ウェブ1丁目図書館

ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。なお、当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

小説

為政者は移ろいやすい群衆の声に耳を傾けるべきではない

1789年。フランスの財政が逼迫し、国民の暮らしがさらに苦しくなり、遂に暴動が起こります。いや、それは暴動ではなく革命でした。バスチーユを市民軍が陥落させたとの情報はフランス全土に広まり、農民たちが貴族を襲撃し始めます。狩りの最中だったルイ16…

異なる2つの視点から読むフランス革命

フランス国王ルイ15世の孫にオーストリア女帝マリア・テレジアの末娘が嫁ぐのをストラスブールのパン屋で働く少女マルグリットが、妬ましく見つめるところから物語が始まります。遠藤周作さんの「王妃 マリー・アントワネット 上巻」の出だしです。オースト…

個人の意思は集団に左右されるか

重大事件のニュースを見ると、なぜ、そんな愚かなことをしたのかと思うことがあります。事件を起こした当人も、もしかしたら逮捕された時にそう思ったかもしれません。「あの時、思いとどまることができたのに」事件を起こす前に何度も葛藤があったと思いま…

京都での出会いからイラン旅行へと発展する大人の恋愛小説

祇園祭の宵山を一人で観覧する桐生亜希。彼女は27歳のグラフィックデザイナーです。3日間の小旅行で京都にやって来た亜希は、祇園祭の鉾や山を見学している時、一人の青年を見かけます。青年は、鉾や山に掛けられたペルシャ絨毯を真剣に眺めています。五木寛…

若者の欲求が噴き出すような感情と行動を静かに描写した小説

村上龍さんのデビュー作「限りなく透明に近いブルー」を読みました。この作品は、群像新人賞、芥川賞を受賞した作品です。群像新人賞受賞作品として掲載された時の龍さんの年齢は24歳。よく20代前半の若者が、このような作品を書くことができたものだという…