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ウェブ1丁目図書館

読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。

会社は期限付きのプロジェクトで役目を終えたら解散するべき組織

経営者

現在の日本経済を支えているのは、間違いなく会社組織です。国によって働き方が違うので一概には言えませんが、世界経済を支えているのも会社組織ではないでしょうか?

日本人の多くは、会社員として働いており、自分が働いている会社が長期的に存続することを前提に働いていると思います。おそらく、明日、倒産するなんてことは、よほど業績が悪い会社に勤務していなければ思わないでしょう。

ところで、会社とはいったい何なのでしょうか?

この問いに対しては、いろいろと答えがあると思います。ユニクロ柳井正さんは、著書の「一勝九敗」の中で、「会社とは一種のプロジェクト、期限のあるもの」と考えています。

無意識のうちに会社組織を安定したものと捉えている

新入社員でも、会社勤めをするようになって数ヶ月が経つと、会社というものが安定した存在であるような錯覚をします。

月曜日から金曜日まで、日々同じ業務をこなしていると、それが習慣化されますから、無意識のうちに会社と自分の生活が一体化し、そして、会社がなくなるということを意識しなくなります。大企業に就職した場合なんかは、入社する前から、自分が勤める会社が消えてなくなるなんてことは、そうそう考えないでしょうね。

しかし、柳井さんは会社とは、実体のないもので非常に流動的であり、しかも永続しない可能性の方が強い存在なのだと述べています。

そもそも、最初にビジネスチャンスがあって、そこにヒトやモノ、カネという要素が集まってきて、会社組織という見えない形式を利用して経済活動が行われる。しかし、経営環境は常に変動する。当然のことながら、金儲けやビジネスチャンスが無くなることがある。そうすれば、会社はそこで消滅するか、別の形態や方策を求めて変身していかざるを得ない。会社とは一種のプロジェクト、期限のあるもの、と考えるべきではないだろうか。収益を上げられない会社は解散すべき、ともいえよう。(18~19ページ)

現在、日本にはたくさんの会社があります。その中で数十年以上の歴史がある会社を見た場合、創業当時から同じことだけをやっている会社というのは少ないのではないでしょうか?

例えば、大手の家電メーカーは、一昔前ならテレビを主力として開発、製造、販売をしていましたが、最近では、そこから撤退する動きが見られます。そして、それに代わってスマートフォンに力を入れ、新規の事業部を立ち上げたりしていますよね。この家電メーカーの例は、柳井さんが言う「別の形態や方策を求めて変身」する行動と言えるでしょう。

ただ、大手家電メーカーは、新たな市場に打って出ることが多いので、会社組織そのものが解散することは滅多にありません。でも、中小企業や個人事業の場合は、収益を上げることができなくなり、市場から退場することがよくありますね。

最終的に株主に利益がいくのは当然のこと

現在の資本主義社会においては、会社の利益は、資金を提供した株主に最終的に還元されるべきです。

こういう考え方を頭から批判する人がいますが、それはちょっと違うと思うんですよね。株主は会社に資金を提供しており、基本的にその資金は会社から払い戻されません。だから、株主は会社の利益を配当という形で受け取らなければ出資の回収をできません。利益を株主へ配当せず、従業員の給料を上げろと言うのは、株式会社制度、ひいては資本主義社会を否定することになります。

とは言え、株主の利益だけを尊重する会社は、存続が難しいでしょう。株主が受け取る利益がどのように獲得されているのかを理解しなければ、その会社は社会からはじき出されてしまうはずです。

ただし、株主だけを尊重すべきだという行き過ぎた議論になると、お客様不在の思想であり、それは問題外だが、本来の会社の持ち主は、やはり株主だと思う。株主とはいわば会社のオーナーであり、オーナーであれば利益はもちろん会社のお客様や従業員を大切に思うのは当然のことだ。株主とオーナーを別物と捉えるのはまちがっている。(172ページ)

会社のオーナーである株主に利益がいくのは、お客さんや従業員を大切に思っていることが前提なんですね。もしも、お客さんや従業員から搾取してやろうという気持ちがあれば、その会社はやがて収益が悪化し、解散ということになるでしょう。


以前に「日本でいちばん大切にしたい会社」という本を紹介しました。この本の中では、従業員、外注先、お客さん、地域社会の順に会社は大切にすべきであると述べられています。そして、株主の利益は最後ということになっているので、一見すると柳井さんとは別のことを述べているように思えます。

でも、そうではないんですね。従業員、外注先、お客さん、地域社会を大事に考えている会社はしっかりと利益を獲得することができているので、最終的にそれが株主にいくようになっているのです。

自分の利益しか考えていなかった銀行の支店長

ユニクロが上場を目指していた頃、柳井さんは、毎年30店舗ずつ新規オープンして、3年間で100店舗にしてから上場することを計画していました。そのための資金の借入をメインバンクに相談したところ、最初は了解を得られたのですが、バブルが崩壊すると、その銀行の支店長が出店を中止するように言ってきました。

当時のユニクロは、業績が好調で上場の計画を変更する必要はありませんでした。でも、支店長はこれ以上資金援助できないから他の銀行に融資を依頼するようにと柳井さんに言います。

そして、柳井さんが別の銀行から融資をしてもらうと、その支店長は、自分の銀行を通して他の銀行に融資を依頼するのが筋だといった旨のことを言い、怒り出したとのこと。

「銀行は普通の会社とは違う。勘違いしないでほしい。信頼には信頼を持って接するべきだ。」要約するとこうなる。ぼくは銀行には金利をちゃんと払っているし、取引としては対等の関係にあるのではないかと考えていたのに、実態はどうも違うようだ。銀行からみると、融資先企業は自分の子会社のような感覚なのではないか、だから、銀行のいうことは絶対聞かないといけない、と考えているのではなかろうか。そう思えてならない。(61ページ)

この事例は、銀行業界のルールを無理やり融資先企業に押し付けていますよね。しかも、それは、自分の利益のことしか考えていないように思えます。

会社がその役目を終える時

柳井さんは、商売の基本はスピードだと述べています。

スピードがない限り商売は成功しないし、失敗するのであればできるだけ早く失敗した方が良いとのこと。多くの人が失敗しているのにそれに気づかず傷口を深くしています。そして、回復の余地なく失敗し、最終的にその会社は倒産します。

早く失敗に気づき手当すれば、会社の存続可能性は高まるということですね。そのためには、スピードが大切ということです。


柳井さんは、商売には「実行」も大切だと主張しています。

もうひとつ大事なことは、計画したら必ず実行するということ。実行するから次が見えてくるのではないだろうか。経営者本人が主体者として実行しない限り、商売も経営もない。頭のいいと言われる人に限って、計画や勉強ばかり熱心で、結局何も実行しない。商売や経営で本当に成功しようと思えば、失敗しても実行する。また、めげずに実行する。これ以外にない。(226ページ)

頭に思い浮かんだことが、正しいのかどうか、うまくいくのかどうか、そういったことは、行動に移さなければわからないことです。やってみて初めて計画段階では、わからなかったことが見えてきます。でも、実行しなければ、今、何が見えていないのかを知ることもできません。


計画して実行し、そして、小さな失敗を重ねながら1割の成功をつかみ取る。

この動作を停止した時、会社はその役目を終え解散していくのでしょう。

一勝九敗 (新潮文庫)

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