外の方法はないといっても過言ではありません。私の見る限り、社内が汚い会社は組織もバラバラです。また環境整備によって、社員には様々な気づきが生まれます。「あ、柱に傷がついているな」「そろそろエアコンのフィルターも換えどきだな」など、こうした気づきは社員の感性を豊かにします。(31ページ)

このように毎朝の掃除で感性を育てると、それがさらに磨かれ、より多くのことに気付けるのだそうです。

環境整備で最も大切なこと

環境整備の目的は人材を育てることにありますが、小山さんは、環境整備で最も大切な精神は、仕事がやりやすいように環境を整えておくことだと語っています。

小山さんが、環境整備を始めると言い出した時、従業員からは、毎朝30分も掃除に時間を費やすのは無駄だという声が上がりました。でも、小山さんは、「残業が増えてもいい。仕事は残してもかまわない」と言明し、毎朝30分の掃除を決定します。

その結果、残業は増えるどころか、全て時間内に終わるようになりました。

これは、今までの仕事内容に無駄があったことを環境整備によって知ることができたということです。普通に考えたら、毎朝の30分の掃除は、仕事時間が延びるだけとしか思えません。ところが、毎朝掃除をすることで、仕事をしやすい環境が整っていき、従業員同士のコミュニケーションが良くなり、お互いに助け合って仕事をするようになっていったのです。

小さいところや簡単なところを徹底する

落ちこぼれ集団だった株式会社武蔵野が、会社見学が殺到するほどの優良企業に生まれ変わったのは、掃除のように小さいところ、簡単なところを徹底したことが理由です。

多くの会社が、改革に失敗するのは、大きなところから変えていこうとするからです。

人間は変化を嫌うものです。株式会社武蔵野でも、たった30分の掃除に対して従業員が不満の声をあげました。大きなことを変えようとすれば、従業員は、それ以上に抵抗するはずです。すると改革は腰砕けとなってしまいます。

それが何度も繰り返されると、従業員は改革に協力しなくなるでしょう。

だから、小山さんは、小さなことを全員ができるようになるまで愚直にやらせ、ひたすら小さな改善を実行していったそうです。


株式会社武蔵野では、お客さんに1回挨拶すると100円が支給されるそうです。だから、従業員は、お客さんが来ると積極的に挨拶をします。

それでは心がこもっていないという批判があると思いますが、小山さんによると、動機は不純でも、しっかりとあいさつを続けることで、必ず心がこもるようになるそうです。これは、中学校や高校の部活なんかにも言えることですよね。最初は、しっかりとあいさつできなかった新入部員が、先輩に怒られるからという理由で、渋々挨拶していたのが、数ヶ月経った頃には、自然と心がこもったはっきりとした声で挨拶をするようになります。


小山さんは、社内の改革について以下のように述べています。

「今回は、このことを全員ができるようになるまでいい続ける」「最後まで粘り続ける」という姿勢が大切なのです。
社員はそこから社長の本気を感じ取るのです。ひたすら愚直に続けることです。一発勝負でやってはいけません。
もう一つ大切なのは、何かをやる場合には頭でシミュレーションするのではなく、まずは身体で実行することです。小さなことを愚直に繰り返し実行することが本当の力になるのです。(147~148ページ)

組織の改革は、付け焼刃でできるものではありません。小さな改善を繰り返し繰り返し実行することで、それが、本当の組織力となっていきます。

これは、組織だけでなく個人にも言えるのではないでしょうか。

朝30分の掃除から儲かる会社に変わる―社員ニコニコ業績ピカピカの法則

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